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奥深きエチケット=ラベルの話【日本ワイン6選】
ワインボトル表面のラベル=エチケットは、ワインの顔であり、開ける前にその一本を知る言わば履歴書です。4人の「飲み手」のプロが惹かれた、日本ワインのエチケットを紹介します。
ワインを知る手がかりとなるエチケット【日本ワイン編】
ワインにおけるエチケットは、飲み手にそれがどんなワインかを伝えるいわば履歴書。出自が記載されているのが特徴だ。「基本要素は『いつ』『どこで』『誰が』造ったか。加えて、フランスの原産地統制呼称制度(A.O.C.)を筆頭に、各国で地域ごとのワインの個性を守るための法律が定められており、その土地の高品質ワインの認証を得るキュヴェ(銘柄)には様々な表示義務が課されます」(ワイン輸入会社営業/齊藤誠也)。「例えば『どこで』だけでも書かれる情報は多様。「一般的な産地に加え、村や畑などのより具体的な地名が記載されるものほど上質とされています」(医師/金由梨)
4人の飲み手が惹かれた日本ワインのエチケットを6組紹介します。
1. ボタニカルライフ(兵庫県)
「飲みやすさと深みが同居したピュアな印象のワインを手がける造り手。『テラ』シリーズは、“大地”をテーマに、アンフォラと呼ばれる器で発酵・熟成させた特別なキュヴェ。ブドウ畑の土を用いたMika Takagiさんの作品を、HIROSHI NAKAMURAさんが撮影しエチケットに。細部まで宿る造り手のセンスが光ります」(酒屋店主、パラレルワーカー/飯田明)
2. ドロップ(山形県)
「今最もホットな日本ワイン生産者ともいえる造り手。古いデラウェアと新しいケルナーを組み合わせた『ブリコラージュ』のエチケットは、山形に根付く山菜食文化と金継ぎをモチーフにしており、新旧文化を組み合わせ、未来に向け新たな価値を生み出したいとの思いがこめられています」(ワイン輸入会社営業/齊藤誠也)
3. 農楽蔵(北海道)
「一度見たら忘れられないエチケットが魅力。造り手の個性を突き詰めた象徴的な『ノラ』シリーズは“のらりくらりのねこ”をモチーフにするほか、北海道の土地の個性を表現した『ノラポン』シリーズは、北海道の四季とチャーミングな動物のモチーフが描かれています」(酒屋店主、パラレルワーカー/飯田明)
4. ドメーヌ・オヤマダ(山梨県)
「フラッグシップワインは、以前は、ブドウの産地である長野県の地名『洗馬』の名前でリリースされていましたが、2018年より国の規定で産地と醸造所の場所が一緒でなければ地名を名乗れなくなったそう。そこで2019年のみ、洗馬=せばと語呂の似ているフランス語“Ça va?”(=元気?)に」(建築家/干田正浩)
5. kondoヴィンヤード(北海道)
「シグネチャーシリーズでもある『タプ・コプ』のエチケットに描かれるのは、うさぎと月。畑に現れては、新芽やブドウなどを食べてしまう天敵でもあるうさぎをあえて表現したり、月は、ワインの収穫時の欠け方で表したりと、随所に遊び心が垣間見えます」(建築家/干田正浩)
6. 共栄堂(山梨県)
「毎年ヴィンテージごとにエチケットが変わり、様々な作品がテーマになります。ここ数年は山梨や造り手にゆかりのあるアーティストシリーズで、2022年は、〈共栄堂〉さんのワイナリーの設計を担当した僕の代表的な建築の図面をエチケットに使っていただきました」(建築家/干田正浩)