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「トータルで帳尻を合わせればいい」肩の荷が下りた先輩からの言葉。 〈100人のママプロジェクト〉1人目アナウンサー堀井美香さん後編 Learn 2023.01.23

堀井美香さんインタビュー前編はこちらから…「入社2年目で長女を出産、育休中に改めて考えた自分の得意分野」

入社2年目で結婚し長女を出産、そのまま10ヶ月の育休に入った堀井さん。育休に入る前はいろいろと悩んだり、このタイミングで妊娠しちゃいけなかったのか?と自分を責めてしまったりしたこともあったが、すべてが吹っ飛んでいってしまうくらい子どもは可愛かった。出産前後の体調のトラブルもあまりなく、「ずーっと育休でもよかった」と笑いながら話すくらい、新生児と過ごす時間はかけがえのないものとなった。

あっという間の育休期間が終わり職場に復帰するが、そこでは育児と仕事のバランス調整をする毎日が待っていた。堀井さんの夫は同じテレビ局に務めており、土日も仕事が多く長期の出張も多いことから、最初から子育ては一人でやると決めていた。自宅から電車で赤坂のTBSまで約1時間半弱。仕事を終えて猛スピードで帰宅し、自転車で保育園にダッシュするという日々が始まった。職場では、子育ての事情を話し土日や深夜の仕事を減らしてもらったり、できることとできないことの調整に追われた。その時、先輩に言われてふっと肩の荷が下りたひと言がある、という。

「会社にも申し訳ないと思い上司に相談したんですが、『今は働かなくていいから、子育てが終わったら会社のことをやりなさい。トータルで帳尻を合わせればいいから』って言ってくれたんです。そのひと言に救われたし、私もそう考えるようにしようって思いました。また、相談した上司は20歳以上離れた方だったんですが、それもよかったのだと思います。人生いろんなことを経験されていて、私の悩みなんて本当にちっぽけなものだと、広い心で受け止めてくれました。年が近いとなかなかこうはいかないですからね」

選択的夫婦別氏制度の議論は依然として続いているが、現状では結婚したら夫の姓を選択するのは約95.5%(令和元年/厚生省)と圧倒的多数を占める。もちろん仕事は旧姓で続けているという女性も多いと思うが、結婚したら元の姓で呼ばれる機会は少なくなる。さらに育児が始まり、子どもを取り巻くコミュニティの中では「○○ちゃんママ」「○○ちゃんのお母さん」と呼ばれるようになる。ただでさえ子ども中心となる生活の中で、自分のアイデンティティに戸惑う人も少なくない。しかし、堀井さんはそこで自分を出すのではなく、「母親」という役割に徹していた方が楽だったという。

「ママ友というのは、子どもを中心にして繋がっているので、子ども同士の関係にも左右されるし、競争の中で気まずくなったりするし、すごく脆い関係。もちろんずーっと続いているママ友は何人もいますが、そこを舞台に自分の友達を作ろうと思ったことはなかったし、その場で自分を出そうとも思っていなかった。あくまで主人公は子どもですから。ただ、私は、まったく知らない土地で子育てを始めることになって、アナウンサーという職業柄、仕事も不規則ですし、顔も知られている。夫も両親も親戚も頼る人がいないことを考えると、周囲に頼らなければやっていけない。そうしないと『アナウンサーの家の子どもだ』って遠巻きに言われるだけになってしまう。だから切実にママ友が必要だったんです。だから、最初からガンガンに自分から声を掛けて、ママ友を作っていました。そのおかげで娘の運動会に行けなかった時も、何日も前から『お昼ご飯うちで一緒に食べなよ』って連絡をくれて、当日娘にどうだった?って聞いたら『いろんなママが声かけてくれて忙しかった!』と言われて、号泣しましたね」

子育ての思い出を笑顔で話す堀井さん。「怒らなそう」と周囲からもよく言われるそうだが、全然そんなことはない。娘が反抗期の頃は我を忘れて怒ったこともあるという。

「めちゃめちゃ怒りましたね。娘が中学1、2年生くらいの時は、学校に行く時に何も言わないでドアをバタンと閉めたりすると追っかけていって『閉めなおしなさい!』と怒鳴ったこともありますし、怒って息子を家の外に出したときに近所のママが通りかかって『またやってる〜』とあきれていたり、夫から『コントを見ているようだ』と言われたことも(笑)。もちろん褒める時は褒めますけど、いらっともしますし感情に任せて怒ったこともあったと思います。決して上手な叱り方が出来る母親ではなかったかも。でも、人の感情ってすごく複雑で、それを最初に知るのが家族なのかなと。だから、あんまり母としてお行儀よくしなくてもいいのかなとは思います。大丈夫! そんな娘も今では私のことを叱ってくれてアドバイスもくれる、最高の大人に育っていますから(笑)」

子どもの反抗期はもちろんあったが、家族はとても仲が良いとポッドキャストでも度々漏らす。家族というのは、血縁や長年一緒にいる環境という絆では結ばれているが、性格も違えば考え方も違う人々の集まりだ。その結びつきがあるからこそ割り切れない部分も多く、距離の取り方が難しい。映画や小説などで何度となく家族がテーマに描かれるのも、その難しさ由縁だろう。どうやったら仲良し家族でいられるのか、堀井さんに秘訣を聞いた。

「子どもが小さいときは家族一緒にという団結力が必要かと思いますが、子どもたちが成人してからは、家族それぞれ一個人として、自分の世界で自由であっていいと思います。干渉もしないですね。でも家族は心の拠り所であり、他の家族に何かあったときはみんなが集結してくれるという絶対的な安心感がある。その関係を作るのが子育ての時間なのかと思います。あとは家族で同じ趣味があると楽しいですね。スポーツでもライブでもキャンプでもいいのですが、小さい頃から親しんでるものは大人になっても付き合ってくれます。先日4人で麻雀をしましたが楽しかったですね。子どもたちがどこで麻雀を学んだのか謎ですが(笑)、雑談したりいろいろつまんだりしながら、部室感ありました」

育児真っ最中の時は、自宅と仕事場、そして保育園や学校、塾等の子どものいる場所へと全速力で駆け巡る日々を過ごしていた。少し時間がとれるようになると、仕事の合間に好きな古い喫茶店に寄ったり、週に何度かのEV車の充電時間を利用し車の中で気持ちを整理したり、隙間の時間を使って一人の時間を楽しめるようになったという。最後に子育て世代の後輩ママたちにひと言をうかがった。

「子どものために自分がやっていることは、すべて正しいと思ってしまうときがありました。そんなに習い事必要? とか、放っておいていいよとかいう、周りの言葉はぜんぜん入ってこなかったんです。でも今思うと、そういう客観的なアドバイスって的を射ていましたね。
“独りよがりの子育てじゃなく周りの意見も受け入れる”
“まあいいかとか、何も考えないとか、心に余裕を持つ”
“あと、子どもは自分の成果物じゃないよ”
もしもう一度子育てができるとしたら、色紙かなんかに書いて自分の目のつくところに貼っておきたいですね」

堀井美香さんのナレーションのノウハウが詰まった著書『音読教室』。子育ての現場でも、絵本を読み聞かせしたりする機会は多かったという。
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娘さんが小学生の時の連絡帳。中にはびっしりと密に先生とやりとりする様子が記されている。
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堀井美香さんインタビュー前編「入社2年目で長女を出産、育休中に改めて考えた自分の得意分野」

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photo:Eri Kawamura text:Keiko Kamijo

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