“気”を鎮める、風に触れて。伊藤美誠、新潟・諏訪神社へ。 LEARN 2023.01.19

聖地に向き合ったとき、人は何を想うのか。2024年のパリ五輪を目指して国内外を転戦している卓球選手の伊藤美誠さん。「技術だけではなく、心身のコンディションを常に整えること、人間的に成長することを目指しています」という彼女が今回訪れたのは、新潟は新発田の諏訪神社。聖地に赴き、その土地のパワーや“気”を存分に浴びて、生まれてきたものとは。12月26日発売 1217号「開運聖地」特集からお届け。

「神社に流れる、ゆったりとした温かい時間が好きなんです」

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2021年の東京2020オリンピックで日本卓球界初の金メダル(混合ダブルス)を獲得した伊藤美誠さん。
「海外遠征が続くと実感するのですが、『日本は空気がきれい』なんです、ホントに!(笑) 帰国したら、ゆったりと大きく息を吸える、海や神社に行きたくなりますね。ちなみに実家の前が神社なので、帰省したときや大きな大会が終わると、よく家族でお参りします。久しぶりに祖父母とゆっくり話せますし、それが自分にとって温かい時間になっていますね。心と体がリセットされて、さあ頑張るぞという気持ちになれる。神様が見えるとかそういうことはないですけど、やっぱり神社って特別な場所だと思います。独特のオーラがあるというか、ああ、“風”かな、神社に吹いている“風”が好きです。気持ちよくてパワーをもらえる場所ですね」(伊藤さん)

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新発田市でのプロリーグの試合が終わった彼女に地元の新発田諏訪神社を訪れてもらった。「やっぱり一歩踏み入れるだけで、どこか空気が違うんですよね。ああ、紅葉もいいな。見ていると心がすとんと落ち着くというか。こういう時間って一見卓球に関係なさそうですが、“気”を入れ替えて心身のコンディションが整うことで卓球のパフォーマンスも上がると思うんです。なので試合と試合の合間は意識的に卓球以外のことをして充電するようにしています。あ、できる限り、神経や気を使わないこともポイントです(笑)」
そう、勝つことに貪欲で圧倒的な集中力を見せる試合中とは違い、オフの伊藤選手はとにかくずっと楽しそうに、そして笑っている。神社を奥に進み、お参りをする。
「あ、2022年は1月の初詣以外ではじめて神社に来ました。一年を無事に過ごせたことにお礼ですね。あ、おみくじも引いてみたいです」

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開いてみると、大吉!
「うわ! ほんとにうれしい! わたし、大吉のおみくじは財布に入れておく派なんです。これは大切に持って帰ります」
月並みだが、やはり、「持って生まれた」人と言ってしまいたくなる何かがある。「運、という人智を超えたものはやはりあるような気はします。当然コントロールできるものではないけど、少しでも味方になってもらうようなことはできるのかも、と思っていて。それにはもう日々の準備や努力の積み重ねに尽きると思うんですね。さらに普段の生活や周囲の人への言葉遣いや態度みたいなことも実は大切だと思っています。卓球界の上の世代を見ていても、国内外問わず、トップ選手だった方こそきちんと人生を送られています。尊敬される人間性を持った選手に最後の最後、勝利の女神が微笑んでいるような印象や記憶があるんです。だから卓球で上を目指すのはもちろん、人間的にも成長し続けたいと思っているんです」
束の間の休息を楽しんで、彼女は再び、勝負の世界へ旅立ったのだった。

新発田 諏訪神社

諏訪大社の御柱も鎮座する、新潟を代表する聖地。始まりは648(大化4)年。約1,400年間、人々に恵みを与えてきた歴史が宿り、地元の人には親しみを込めて「おすわさま」と呼ばれている。毎年初詣には約3万人(!)の参拝者が訪れる。無病息災・学業成就・厄除け・縁結び・安産の御利益が。
住所:新潟県新発田市諏訪町1-8-9 │ 地図
電話番号:0254-22-2339
参拝時間:自由(社務所は9:00〜17:00)

photo:Hiroyuki Takenouchi styling:Midori Sato hair&make:Yuko Iitsuka衣装はすべてスタイリスト私物

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