さあ、行くわよ? きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」第38回〜『展覧会を巡るわよ』〜 LEARN 2022.10.26

きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。第38回は「展覧会」のお話。

『展覧会を巡るわよ』

皆さま、ごきげんよう。街を歩いててなんか面白そうな展覧会があったら、とりあえず行ってみるのが大好きな、きゃりーぱみゅぱみゅです。

きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」

展覧会にサラッと行って、サラッと一人で観るのって、なんか大人なLADYな感じがしますよね。

こないだは、六本木ヒルズでやっていた『水木しげるの妖怪 百鬼夜行展』に行ってみたんですけど、“妖怪は実はいまだに存在している”という解説がとても印象的でした。

今は妖怪が見えません。それは文明が発達して生活空間が明るくなりすぎたせいで、逆に、妖怪がいても見えない状態になっているからなんだそうです。

たしかに言われてみたら、昔はロウソクとかしかなかったわけで、夜はどこも薄暗かったからこそ、そこに人間の想像の余地があったということなんですよね。「あ、今そこで何かが動いた気がした…」みたいに。

水木さんの場合だと、なんとかばあ(編注:のんのんばあ)っていうおばあさんが近所に住んでいて、何かカタカタ物音がするとそのたびに「妖怪〇〇が現れた」と、少年時代の水木さんに教えてくれたんですって。

そうやってちっちゃいときから想像力を刺激される環境にいたから、あの水木さんになっていったのか~と考えると、ほんと環境が人を作るんだなあとつくづく思います。

きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」

それと同じようなことは、銀座でやってた『シリアルキラー展2022』でも感じました。

そこには海外のシリアルキラーたちが描いたとされる絵がズラッと展示してあって、それぞれどんな生い立ちで、どんな殺人をして、どんな心情でこの絵を描いたのかとか細かく解説されていたんですけど、やっぱりほぼほぼ家庭環境に問題があるっぽいんですよね…。

どのシリアルキラーの絵もタッチが独特で、それがめちゃくちゃ狭い空間にギュッと飾られていて、入った瞬間から異様な雰囲気に圧倒されそうになったことを覚えています。

ただ、最初、私は「この空間にある絵は全部フィクションなのかな?」と勘違いしていました。

というのも、映画『IT』に出てくる“殺人ピエロ”の絵もあって、私は『IT』の殺人ピエロは知っていたけど、それが実在のシリアルキラーをモデルにしていたことまでは知らなかったので、てっきり映画の中の架空キャラが描いた絵が飾ってあると思ってしまったんです。

ところがスタッフの方に「すべて本物になっております」と言われた瞬間、おえ~~~~っ! 思わず、吐きそうになってしまいました。

自分はスピではないと思ってるんですけど、あの狭い空間には、絶対になんか濃厚な念みたいなものが宿っている気がしましたね…。なので、正直おすすめはできないんだけど、でも、本物の体験ができるのでおすすめです。

そういえば、国立科学博物館でやってた『植物 地球を支える仲間たち』展も私的には怖い展示だったなあ…。

そこでは植物と人間が比較されていたんですけど、受粉が人間でいうところの受精で、そこから受精卵がだんだん大きくなっていって、妊娠した状態みたいになって…とか、植物って人間ととても似てるんです。

どっちも水と日光が必要だし、比較されればされるほど、私はだんだん怖くなってきました。植物と人間はもはや似てるというか、ほとんど一緒のレベルに思えてきて、いつか植物とも人間とも言えないような、中間的な生命体が生まれるんじゃないか…とか本気で考えたりしました。

こんな感じで、自分の視点をガラッと変えられるのが、展覧会の醍醐味です。

『鈴木敏夫とジブリ展』でもそんな体験をしました。

それまで鈴木さんのことは、ジブリのすごいプロデューサーということはもちろん知ってましたが、なんとなく宮崎駿さんが天才で、鈴木さんがそれを支えるという関係性なのかな?とばかり思っていたんです。

でも、実際は鈴木敏夫がバチボコ天才すぎて、むしろ宮崎駿が支えていたんじゃないか?という…。

展覧会の前半では、どんな作品に影響を受けて鈴木さんの人となりが形成されていったのかが紹介されていて、後半では、鈴木さんたちが手掛けてきたジブリ作品のキャッチコピーが展示されていました。

おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。

これはご存じのとおり『魔女の宅急便』のキャッチコピーです。鈴木さんとコピーライターの糸井重里さんが考えたものだそうですが、あの作品にこの言葉を持ってくるセンスに私は震えました。

もし自分がキャッチコピー担当だったら、絶対に“魔女っ子”がどうこうするみたいな感じにすると思うんですよね。

でも、魔女っ子であっても、普通の女の子と変わらない“成長”こそがこの作品の鍵。それをなんでこんなにシンプルに言えるの? 天才じゃん!

ただ、会場にたくさん来ていたジブリ好きの若者たちにとっては、ちょっとマニアックすぎる展示だったみたいで、彼らの多くは湯婆婆の巨大人形が飾ってある映えスポットに群がってパシャーッとやってました。

展覧会は勉強にもなるし、何より私にやる気を注いでくれます。

そもそも“〇〇展”として取り上げられている人たちって、かなり愛されてないと企画されないと思うし、そこには愛されている理由というか、その人の魅力が必ずあります。

その人が直面した困難とか、それを乗り越えた経緯とか、自分で思いもしなかった考えなんかに触れると、私もすごくがんばろうという気持ちになるし、メラメラと意欲が湧き上がってくるんですよね。映画とかマンガとかも観ますけど、展覧会こそが私のクリエイティブに一番直結しているかもしれません。

なので、正直あまり知らないテーマの展示でも行きます。そしてグッズも買うという。マグネットを買っては、家の冷蔵庫に貼り付けるという日々です。

ぜひ皆さんもこの秋、フラッと展覧会へ行ってみてはいかがでしょうか? きっといい刺激を受けられると思います。私はマジで意外と行っているので、ひょっとしたらどこかでばったりお会いするかもしれませんね⭐

きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」

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