自分を高める、学びの教科書。 簡単でおいしい薬膳料理。心身の不調が出やすい季節に「整える春スープ」のレシピ LEARN 2022.03.17

春先は何かと不調が起きやすく、体調は揺らぎやすい。そんな不調には、旬の食材を使った料理が効くそう。特別な食材も技術もいらない、簡単な養生食を学んで。

季節で変化する人間の体に必要な食材を積極的に摂る。

「野菜や貝類からおいしいだしがたっぷり出るので、味付けはほとんど必要ないんです」と藤井さん。スープの味付けは最後に塩を少々入れるだけ。
「野菜や貝類からおいしいだしがたっぷり出るので、味付けはほとんど必要ないんです」と藤井さん。スープの味付けは最後に塩を少々入れるだけ。

「自然界で目覚めの季節といわれる春は、人の体も同じように目覚め、新陳代謝が活発になる時期。また、冬の間に体に溜め込んだ老廃物を外に出そうと解毒作用が働き、自然と山菜や青野菜、香りの良い野菜など、ほろ苦い味を体が求める傾向にあるんです」と藤井愛さん。

彼女自身も代の頃は仕事に励んでいたが、結婚して出産後は、それまでになかった体調の変化を感じるようになったとか。そんなときに出会ったのが中医学。学んでいくうちに、自分の体調不良の理由が腑に落ちることも多く、食生活を改善すると目に見えて体調も良くなった。それがきっかけでさらに中医学を学び、現在では薬膳を通して健康維持や健康管理、病気予防などを実践している。

「中医学では、五臓の『肝』と春は関係が深い。『肝』には自律神経や感情のコントロール、内臓への栄養供給の役割が。春は『肝』が高ぶりやすく、めまいや頭痛、不眠やイライラ、目に不快な症状となって現れる場合も。それが連鎖し、食欲不振や吐き気、疲れなど胃腸の働きにも影響が出やすいのです」そんな春の不調を改善する薬膳スープは、『肝』を安定させるため“血を補う”食材が主役。さらに連動する自律神経やストレスの解消を促す“気を巡らせる”食材、それらの“消化吸収を助ける”食材をバランス良く取り入れるのがポイント。こうした食材のバランスを考えた食事が薬膳。薬膳と聞くと生薬など特別な材料が必要と思われがちだけど、誰もがスーパーで入手できる食材で、短時間で簡単に食材が持つ体に良い効能を取り入れることができる。

「薬膳とは食材が本来持つ薬のような力を、調理の組み合わせで引き出した先人の知恵。自然界ともリンクしているから、旬の食材を使いながら無理なく実践できるのが利点。不調はまず食事から見直してみて」

Teacher…中医薬膳営養師・藤井愛(ふじい・あい)

中医薬膳営養師・藤井愛 (ふじい・あい) さん

中医学をベースに季節や体調に合わせた薬膳ワークショップを開催。企業のコンサルティング業務も担い、変化しやすい女性の心身を身近なところからサポート。Instagram:@five_tastes_of_study_

(1206号掲載/photo : Yoichi Nagano text : Kimiko Yamada edit : Nao Yoshida)

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