BARをもっと、カジュアルに。 新宿〈新宿ウイスキーサロン〉のバーテンダー・静谷 和典さん〜児島麻理子の「TOKYO、会いに行きたいバーテンダー」〜
お酒業界での広報歴12年!児島麻理子が、実力派のバーテンダーをご紹介します。第34回目の登場は、新宿〈新宿ウイスキーサロン〉の静谷 和典さん。TikTokでは“しずたにえん”としてフォロワー5万人を持ち、ウイスキーの魅力を国内外に発信しています。
「シビアなコメントもあるんですよ。若い方は、やはりウイスキーは難しそうとか苦そうというイメージもあるようで、お酒のハードルは高いんだなと感じます。それでも、20歳になったら行きますとか、父の日に何をプレゼントしたらよいでしょう、とコメントをもらうこともあり、次世代への種まきになればと発信してます。バーテンダーは基本は待つ仕事ですが、バーの外に攻めていくことは大切だなと思っていて」。
動画では他にも、バーテンダーあるあるを紹介したり、気さくな雰囲気をもつ静谷さんですが、実はウイスキー業界でのすごい実力の持ち主。現在10名しかいない国内最難関のウイスキーの資格「マスター・オブ・ウイスキー」の称号を史上最年少で取得者した、業界で熱い注目を集める人物です。
そんな静谷さんですが、ウイスキーにのめり込むきっかけは意外なところでした。
「若い頃、西新宿で働いていた当時、グレンリベットのソーダ割りがバーテンダーの最初の登竜門だったんです。それが美味しくできたら、ほかのカクテルも作っていいと。毎日営業後に練習を重ねていたんですが、ある日、自分の勉強してるグレンリベットってどんなお酒なのかな、と本を手に取ったんです。そうすると、”グレンリベットとは、静かなる谷の意味だ”と書かれていて。自分と同じ名前だったのか、と運命感じてしまったんですよね」。
以来、”知ればしるほど親近感がわく”というウイスキーの世界にのめり込み、いまではバーを2軒構えるまでになりました。若きウイスキーマニアの静谷さんはその提案もユニークです。多くのウイスキーバーがストレートやロックで酒そのものを味わわせるのに対し、静谷さんのバーは6割がカクテルで出ています。
「ハイボールは飲めても、ロックやストレートはまだ飲めませんっていう方が実は多いんです。そこをジャンプしてもらうにはどうしたらよいかなと思った時、海外ではあたりまえに飲まれているウイスキーカクテルで紹介していくことじゃないかと思いました。いまうちはウイスキーベースのカクテルが150レシピくらいあるんです。そこでウイスキーに慣れてもらって、さらに深いウイスキーの世界にはいってもらえたらよいかなと」。
静谷さんの目標は、お店をジャパニーズウイスキーのアンテナショップのような存在にしていくこと。とくにクラフトディスティラリーと呼ばれる日本の小さい蒸溜所のものも注力してセレクトしています。
「多くの人と出会いたいというのが、自分のなかでは強く思っていることなんです。SNSも活用しながら、いろんな人と会えるようなお店づくりをしていきたいなと思います」。
ウイスキー大使として活動を広げる静谷さんにこれからも注目です。