特集「ウワサの検査受けてみた」#2 慢性的な疲れやだるさ…もしかしてそれアレルギーのせいかも?「遅延型アレルギー検査」を受けてみたら

HEALTH 2024.06.06

30代も半ばになると、なにかしらの体調不良に悩まされる日々……。寝不足や運動不足、低気圧や残りやすくなった疲れ、そして年齢が原因なのだろうと、仕方がないと受け入れていました。そんな不定愁訴の原因と解決方法を探していると目に入ってきたのが「遅延型アレルギー」の文字。一般的なアレルギー検査は受けたことがあるけれど、「遅延型」ってなんだろう? もしかしたら私の不調の原因はこの遅延型アレルギーにあるのかもしれない!と思い、川崎市百合丘にある〈ふるたクリニック〉の古田一徳先生を訪ねました。体にいいと思って食べていたものが、じつは不調を招く原因だった……なんてことがあるかもしれません。

INDEX

教えてくれた人

古田一徳先生

古田一徳先生(ふるたクリニック)
1986年北里大学医学部を卒業。2010年6月、百合丘にふるたクリニックを開院。

[今回の検査メニュー]
遅延型アレルギー検査(説明・指導も含む) 38,500円(税込)

遅延型アレルギー検査では何がわかるの?

遅延型アレルギー検査の流れ

編集部Yは、さっそくふるたクリニックで「遅延型アレルギー検査」を予約。検査は、血液採取を行い、その血液をアメリカの機関へ送り検査結果を待つのみ。検査結果が出るまでは2〜3週間ほどだった。検査結果は古田先生が資料とともに丁寧に解説してくれるので、話を聞きに伺った。

―今日はよろしくお願いします。私の困りごととしては、慢性的な疲労感があることや、お腹の調子がつねに良くないことです……。なかなか思い当たる原因がなく、今回遅延型アレルギー検査を知り受診させていただきました。まずは、遅延型アレルギー検査がどんなものなのか教えてください。

古田:日本でアレルギー検査といったら一般的に保険診療でやっているもので、「即時型」である「IgE」という体内の抗体を見ています。花粉とか食べ物なんかが多いですね。一般的に日本でアレルギー検査といえばそちらの検査です。

しかし遅延型検査は、見ている抗体が違っていて、即時型が「IgE」であることに対して、遅延型は「IgG」という抗体を見ているんです。遅延型は、食べてから数時間から数日経ってから体のだるさや疲労感、お腹の張りなどの症状が表れるもので、一般的な「食べられない」アレルギーというわけじゃなく、「繰り返し食べているものが体に影響しているんじゃないか」という考え方の検査になります。

ふるたクリニックで行う遅延型アレルギー検査 192項目

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「遅延型アレルギー検査」は学会では推奨されていない……?

―「即時型アレルギー検査」は私も以前に受けたことがあります。「遅延型アレルギー検査」というとあまり馴染みがない人も多いと思いますが、海外では一般的なのでしょうか?

古田:アメリカを中心とした海外では、とくにお子さんが検査を受けられています。アレルギー検査という以前に、例えばお子さんの自閉症やADHDの疑いを見たり、栄養バランスを見たりして、その後の精神的な疾患なんかに関係していないかを見るためというのがほとんどですね。日本では残念ながら保険診療外ですし、そもそも日本アレルギー学会や日本小児アレルギー学会は、この検査はアレルギー検査には適さないということで、すごく否定的なんです。

―え、そうなんですね。なぜ否定的なのでしょうか?

古田:子どものときにいろんな検査をすると、「あれもダメこれもダメ」となることが多いので、成長や発達のための栄養を考えると支障をきたすということで、アレルギー検査としては勧められないということです。

食べちゃダメなのが「即時型」のIgEの抗体、つまり例えば喉がイガイガするとか、ショックになっちゃうとか、そういうものは食べてはいけないですけど、「遅延型」は食べられないわけじゃなくて、食べる頻度を減らすという考え方です。学会では、子どもに食事制限をかけることは、栄養的にバランスの面で良くないといったことを言っていますね。

―なるほど。なぜそれでもふるたクリニックではこの検査を実施しているのでしょうか?

古田:当院では、あくまでも「体調不良の原因が何か」ということを調べているので、「一生これが食べられない」ということではなく、例えば半年ぐらい食べるのを控えていただいて体調の改善を見ています。反応の出た食品も、違うものに置き換えれば食べるものがなくなっちゃうわけじゃないですから。

検査結果の資料を見ながら説明をしてくれる古田先生
検査結果の資料を見ながら説明をしてくれる古田先生

―あくまでも、患者さんの体調不良の原因を探るということなんですね。

古田:はい。この遅延型アレルギー検査は、なんだか体調が悪いとか、お腹が張るとか、腸内環境がおかしくなったようなときに、食べ物が原因じゃないかと見るものなので、「アレルギーを見つける」っていうものではなく、「これがダメあれがダメ」っていうわけでもなくて、あくまで慢性疲労とか、原因不明のお腹の張りとか、いろんな薬を飲んでも良くならない方の原因を探るものなんです。

そういうときにこの検査をすることで、自分では体にいいと思って食べていたものがじつは自分の体には良くなかったということがわかることがあるんですよね。そういうものは食べられないわけじゃないので、当院では半年ぐらい控えてくださいと、ゼロにするのは難しいので食べる頻度を減らしてもらうようにしています。

そうやって、高いIgGの値を減らしていくんです。そして体調とかお腹の具合なんかを良くしたり、ひいては精神的な不安とか、肌への影響も改善に期待ができたりします。

―どんな方が、この検査を受けに来られますか?

古田:当院で多いのは、お腹の調子が全然良くならない方や、疲労感、体調不良、それからいわゆる「アレルギーはないよ」と言われたけど肌荒れがひどいとか、なかなかニキビが治らないというような方ですね。お子さんでいうと、精神発達的に心配だという方も検査に来られます。

―なるほど。どういう方におすすめしたい検査なのでしょうか?

古田:今までいろんな検査をしてきたけど、例えば慢性疲労的な原因がよくわからないとか、お腹がよく張るとか、下痢とか便秘をするとか、お薬を飲んでも良くならないっていうような方ですね。一般的なアレルギー検査では異常はないけど、食べるとやっぱり不調が出てくるとか、そういった方でしょうか。

検査結果はいかに……?

―では、私の結果について解説をお願いします!

古田:はい。このシートの見方としては、黒く棒線が飛び出ているところが体に影響している項目ですね。
Yさんの結果を見ると、乳製品はちょこちょこ出てますけどそんなに気にすることはなくて、問題は小麦ですね。ライ麦とか、それからグルテンとか全粒粉も出ている。つまり一般的に言うとグルテンですね。小麦系のものは控えたほうがよさそうです。

主に「ライ麦」「全粒小麦」が突出しているのがわかる
主に「ライ麦」「全粒小麦」が突出しているのがわかる

―グルテン!! パンもパスタも大好きなので困りました……。

古田:毎日パンを食べているようであれば、例えば3分の2とか2分の1ぐらいにしてみてください。小麦系はいろんなものに含まれていますけど、多くはパンを食べてる人なので、パンを食べる頻度を減らしてみてください。

―毎朝ライ麦パンを食べています……。朝はお米にしたほうがよさそうですね。

古田:それから、卵も注意ですね。卵が出る人もじつはいっぱいいるんですよ。卵はタンパク質だからってみんなよく食べるんですけど、とくに卵白に反応が出るんですよね。

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―卵も控えるのがなかなか難しい食品ですね。

古田:これは一般的なアレルギーもそうなんですけど、卵ってつなぎとしてもいろんな食べ物に使われているので、完全に控えるのは難しいです。なので、卵焼きとか目玉焼きとか生卵とか、卵そのものについては、控えられるんだったら控えてくださいね。完全になしにしなくても食べる頻度を減らしてくださいっていうだけです。

―卵もよく食べているのですが……わかりました。アーモンドも大きく出てますね。

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古田:アーモンドは反応が出る人が最近多いです。ドリンクなんかもあるし体にいいと思って摂取してる人が多いと思うんですけど、Yさんにとってはアーモンドが今体に対してちょっと影響が出ているようなので、飲むタイプも含めて控えてもらえるといいかと思います。

―アーモンドはドリンクも飲んだことはないですし、ナッツ系はそんなに食べないのでこれは避けられそうです。受診される患者さんは、どんな検査結果の方が多いのでしょうか?

古田:検査結果のパターンとしては、乳製品、小麦、卵が高いことが多いですね。それからもう一つ、腸内環境が乱れている人。カンジダっていう腸の中のカビがいるんですが、それが増えてる人は腸内環境が悪いですね。この検査では腸内のカンジダについても調べることができます。

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古田:腸内環境が悪いと体調や免疫にも影響が出ます。風邪もひきやすくなったりするんですけど、このカンジダを減らして腸内環境を良くすることも、この検査を受けた方にはお勧めしています。

―なるほど……。腸内環境を良くするためには何をすればいいのでしょうか?

古田:まずは、甘いものを控えることですね。甘いものが全部ダメというわけじゃなく、白砂糖系を控えてもらって、果物とか蜂蜜とか黒砂糖とかいわゆる自然なものに置き換えてもらうといいと思います。白砂糖系の甘いものはカンジダの餌になるので、どんどん増えちゃうんですね。

それからもう一つは良質な油を摂ること。これはオメガ3脂肪酸ですね。食材で言うと青魚。あとは食物繊維、芋類とか根菜類とか野菜とかそういうのを摂ってください。Yさんの場合は、とにかく腸内環境を良くしたほうがいいですね。

―腸活、頑張ってみたいと思います……! 腸内環境にはやっぱりヨーグルトなどもいいのでしょうか?

古田:腸内環境を良くするためにヨーグルトを食べてる人もいっぱいいますけど、逆効果になってる人がじつはたくさんいます。なので、おすすめはやはり甘いものを控えること。一時的に控えると早い人では1ヶ月ぐらいですぐ調子が良くなってきますよ。当院では半年ぐらいは食生活を気にしてくださいと伝えています。

―甘いもの、控えてみたいと思います……。

古田:そうすると結構良くなります。

―受診された方はこういった説明を受けて半年ぐらい様子を見て、また何かあったら検査に来るのでしょうか?

古田:費用もかかるので、再検査はとくに勧めていません。希望がある方だけですね。やらなきゃいけないってことはないけど、一生に一度でいいから、こういった検査をしておいたほうがいいとは思います。自分が今どういった食べ物環境にいるのかとか、体に影響してるのかっていうのは、知っておくといいと思います。

遅延型アレルギー検査をやってみて、ここがよかった!

検査をしてみて、毎朝食べていたパンや大好きなパスタ、ついつい摘んでしまっていた甘いものが自分の体調不良につながってるかもしれないという事実に驚きました……。検査結果を聞いて以降は、朝のパン食をお米に替えたり甘いものは極力控えるようになりました。なんといっても「絶対に食べちゃダメ」ということではなく、古田先生の「極力控えましょう」というスタンスが、私にはとてもありがたく感じます。始めたばかりなのでまだ体調の変化は見えませんが、検査を受けて自分の食事環境や腸内環境を知ることができてとても良い体験でした。

ふるたクリニック

ふるたクリニック
住所:神奈川県川崎市麻生区百合丘1-19-2 司生堂ビル1F
電話番号:044-959-5116

photo_Akane Kuwano illustration_Kotomi Fujiwara

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