特集「ウワサの検査受けてみた」#1 働く女性の栄養不足が深刻? あなたの心と体の不調、栄養解析検査で改善するかも
ちょっとした不調はあるけれど、総じて健康だと思う。そう思っているあなたも、本当に栄養、足りてる? 栄養バランスを本気で見直せば、疲れやすさ、頭痛、イライラ、不安、生理痛、日常の一部になっちゃっているその不調から解放されるかも。“私を守る”ためには“私を知る”ことから。Hanako編集部員が、自分の栄養状態をチェックできる栄養解析検査、体験してみました。
なんとなく不調の原因? 働く女性に深刻な新型栄養失調
最近注目を集めている“新型栄養失調”という言葉を知っていますか? これは、総摂取エネルギー量は足りているのに、タンパク質やビタミン、ミネラルといった体に必要な特定の栄養素が不足している状態。
飽食の時代、美味しい食べ物が身の回りに溢れていて、食べ過ぎや糖質ばかりの食事にならないように気をつけていても、ビタミンやミネラルといった微量栄養素の摂取量まで意識している人は少ないかもしれません。
しかし、厚生労働省によると、『Hanako』読者世代に多い働く女性の栄養失調は特に深刻。タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が十分に摂取できていないだけではなく、ダイエット志向が強く、食事の質以前に、摂取カロリーそのものが不足している人も多いといいます。
冷え、だるさ、片頭痛、気分の落ち込みなどの不定愁訴、便秘や肌荒れなど女性に多い不調の原因の一つとして挙げられるのが、この新型栄養失調なのです。
「もしかして私の不調も栄養不足が原因?」、そんな疑問を確かめる選択肢の一つが病院での“栄養解析”。自費診療のため、金額はやや高額(クリニックによって金額は異なります)ですが、自分の栄養状態を可視化することは適切なセルフケアにつながるはず。そこで、Hanako編集部員ハセが栄養解析検査を実際に体験してみました。
栄養解析検査を実際に体験!
栄養解析検査を体験すべく足を運んだのは、東京都中央区日本橋にある〈フィーカレディースクリニック〉。
相談しやすい環境を提供し、一人ひとりに寄り添った診療で、女性の生涯にわたる心身の健康をサポートする“女性のかかりつけ医”が本クリニックのコンセプト。栄養解析のみの検査はもちろん、女性のライフステージに合わせた様々な検査パックが用意されているのもレディースクリニックならでは。栄養解析検査のおおまかな流れは、下記のとおり。
栄養解析検査の流れ
<検査日>
医師の説明→採血→問診票の記入
<結果(検査後、約1か月後)>
検査結果受け取り→医師の解説→管理栄養士の食事指導
「冷え、イライラ、不眠、お肌のトラブルなど、病院に行くほどでもないけれど…といったなんとなく不調も栄養バランスを整えることで改善する可能性があります。不調を相談する感覚で気軽に受けてもらえれば」と院長の佐野麻利子先生。
また、特に検査をおすすめしたいのが将来的に妊娠を考えている女性。「妊娠する平均年齢が高くなっている今、若い頃から栄養バランスを意識することがより大切に。自分は健康だと思っていても、いざ子どもを産みたいと思った時に妊娠が難しくなってしまっていた、なんてケースも実際にあります。将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことを“プレコンセプションケア”といい、栄養解析はその一環として検討していただけると嬉しいです。」
佐野先生から検査の流れを聞いたら採血へ。採血が終わったら、今後の流れの説明を受け、問診票を記入したら検査当日は終了。検査結果が出るまでの1か月間のうち、3日間分の食事を記録して、栄養指導時に持参します。
問診票では、食習慣や不定愁訴を細かく記入し、栄養解析結果と合わせて、症状緩和のために栄養指導に活用されます。
栄養解析検査の結果は…?
約1か月後、再びクリニックに。診察室で解析レポートを見ながら、まずは佐野先生から検査結果の解説を聞きます。
解析レポートには不足や過剰な栄養素、その働き、不足や過剰によって起こりうる症状、自分に必要な栄養素がわかりやすくまとめられています。
「栄養解析レポートでは、一つひとつ多い、少ないなど指摘が入りますが、栄養は総合的に診るもの。それぞれの数値よりもレポート内で提案されている“あなたに必要な栄養素”という項目を重点的に見ていきます。
まず、タンパク質が足りていないと出ていますが、タンパク質代謝をよくするにはビタミンB6が必要で、タンパク質だけでは身にならないので一緒に摂りましょう。ビタミンについても全部で13種類あり、互いに助け合って作用するため、ビタミンB6だけではなく、ビタミンB群として摂るのがベターです。
鉄も不足していますね。フェリチンという貯蔵鉄が、今回の結果では58.6ng/mLで基準値内には収まっていますが、心身ともにいい状態の目安は80ng/mL以上。ハセさんは低用量ピルの服用で銅の数値が高く、この影響で実はフェリチンの数字も実態よりも高くなっています。それを踏まえると、実際のフェリチンはさらに不足している可能性が高い。鉄を増やすことで、疲労感などが軽減されると思います」
他にも、亜鉛、ビタミンCが不足状態。亜鉛は細胞の代謝に関係し、美容面でもメリットが多い栄養素。同じく美容のイメージが強いビタミンCも、細胞を強くする効果が。ただ、ビタミンCは水溶性なうえ、ストレスで消費されやすいため、サプリメントなどで継続してしっかり摂ることが重要と佐野先生は言います。
「まずはビタミンB群とタンパク質を増やす努力を。鉄を運ぶのもタンパク質なので、この二つをしっかり摂れば、フィジカル面もメンタル面も今より調子がよくなると思いますよ。加えて、筋肉量を増やし、体重を増やせればベターです」
管理栄養士の食事指導で体質改善
実際に、不足している栄養素を補うためにはどんな食事を摂ればいいのか。佐野先生の解説のあとは、管理栄養士の篠原絵里佳先生によるカウンセリングへ。
「栄養素は互いに助け合って機能するため、全部揃ってはじめてきちんと力を発揮する。だから、バランスの良い食事、というのが推奨されるのです。主食は太りやすい、と避けたり、減らす人も多いですが、主食の中には糖質だけではなく、タンパク質やミネラル、ビタミンなど様々な栄養素が含まれています。タンパク質も糖質がないと働かないため、両方一緒に摂りたいですね。
また、カロリーが不足していると本来、肌や髪、ホルモン、血液などの原料になるはずのタンパク質がエネルギーとして消費されてしまい、疲れやすかったり、生理不順、PMS(月経前症候群)の原因にも。ハセさんの場合はタンパク質と鉄が足りていないうえ、全体のカロリー量もやや不足している印象なので、食べる量をもう少し増やしたほうがいいかもしれません。夕食に糖質をあまり摂っていないので、夕方の間食でおにぎりを入れられたらベストですね!
亜鉛も不足していますが、鉄が多く含まれる食材を選べば、自然と亜鉛が摂取できるので、まずは鉄を含むタンパク源を意識して摂りましょう。代表格のレバーはクセが強く、好き嫌いが分かれるので、牛肉、豚のヒレ肉でもいいと思います。1食あたりの摂取量の目安は手のひら一枚分です」
鉄が不足してしまう要因として、牛肉をはじめ、肉が苦手で摂取量が少ない自覚があったハセ。その場合はどうしたらいいのか、篠原先生に尋ねると「カツオやマグロなど、身が赤い魚もおすすめです。アジやイワシ、サバなどの青魚も結構、鉄が多いんですよ。手軽なのはツナ缶。サラダにのせたり、キャベツとマヨネーズと和えてトーストにするのも栄養的に◎です」。
魚にはビタミンB6、豚肉にはビタミンB1も多く含まれ、ビタミンB群も一緒に摂取できるのがメリット。ほうれん草や小松菜にも鉄分は含まれていますが、吸収率がとても低いのだとか…。「吸収率を高めるには、ビタミンCを含むトマトや果物も一緒に食べましょう」と篠原先生からアドバイスをもらいました。
亜鉛が特に多いタンパク源は魚介。「貝なら水煮缶や佃煮がお手軽ですね。女性ホルモンの働きを高めて代謝を上げる効果があるので、髪や皮膚のターンオーバーが早くなり、ツヤツヤしてきますよ。他には、きのこや魚、特にシャケにたっぷり含まれるビタミンD、腸内環境を整える善玉菌が多い発酵食品は、総合的に体の調子を整えるのに大切なので、積極的に摂取したいです。」
さらに、篠原先生が強調していたのが朝食の重要性。「朝ご飯を食べない女性が結構多いのですが、朝食べたものを材料にして、夜眠るためのホルモン、メラトニンを作るため、朝食が眠りの質を高め、スッキリとした目覚めに導き、好循環を生み出します。
特に重要なのが朝の糖質とタンパク質。糖質を摂取するとインスリンというホルモンが出て、体内時計をリセットします。リセットしないとだんだん体内時計が後ろにずれて、夜型人間に。また、朝のタンパク質は体温を上げ、運動をしなくても、筋肉量を増やすこともわかっています。ハセさんは、朝食がしっかり食べられているところがとてもよいポイント。食べる習慣がない人も、まずは豆乳、バナナと少しずつ増やして、朝食を習慣化しましょう。」
多忙な現代人、サプリメントも上手に活用して
どんな食事が理想的か頭では理解しても、食事は毎日のこと。家事や仕事に多忙な中で、完璧を目指すのは誰だって難しいですよね。そこで、最後に篠原先生にサプリメントとの付き合い方について教えてもらいました。
「もちろん、食事で十分な栄養素を摂れるのが理想ですが、多忙なうえ、ストレスでどんどん栄養素が消費されてしまう現代社会において、サプリメントは必要なものかなと思います。
ただ、何を原料に栄養素を抽出しているのかわからないものもあるので、信頼できるものを見極めるのが大事。病院でお勧めしているサプリメントは品質が良く、その点が安心なので、医療用サプリメントを活用するのも一つの手です」
今回はマルチビタミンと鉄のサプリメントを購入。3か月くらい続けると、効果を実感しやすいとのことなので、タンパク質を意識して摂りつつ、体調の変化を見守ることにしました。
栄養解析検査をやってみて、ここがよかった!
・自分の食事を振り返るきっかけになった。
・不定愁訴改善の道筋がついた。
・栄養素の重要性を知り、食事への意識が高まった。
・栄養状態を可視化できたのが面白かった。