ここがお蕎麦屋さん!? 自然派ワインとのペアリングも。静岡・浜松の人気蕎麦屋さん〈手打ち蕎麦naru〉が気になる! FOOD 2018.08.28

ちょっと足をのばしてゆっくり味わいたい、おいしいお蕎麦屋さんとは?カジュアル空間に、充実のおつまみや自然派ワインとのペアリングなど、新たな蕎麦の楽しみ方を教えてくれる静岡・浜松のおすすめ蕎麦屋さん〈手打ち蕎麦naru〉をご紹介します。

今、最も身近で新しい蕎麦カルチャー発信地。

今年7月に10周年を迎えた〈手打ち蕎麦naru〉、通称「なるそば」は、蕎麦屋でありながら気ままなのがいいところ。

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店奥にある広いスペースは、「離れ」的に食事もできるし、その時々で展示やライブ、映画上映といった催しが繰り広げられる多目的な空間。

蕎麦はしっかりおいしくて、それでいて蕎麦屋特有の格式や敷居の高さを潔いまでに感じさせないつくり。ラフに置かれたアート作品から手作りクッションまで、奔放な雰囲気が行き渡っている。

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2階へ上る階段スペースには、木でできたオブジェ。

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奥の部屋には巨大なグラフィック。アートも蕎麦も身近に。

店主の石田貴齢さんは、かつて思い立ち、数年かけて蕎麦打ちを習得。2008年から地元・浜松に戻り、晴れて腕をふるい始めた。曰く「自分が好きな、居酒屋みたいな居場所を作りたかった」とか。

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多いときは日に5回、客席からその姿が見える蕎麦打ち部屋で打つ、謹製の二八蕎麦。箸でつまんで口にすると、この穏やかな空間にあって、ハッと目が覚めるほどの繊細さが味わえる。メニューには「せいろ蕎麦」や「鴨汁せいろ」といった定番に加えて「豆乳蕎麦」なんて変わり種も。夏の定番「トマトせいろ」は、あっさりしてさっぱり。

夏に人気の「トマトせいろ」1,080円(各税込)
夏に人気の「トマトせいろ」1,080円(各税込)

立ち上がる薬味の大葉の香りも手伝って、食べ進めるごとに暑気を払ってくれる。

一品料理に目をやれば、だし巻きや焼き海苔に並んで、ハムカツやソーセージの盛り合わせもあって、やはり蕎麦屋であることには徹底的にこだわらないスタイル。

おつまみが充実しているのもうれしい限り。炭火で炙る焼き海苔550円。蕎麦に合う ヴァン・ナチュール1杯900円~
おつまみが充実しているのもうれしい限り。炭火で炙る焼き海苔550円。蕎麦に合う ヴァン・ナチュール1杯900円~

「打ちたて」「ひきたて」「ゆでたて」を守りながら、時季によって北海道、長野、福井産などの蕎麦粉を使い分け。時々の「うまい蕎麦を味わってもらえたら」との気持ちが伝わってくる。

店名の「naru」は「なんとかなる」が由来。ここ数年は、顔が見える作り手から食材を仕入れたり、海外でポップアップ蕎麦屋を開いたり。自然派ワインを出すようになったのも含めて、新たな要素を取り入れてアップデートを続けてきた。

ふと、さらに10年後の「なるそば」はどんな店になっているかと考えた。味や食材、内装も変わって、場所もここじゃないかもしれない。それでもきっと、おいしさや居心地のよさは変わらないんじゃないだろうか。

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〈手打ち蕎麦naru〉

■静岡県浜松市中区板屋町102-12 マルツビル2F 
■053-453-7707 
■11:30~14:00、18:00~21:30(日11:30~15:00 ) 月休 
■20席/禁煙

(Hanako1161号掲載/photo : Maruo Kono text : Junya Hirokawa)

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