n_MG_0770atari

待望の週一復活! 八王子の老舗喫茶〈馬天使〉が愛され続ける理由とは? Food 2018.03.06

昨春閉店した八王子の老舗喫茶〈馬天使〉が常連客の後押しで週に一度、土曜日だけ復活!心からほっとできると、〈馬天使〉が愛され続ける理由を探りました。

〈旅する馬天使〉/西八王子

s_MG_0770atari

ひとり、またひとり……。土曜日を待ちわびていたかのように扉が開く。〝マスターいつものカレー、すぐできる?〞。開店早々、駆け込んできた常連客に、〝あいよ〞と声をかけ、厨房に向かうのは保髙泰一さん。八王子の喫茶店〈馬天使〉を、34年間、ひとりで営み続けてきた店主だ。昨年3月、ビルの老朽化で退去を余儀なくされるも、常連客の惜しむ声が後を絶たず、西八王子にある喫茶店を土曜日だけ間借りして、〈旅する馬天使〉として10 月から再開したのだという。

先代オーナーから引き継いだというカレーライスは、程よくスパイシーで食欲をそそる味。700円。飲み物付き1,000円(各税込)
先代オーナーから引き継いだというカレーライスは、程よくスパイシーで食欲をそそる味。700円。飲み物付き1,000円(各税込)

20年あまり通う臨床心理士の女性は、〝保髙さんがいる喫茶店は、ないと困る、替えがきかない存在〞と、移転した今も足を運ぶ。写真家、ミュージシャン、若手画家……。店主の人となり、作り出す空間に惹かれて、多様な客が通っていた。その中には、デザイナーとして歩き始めたばかりの「ミナ ペルホネン」の皆川明さんもいた。「皆川くんは、チーズケーキが好きでね」。保髙さんはそう言って、懐かしそうに目を細める。

s_MG_0996atari

皆川さんが好きなレアはお休み中だけれど、ベイクドチーズケーキ400円は健在。保髙さんが試作を重ねた自信作だ。

保髙さん自身もまた、喫茶店に育てられた人だ。
「音楽が流れていて漫画や雑誌があって、煙草をくゆらせながらコーヒーを飲み、何することなく過ごせる場所。東京に行ったら、そんな〝さてん〞に行くのが憧れだったから。」

「軽食がある、いわゆる喫茶店もあれば、キリマンジャロやブルーマウンテンを淹れるコーヒー専門店もあった。話をしに来る人、考えごとをする人。皆、思い思いに過ごしてました。私は、もっぱらロック喫茶。政治、世界情勢、世の中のことはすべて音楽に教えてもらったかな」

アルバイトと喫茶店通いの日々。そのうち、当時の〈馬天使〉のオーナーに出会った。
「飲食店はやったことがないけど、よく知る場所。やってみるか」と、店を引き継いだ。33歳だった。
「喫茶店をやってみて感じたのは、ほんとに色々な人がいて、色々な事情を抱えているんだなぁということ。それを話したい人もいれば、放っておいてほしい人もいる。失敗もしました。かと思えば、ふとした会話からうちの店の写真を撮ってくれるようになった人もいたり、なにより〝ここにいると落ち着くんだよ〞という声を聞くのがうれしくてね」

気づけば、34年。朝の9時半には店に入って仕込みをし、客の話に耳を貸しながら、コーヒーを淹れ、軽食を作り、片付けを終えて店を出るのは、決まって、日付が変わるころ。

MG_0879atari

コーヒーは、20歳のころから毎朝、いろんな豆を試しながら淹れていた。

「だから、自分が好きな音楽をかけて、好きな本や写真、ガラクタを置いて、過ごしやすいように工夫していました」

MG_0936atari

今は厨房がカウンターの奥。“調理中、保髙さんの姿が見えないのが寂しい”という声もあるけれど、作り終えればこの通り。以前と変わらぬ風景。

どんな人でも〝ここにいていいんだ〞と思える。そんな喫茶店だったからこそ〈馬天使〉は少しだけ名前を変えて、今も続いている。まだまだ続けますか? と尋ねると、「いい場所が見つかったら、〝旅する〞の3文字を取って、開店したいという持ちもありますよ。〝まだ生きてますから、来てね〞って(笑)」。

こんな記事もおすすめ!
☆連載、編集Tが通う心やすまるカフェ&喫茶店「渋カフェ」はコチラ!
☆建築デザイナーの美学が詰まった原宿の名喫茶はこちら!
☆初心者でも気軽に楽しめる喫茶4軒はこちら!

(Hanako1150号掲載/photo : Kenya Abe text : Yuko Saito)

Videos

Pick Up

記事4_top_1Peachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅④ | カヌーで巡るマングローブ原生林、海が青すぎる展望台…世界自然遺産を体感!絶滅危惧種を含むユニークな動植物が数多く生息する鹿児島県の奄美大島。奄美群島のひとつである徳之島、沖縄島北部、西表島とともに2021年に世界自然遺産に登録され、海外からも熱い視線が集まっています。 サンゴを育む奄美ブルーの海と白砂がまぶしいビーチ、アマミノクロウサギをはじめとする天然記念物も暮らす亜熱帯の森やマングローブの原生林。地球の宝ともいえる、奄美ならではの美しい自然を味わってみませんか? 奄美大島は「アクセスが良くない」というイメージもありますが、LCCのPeachが運航する直行便なら、成田空港から約3時間、関西空港から約2時間。そして時期によっては片道4,990円からとリーズナブル! “遠い楽園”が身近になるPeachの直行便で奄美大島2泊3日の旅に出たのは、ハナコラボパートナーである藤井茉莉花さん。今回は美しい海岸と展望台、マングローブの森でのカヌーツアーを体験した絶景&アクティビティ編をお届けします。 ※奄美群島のアクティビティの情報は、「あまみシマ博覧会」のサイトでも探せます。 https://www.amami-shimahaku.com/ 公式サイトはこちらTravel 2023.03.22 PR
お散歩がてら“おいしい”を満喫!東京・町田のレトロなグルメスポット5選お散歩がてら“おいしい”を満喫!東京・町田のレトロなグルメスポット5選いま最も注目を集めるスポット・町田。活気あふれる商店街を始め、地元の人に愛される洋食店、100年以上続く名店など、気になるお店が盛りだくさんなんです。そこで、今回は“レトロ”をキーワードに、いま行くべきグルメスポットを厳選。次の休日、きっと町田に行きたくなる!(PR/町田市)Food 2023.03.22 PR
SPpeachPeachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅。2021年に世界自然遺産に登録された鹿児島県の奄美大島。一年を通して比較的温暖で豊かな森も美しい海も楽しめ、旅先に選ぶ人が増えています。 簡単におさらいしておくと、奄美大島は鹿児島本土と沖縄の間の洋上に浮かぶ離島。加計呂麻島や徳之島、沖永良部島など周辺の島々を合わせて奄美群島と呼び、フェリーや飛行機を使って群島ホッピングも可能です。 そんな奄美大島、いざ行くとなると「アクセスが良くなさそう」「航空券も高くなるのでは」と心配の声が聞こえてきますが…。大丈夫です! 日本のLCCを代表するPeachなら、奄美への直行便があるのです。成田空港から約3時間、関西空港から約2時間、そして(時期にもよりますが)片道4990円からとリーズナブル。これは、躊躇していたら損!Travel 2023.02.28 PR
サントリーvol3SP文筆家・塩谷舞による「今日、サントリーホールで。」Vol.3「何か豊かなものに触れて気持ちを切り替えたい。美術館で何かいい展示してないかな、映画館は……」。そんな日常の選択肢に加えて欲しいのが「コンサートホール」。クラシックといって構える必要はありません。純粋に音を楽しむのはもちろん、目を閉じてゆっくりと息を吸いながら、最近の自分のことを振り返ったり、あるいは遠くの場所や知人のことを思い出したり。ホールを出るころには心と体がふわっと軽くなる。文筆家・塩谷舞がサントリーホールで体験して綴る、「コンサートホールのある日常」。Learn 2023.02.28 PR
サントリーホールのオルガンは、オーストリアのリーガー社謹製。職人たちが1年がかりで手作業で作ったパイプをはるばる船で運び、半年かけて設置したのだとか。文筆家・塩谷舞による「今日、サントリーホールで。」Vol.2「何か豊かなものに触れて気持ちを切り替えたい。美術館で何かいい展示してないかな、映画館は……」。そんな日常の選択肢に加えて欲しいのが「コンサートホール」。クラシックといって構える必要はありません。純粋に音を楽しむのはもちろん、目を閉じてゆっくりと息を吸いながら、最近の自分のことを振り返ったり、あるいは遠くの場所や知人のことを思い出したり。ホールを出るころには心と体がふわっと軽くなる。文筆家・塩谷舞がサントリーホールで体験して綴る、「コンサートホールのある日常」。Learn 2023.01.27 PR
記事3_top_1Peachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅③ | 絶景サンセットから、夜の森でアマミノクロウサギに遭遇!絶滅危惧種を含むユニークな動植物が数多く生息する鹿児島県の奄美大島。奄美群島のひとつである徳之島、沖縄島北部、西表島とともに2021年に世界自然遺産に登録され、海外からも熱い視線が集まっています。 サンゴを育む奄美ブルーの海と白砂がまぶしいビーチ、アマミノクロウサギをはじめとする天然記念物も暮らす亜熱帯の森やマングローブの原生林。地球の宝ともいえる、奄美ならではの美しい自然を味わってみませんか? 奄美大島は「アクセスが良くない」というイメージもありますが、LCCのPeachが運航する直行便なら、成田空港から約3時間、関西空港から約2時間。そして時期によっては片道4,990円からとリーズナブル! “遠い楽園”が身近になるPeachの直行便で奄美大島2泊3日の旅に出たのは、ハナコラボパートナーであるフォトグラファーのもろんのんさん。今回はサンセットの名所と森のナイトツアーを体験した絶景&アクティビティ編をお届けします。 公式サイトはこちらTravel 2023.03.14 PR
記事2_top_1Peachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅② | とれたての海鮮丼から、島唄居酒屋で歌って踊って!?2021年に世界自然遺産に登録された鹿児島県の奄美大島。一年を通して比較的温暖で、豊かな森も美しい海も楽しめ、「沖縄より混雑していない」ことでも注目されて、旅先に選ぶ人が増えています。 簡単におさらいしておくと、奄美大島は鹿児島本土と沖縄の間の洋上に浮かぶ離島。加計呂麻島や徳之島、沖永良部島など周辺の島々を合わせて奄美群島と呼び、フェリーや飛行機を使って群島ホッピングも可能です。 そんな奄美大島、いざ行くとなると「アクセスが良くなさそう」「航空券も高いのでは」と心配の声が聞こえてきますが…。大丈夫です!日本のLCCを代表するPeachなら奄美への直行便があるのです。成田空港から約3時間、関西空港から約2時間、そして(時期にもよりますが)片道4,990円からとリーズナブル。これは、躊躇していたら損! そこで、ハナコラボ パートナーである藤井茉莉花さんが奄美大島2泊3日の旅へ。 奄美に魅せられて移住し、現在は多拠点でライターや通訳士として活動する藤原志帆さん(https://enjoy-amami.com/)に教わったおすすめスポットをまわります。 今回は海鮮丼、島唄割烹、お土産のセレクトショップなど、グルメ&お買い物編をお届けします。 公式サイトはこちらTravel 2023.03.07 PR
記事1_top_1Peachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅① | 島とうふにスパイスカレー、超地元スーパーでおかいもの。2021年に世界自然遺産に登録された鹿児島県の奄美大島。一年を通して比較的温暖で、豊かな森も美しい海も楽しめ、旅先に選ぶ人が増えています。 簡単におさらいしておくと、奄美大島は鹿児島本土と沖縄の間の洋上に浮かぶ離島。加計呂麻島(かけろまじま)や徳之島(とくのしま)、沖永良部島(おきのえらぶじま)など周辺の島々を合わせて奄美群島と呼び、フェリーや飛行機を使って群島ホッピングも可能です。 そんな奄美大島、いざ行くとなると「アクセスが良くなさそう」「航空券も高いのでは」と心配する声が聞こえてきますが…大丈夫です! 日本のLCCを代表するPeachなら、奄美への直行便があるのです。成田空港から約3時間、関西空港から約2時間、そして(時期にもよりますが)片道4990円からとリーズナブル。これは、躊躇していたら損! そこで、ハナコラボ パートナーでフォトグラファーでもあるもろんのんさんが奄美大島2泊3日の旅へ。 奄美に魅せられて移住し、現在は多拠点でライターや通訳士として活動する藤原志帆さん(https://enjoy-amami.com/)に教わったおすすめスポットをまわります。 まずは、島とうふの定食にスパイスカレー、超地元スーパーでショッピングなど、グルメ&お買い物編をお届けします。公式サイトはこちらTravel 2023.02.28 PR