お気に入りの本屋さんで癒しタイム! ほっと一息。カフェ併設の個性派書店6軒〜その1〜
2回にわたってカフェ併設のこだわりが詰まった書店をご紹介。お店おすすめの本と充実したカフェメニューで、あなたの好きな世界観に浸ってみてはいかがですか?
1.〈かもめブックス〉/神楽坂
神楽坂で長年愛された町の書店跡に誕生して2年ほど。陽射しの注ぐカフェでコーヒーの香りに迎えられると、視線の先には棚いっぱいの本。しかし不思議と圧迫感はなく、よく見ると棚ごとにテーマがあったり常連客のオススメ本コーナーがあったり。本好きならずとも誘い込まれて、やがて奥のギャラリーにたどり着く。出版を裏方で支える校正会社〈鴎来堂〉が手がける知の空間は、訪れる誰もが楽しめる場に。カフェと書店、ギャラリーは互いに独立しながらゆるくつながり合う存在。カフェへの本の持ち込みは購入してから。
一般の新刊書店とは一線を画す品ぞろえ。選書には書店スタッフ全員が携わる。
特集にあわせて、スタッフ手書きのひと言を添えた帯も作る。
雑誌に特集があるように本棚にも特集があり、テーマは随時更新される。
現代美術家にして回文作家による作品集。
イスラエルの作家による戦時下の日常を描いた自伝的随筆。
テイクアウトも人気。コーヒーは京都の自家焙煎豆専門店〈WEEKENDERS COFFEE〉から、焼き菓子は神楽坂〈ACHO〉から。
神楽坂駅矢来口から徒歩30秒。青いテントが目印。
2.〈Title〉/荻窪
青梅街道沿いに2016年1月、小さな書店が開業。店主は伝説の書店〈リブロ池袋本店〉でマネージャーを務めた辻山良雄さん。漫画雑誌や文庫本、ベストセラーもある一方、約4割は辻山さんらしい通好みな品ぞろえに。文学や芸術、社会から絵本まで書き手の切実な生き方を生の言葉で描いた本を読みながら、書棚の先にある隠れ家のようなカフェで静かな時間を過ごしたい。POPやサインは置かず、読み手と本が向き合える空間に。
店奥のカフェからコーヒーの香りが漂う。
「本って読む人がその人らしく生きるために必要なもの」と辻山さん。
自分と向き合うことを血が噴き出すほど切実に力ある言葉で描いた随筆。
何気ない日常を平易な言葉で描きながら背後に潜む闇を感じさせる作品。読んだ後で何かを考えざるをえないと辻山さん。
「Titleブレンド」450円は、吉祥寺の自家焙煎店〈珈琲散歩〉の豆を使ってハンドドリップ。
ギャラリーでは展示や読書会などイベントも。
3.〈ブックカフェ二十一世紀〉/神保町
SFやミステリ、映画・芸能、サブカルの分野で支持される古書店〈二十世紀記憶装置@ワンダー〉がカフェを設けて1年半。マニアから譲り受けたコレクションをゆっくりめくる楽しさもさることながら、本を軸にしたイベントの充実ぶりも人を惹きつける。著者によるトークショーや落語会など内容は様々だが、ここに来れば何かに出会える。窓は新たな世界に開いている。書架の本は閲覧自由で購入も可。
落語本も充実。毎月1 回「日曜ぶらり寄席」も開かれる。
昭和20年代の創刊号からそろう映画雑誌は映画館の主から譲り受けたもの。
トキワ荘の紅一点、“女王塚”と呼ばれたレジェンド漫画家による1970年代ロックカルチャーを凝縮した作品。絶版を手に取れるのも古書店の強み。
直門の弟子が談志の姿を生き生きと描く。
「アップルタイザー」380円を飲みつつ、ゆっくりページをめくる。
イベント詳細はHPから。
(Hanako1127号掲載/photo : Yoko Tajiro text : Mutsumi Hidaka)