花井悠希の朝パン日誌 vol.45 令和スターを探せ!?…〈Truffle Bakery〉と〈Pain des Philosophes〉 LEARN 2019.05.06

「令和」始まりました。令和初の朝パン日誌です!令和の時代はどんなパンが新たに生まれるのでしょうか。平成の間にも、きっと平成の始まりには想像もつかなかったであろうパン達が登場し、ジャンルも幅広くなったように感じます。令和最初の朝パン日誌は、そんな今を象徴するような新風を感じるパン屋さんをご紹介します!

高級食材meetsパン…〈Truffle Bakery〉

「白トリュフの塩パン」
「白トリュフの塩パン」

きっと平成の始まりには、白トリュフをパンに入れようという発想はなかったはず!?それにしてもこの子の自己主張はすごかった。袋を手渡されたその瞬間から白トリュフの香りをムンムンと振りまいて、出し惜しみなんかしないのだ。尽きる気がしない香りの濃厚さで早く早くと急かしてきます。朝まで待って、と何度夜語りかけたか(←危ない人)。一口齧るとじゅわっ。口内でバターなのかオイルなのか油脂が滲み広がります。じゅるりと反応する私のお口、素直でよろしい(自画自賛)。皮は厚めで、中の生地は想像よりも甘みがありもちっとしています。甘みを転がしもちもちを噛みしめているとじゅわってジューシーさが出てきて、キ・ケ・ン(笑)!しっかりと密度もあるので白トリュフを迎え撃つ準備はできているのです。

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そして白トリュフゾーンよ。おや?香りに比べたら白トリュフの味は控えめな印象です。香りの前情報故にどれほどムンムンと白トリュフが仕掛けてくるかと思ったら、消えゆく間際にテイストは残るけど、色んなお食事に合わせることも出来るくらいコミュ力高し!生地の甘みと塩気のバランスがいいんだなぁ。人は見かけによらないな(人でもないし見かけでもない)。鼻にまだぽわーんと漂う残り香だけでもう一つパンを食べられそうです(笑)。でもやっぱりこのムンムン香り立つ感じは朝というより夜に食べたいかも。

「角食パン」
「角食パン」

もちっとしなやか。こんな肌になりたいと、大人のゆらぎ肌を抱えた私が嫉妬するほどきめ細かい柔肌の持ち主です(さりげなくお悩み相談)。トーストするとカリッと表面はなるものの、しなやかなどこまでも撫でたい柔らかさはステイ。でも、そのもちっとした生地感も甘さも小麦の強さも全体的に角がなく和やかで、なるほど、これこそバランスのいい食パンなのではという感じ。どんな人にも胸を張ってオススメ出来る、そう、令和の時代にもきっと沢山の人から長く愛される食パンであること間違いなしです!流行りの水分量高めな生地でありつつ、スマート。平成の流行も感じる食パンではないでしょうか。

「ラムレーズンチョコサンド」
「ラムレーズンチョコサンド」

強いよラムレーズン、強いよクリーム、強いよチョコレート。みんなみんな強い。食パンとは真逆な攻めの姿勢です。ラムの香りが豊かなクリーム、プリッと大ぶりのレーズン、挟まれた板チョコは薄いのに酸味と苦味どちらも声高らかに主張してくるから、相手するの大変よー(褒め言葉)!パン生地もしっかりした歯応えのハードさを放っているのに、この子たちを前にすると脇役に徹しています。だからパンなのにまるでラムレーズンチョコレートを食べているよう。こんなにも小さなパンの中に個性がぎゅうぎゅうひしめき合っておりました。

フィロソフィーを感じるパン屋さん?…〈Pain des Philosophes〉

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お客様が2人入ったらもう満員みたいな小さなパン屋さんも増えましたね。揺るがない信念をもったパン職人さんの工房にお邪魔するような感覚のそんな小さなお店は、パン職人さんのカラーやフィロソフィーを垣間見られる気がして大好き。これからはもっとそういう色が強くなっていくんじゃないかなぁ。

「クロワッサン」
「クロワッサン」

美しくそびえ立つ大きな口を開けないと入らない高さをパリパリと崩す快感といったら。あなたの中に眠る小さな破壊欲求もきっと満たしてくれるはずです(皆ある、よ、ね?)。

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外側も内側も端正で隙のないルックスは裏切らず、バターの香り、甘み、小麦の香り、全てが綿密に組み立てられていて、クロワッサン界のサラブレッドと対面しているかのよう(少し緊張)。でも決してクセが強いわけではなく、緊張の面持ちの私にも気さくに美味しいを伝えてくれました。

「バトンシュクレ」
「バトンシュクレ」

クロワッサンの生地にシナモンときび砂糖がまぶされたこちら。買ってすぐに店先で頂きました。

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かりっとチョコバーのように齧ると、いい意味で駄菓子感覚というか、揚げパンのような親しみやすさで答えてくれます。きび砂糖にシナモンがしゅわしゅわ。きび砂糖の分量の方が多いからかこのしゅわしゅわ感が強いです。揚げパンの砂糖のこの口内で溶ける感じ、好きだったなぁ。でも最後にきっちりクロワッサンが仕事するんですよね。バターの味わいが押し寄せて、甘く香り高い余韻を残してくれました。

「フィセルドゥシャンブル」
「フィセルドゥシャンブル」

デュラム小麦の色味だと教えて頂いた黄色い生地は、親密さと温もりを持って迎えてくれます。クラストは薄く軽く、もちもちだけどほわっと抜け感のある柔らかさのクラムは噛みしめるほど甘みが滲み出し、表面にも中にも練り込まれた麻の実がぷちぷちと小気味よく弾け風味を撒き散らします。

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この麻の実の風味がピーナッツでもアーモンドでもない、なんとも奥行きのある味わいを放つんですよね。甘み感じる生地と相まって複雑な風味へと、フランスパンのまだ見ぬ領域へと誘ってゆきます。

「ル・ヴィニュロン・ブラン」
「ル・ヴィニュロン・ブラン」

白ワイン仕込みの生地は鼻に抜ける香りがとにかく華やかで爽やか!街中ですれ違ったら絶対振り返っちゃうやつですね(どんなやつだ)!

背中
背中

バリッとストロングなクラストは直球な苦味でパンチを食らわされたかのように目が覚めます。かと思ったら内側は、ツンデレか!と言いたくなるようなもっちり生地で包んでくれて。ごろっと出てきた大きな林檎は、甘さが前に出るタイプではなく白ワインの華やかな酸味が勝っています。甘露煮とは違う爽やかさが清々しい。レーズンもそう。くるみもドーン!林檎もバーン!!どれもこれもスケールが大きい!

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クラストとクラム、それぞれがレーズン、クルミ、林檎、どの子と手を組むかによって、一口一口全く異なる相性の味わいを見せてくれます。そこの美声のあなたもきっと「んーうまい」と思わず低音で唸っちゃう一品です(美声じゃなくても)。

いかがでしたか?今私が思う、新たな時代のスター候補?なパンをご紹介しました。令和に入っても朝パン日誌でパンへのラブレターを綴り続けますよ。よろしくお願いします!

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