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2019.03.04

第41回 花井悠希の朝パン日誌 vol.41 冬を楽しめ!…〈Le Grenier a Pain〉と〈Pain de Lasa〉

寒さに身体を強張らせる日があれば、梅が咲くうららかな暖かい日もやってきて、季節の変わり目を体感する今日この頃。冬はパンも冷たく私達と同じようにその身を縮こまらせたりするのがなんとも愛おしい。残り少ない冬にお別れを言うべく、冬の冷たさでこそ食べたいパンを贈ります。

パリっ子に憧れて…〈ル・グルニエ・ア・パン〉

「ジャンボン ブール」(展示会中だったため奥には私が手がけているブランド「PANORMO」のカタログが!)
「ジャンボン ブール」(展示会中だったため奥には私が手がけているブランド「PANORMO」のカタログが!)

ハムとバター、以上!!常温だろうか、角がふにゃっと少し折れた板状のバターがハムを上にのせ堂々と挟まっているではないか。こんなにも愛してやまないバターなのに(バターよ伝わっているかい?)、この常温バターとロースハムだけ挟まれたバゲットサンドには少しばかり戸惑ってしまいました。でも、今こそ己のバター愛が図られている気がして、バターへの忠誠を誓い挑んでみました(概ね大袈裟な人)!

カリッと香ばしくしっかりした歯応えのバゲット生地を抜けると、バターはいとも簡単に口内の温度に順応して四方八方に広がっていきます。そりゃそうだ。こんな贅沢にデーンとのっているんだもの。3mmくらい厚みがあるんだもの。そして室温になってゆるみきっているんだもの。そーりゃあ瞬時に溶けちゃうよねぇぇぇー(←誰)。ハムはバターのベールに包まれて、肉の甘みが引き出され塩気はマイルドに届きます。もちろんこのバターの恩恵はバゲットの方にも。バゲットの気泡に入り込み小麦とがっちり手を握ったら、やわやわとしたバターのコクがバゲットにしなだれかかるよどこまでも。たった三つ、されど三つ。なのに掛け算のように旨味と幸福感がじわじわと満ちてきます。この究極の三位一体の中心人物は間違いなくバターです。一つ一つの素材が際立ち、究極にシンプルな潔さに惚れ惚れ。私が子供の時にはこんなサンドイッチなかったよ。

冬の室温だからこその絶妙な溶け加減を今味わってほしい!口内よりバターの温度が低いから熱で溶けていく感触をより味わうことができるんですよね。きっと暖かい時期とは印象が変わるんではないでしょうか。急ぐべし!

ホッとするパン揃ってます…〈Pain de Lasa〉

「豆乳クッペ」
「豆乳クッペ」

練乳バタークリームの一撃。バキュン!挨拶もそこそこにしっかり主張してきました。冬の気温で固まっていたクリームが口内の温度で緩み、滲み、溶ける。この溶ける三段活用に伴って、ゆっくりと甘やかでコッテリしたコクが変化しながら絡みついてきます。

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これこれ!また出ましたよ、冬ならではのパンの楽しみ!!淡いグラテーションのような溶け方の穏やかさがいいんです。水を使わず豆乳を使った生地は、小さな気泡のクッションがたっぷりでふんわりした立ち上がり。そのライトなテイストは、コクが強いクリームと足して引いて良いバランスです。

「クリームパン」
「クリームパン」

バルミューダで温めたからかもしれませんが、照りのいい表面は膜が張ったようなハリが!こちら、見た目のカルツォーネ感を裏切らず、表面パリッと、中からトロトロが出てくる子でしたよ。カルツォーネって、半分に割ったらトロトロのチーズの波が押し寄せてくる三日月型のピザのようなあれです。

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こちらのトロトロは、もちろんカスタードクリーム。ハリのある表面ギリギリまでパンパンに詰め込まれたクリームは、どことなくたい焼きを思い出させてくれる人懐っこさもあって、ミルキーだけどこの量でもクドくない甘さ加減に親近感を覚えました。

「りんごのレーズンまき」
「りんごのレーズンまき」

なんとも素朴な名前が目を引くこの子。林檎のコンポートがうまー(食レポ下手か)!

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シャクシャクと生命力が残る歯応えに、生林檎の瑞々しさを感じる酸味、だけどコンポートによって濃くなる旨み!!それらが、こちらのレーズンパンに巻かれております。このレーズンパンがね、また昔ながらのパンの装いなので、林檎にも付かず離れず、オレオレでもなくね、非常に伸び伸びと楽しませてくれますよ。

「コーヒーベーグル」
「コーヒーベーグル」

喉の奥に引っかかるコーヒーの苦味にしめしめと笑みがこぼれて、気づけばニヤニヤとした企み顔で頬張っている私がいました(危ない人)。

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ベーグルは期待に応えてのみっちりむっちりボディ。むきむきの褐色肌の彼をむぎゅむぎゅ噛み締めて、忍ばされたチョコチップの甘さを探します。ほろ苦い所に、時折出会う甘み……初恋か!!

「クランベリーとカシューナッツのパン」
「クランベリーとカシューナッツのパン」

食パン2斤がスモールライトで小さくなっちゃった!みたいな、形はそのままに大きさだけが片手で収まるほど小さくなった2山をじっと眺めていると、クレヨン○んちゃんを思い出してしまったのは、私の幼い時の好みのせいですか(よく見てたよ、映画も見てたよ)?

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見た目だけじゃなく、食べてみてもその香ばしい外側の皮もふっくらした内側も一丁前に食パンです。ふかふかの内側に油断していると大粒のクランベリーがプリッと弾けました。この小さなサイズ感に容赦なく(褒め言葉です)たくさん練りこまれたクランベリーが、プチンプチンととびっきりのフレッシュな花火をあげます。カシューナッツも負けじとコリコリとした食感が砕けるたびに香ばしさを弾けさせおもてなししてくれました。さぁ、クレヨン○んちゃんのことは忘れてガブリといっちゃってください(←言い出したのは私)。

3月に入ったらもう春はすぐそこ。気持ちは前のめりに春に行きたいところだけど、冬のひやっと締まったパンもなにげに好きなんです。バタークリーム系は特に。美味しく食べてそろそろ冬にさよなら言いましょうかね。次回は春めいた朝パンになりますように(願望)!

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花井 悠希
花井 悠希 / ヴァイオリニスト

「三重県出身。三重県四日市市観光大使。3歳よりヴァイオリンを始める。 2010年4月21日コロムビアよりデビュー。〈1966カルテット〉メンバー。http://columbia.jp/hanaiyuki/

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