本郷の〈万定〉がフルーツパーラーであり続ける理由。
2018.01.10

第15回 編集Tが通う、心やすまるカフェ&喫茶店。「渋カフェ」その16 本郷の〈万定〉がフルーツパーラーであり続ける理由。

Hanakoスイーツ担当が、よく訪れるカフェ&喫茶店をご紹介しています。レトロなテーブル、懐かしくてかわいいメニュー。不思議と落ち着く「渋カフェ」。ウッディな世界でのんびりしたひとときを。前回の上野〈王城〉はコチラ連載トップはコチラ。16回目は本郷らしいお店の一つ〈万定〉。
久冨 俊裕
久冨 俊裕 / Hanako編集部

「エディター。スイーツ担当。」

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本郷三丁目の駅からますぐ北へ。東大前の並木道の向かいに、ひっそりとハヤシライス、天然ジュースの文字が登場します。カレーライスの部分は、夏場ならツタの葉に隠れて見えないかも。

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大正3年創業建築。昭和に入って表側を看板建築風に直したというお店は、当時の面影があちこちに。赤と黄色のストライプの庇が、なんとも印象的。看板には「フルーツパーラー」の文字が。

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メニューに天然オレンジジュース、いや、オレンヂジュース。350円。

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レトロなテーブルに柑橘の鮮やかな色が映えます。他にバナナジュースやレモンスカッシュも。一度「カットフルーツもあるんですか?」 と尋ねたら、「昔はそういうのもあったけど」とマダム。聞けば「大正の創業時は表が青果店で、東大病院に行く人や教授たちが買ってくれていたけど、フルーツパーラーでカレーとハヤシを出したらそれが学生達にウケて、そのうち食事制限が一般化してお見舞いに果物を持ってく人も少なくなり、表の青果店は先代が亡くなった時に閉じてしまった」のだそう。

つまり「シャッターはそのときの名残り」だったのです。

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パリみたいに年季の入った床。

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いつしかここの看板メニューは、天然ジュースとカレーに。シンプルなスープカレーの味には、昔から変わらない、西洋へ憧れた昭和の夢がひっそりと。小麦粉から炒めて、野菜をペースト状にして煮込んだカレーは750円。トマトをしっかり使った甘辛のハヤシライスも人気。「フルーツメニュー全部は出来無いから、先代の意志をついで、フルーツパーラーとして天然ジュースだけは出し続けているんですよ」

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懐かしい縦にスリットが入った窓ガラス。

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天井の大きな扇風機。中央のカウンター。関東大震災、戦争の被害も逃れた内装。往年の活気が見て取れます。

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必見は昭和9年製のレジスター。今も現役でガチャン!とお釣りが登場します。マダムの上品な語り口が耳に心地よくて、来るたびについ色々質問してしまうのですが、文教エリアである本郷でずっと愛され続けているのは、レトロな空間だけが理由ではないのかもしれません。

〈万定〉
東京都文京区本郷6-17-1
電話:03-3812-2591
営業時間:11:00〜15:00
不定休
40席
禁煙

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