IMG_4964

カフェと喫茶店には物語がある。「渋カフェ」その23 1960~70年代の懐かしい昭和をぎゅっと集めた柴又〈セピア〉。 Learn 2018.05.29

Hanakoスイーツ担当が、普段訪れるカフェ&喫茶店の物語をご紹介しています。レトロなテーブル、懐かしくてかわいいメニュー。不思議と落ち着く「渋カフェ」。お茶をいただきながら、マスターやその店それぞれのストーリーに耳を傾けて。23回目は、懐かしい昭和の女の子の部屋のような、柴又の昭和レトロ喫茶〈セピア〉へ。

IMG_49651

今回の渋カフェは柴又の〈セピア〉。店長のセピアママが子供時代を過ごした1960~70年代の女の子の日常が、一軒の喫茶店に色濃く凝縮されています。

こちらがセピアママ。子供のとき映画『男はつらいよ』にエキストラ出演したことも。「柴又には昔から縁があって」
こちらがセピアママ。子供のとき映画『男はつらいよ』にエキストラ出演したことも。「柴又には昔から縁があって」

店内には昭和の雑貨やポスターがいっぱい。そうここは、セピアママが現実の世界に作り上げた一つのドールハウス。

「漫画家の陸奥A子さんの世界が大好きで。漫画の登場人物が、喫茶店でデートするような、自分が子供時代に読みふけっていた乙女チックな世界を、いつか形にしたかったんです」

店内に並ぶ70年代のコミック誌。
店内に並ぶ70年代のコミック誌。

セピアママがこの店をオープンしたのは2013年6月。ちょうど5年前のこと。

「若い頃は古き良きハワイが好きで。プレスリーの『ブルーハワイ』の世界に憧れてました。で、実際にハワイに行ってみたら、移民の方が多いせいか懐かしい日本の面影がいっぱいあって。気が付いたらハワイでも、日本の古い物を探してましたね」

「ただ子育ても仕事も大変で、一時は喫茶店を開く夢をあきらめていたんです。でも一番下の子が高校を卒業するタイミングで、もしかしたらやれるんじゃないかと思って」

気が付くと生まれ育った下町で、物件を探していた。

すぐ横を走るのは、わずか三駅しかない単線の京成金町線。ガタゴトという電車の音さえ、のどかに響く町。
すぐ横を走るのは、わずか三駅しかない単線の京成金町線。ガタゴトという電車の音さえ、のどかに響く町。

「ここは、もともと古い洋品店だったんです。何度か柴又に遊びに来たときに入ったことがあったのだけど。不思議と気になっていて。ある日ネットで物件を検索していたら、このお店が貸しに出ていて」

クリームソーダ650円。テーブルのビニールクロスもまさに昭和。
クリームソーダ650円。テーブルのビニールクロスもまさに昭和。

「最初は飲食はダメだと言われたけど、喫茶店だから油くさくもならないしと何度もお願いしました。そうしたらついにOKがいただけたんです」

ペーパーホルダーはサクランボのグラス。
ペーパーホルダーはサクランボのグラス。

「グラスや小道具は、いつも知らないうちに合羽橋で買い集めましたね。100円とか200円だから。店をやるとかそんな考えもないうちから、家の隅に(笑)」

レコードプレーヤーの奥にザ・ピーナッツ。壁には山口百恵や麻丘めぐみ、昭和のスターがズラリと。
レコードプレーヤーの奥にザ・ピーナッツ。壁には山口百恵や麻丘めぐみ、昭和のスターがズラリと。
テーブルの上には懐かしいコイン占い。
テーブルの上には懐かしいコイン占い。

店に入るとお客さんはみんなひとしきりキョロキョロとする。店内に置かれた雑貨やレコードから、思い出がそれぞれの人の中で次々に飛びだしているのがわかる。同時代を生きた人もいれば、「おばあちゃんの家にこれあった!」と喜ぶ姿も。

二階は予約制。勉強机の上を見上げると、先日急逝された西城秀樹さんのポスターが。
二階は予約制。勉強机の上を見上げると、先日急逝された西城秀樹さんのポスターが。
アナログ盤のシングルも。
アナログ盤のシングルも。

「あの時代はスターがちゃんとスターだったんです。歌がうまくてかっこよくて」

ナポリタン850円。
ナポリタン850円。

ケチャップたっぷりのナポリタンもまた、昭和を思い出すスイッチ。

前のオリンピックからもうすぐ56年。いよいよ新たな東京五輪が開催される。
前のオリンピックからもうすぐ56年。いよいよ新たな東京五輪が開催される。

「今は、どこに行ってもみんなスマホを覗いているし。カップルでもそれぞれに画面を見ていたり、さみしいですよね。陸奥A子さんの漫画のように、喫茶店で男女が会話をするようなドキドキ感がない。もっと対面して人と人が話せばいいのに」

看板は「大好きなチモトコーヒー」。
看板は「大好きなチモトコーヒー」。

「その点、ここは不思議と出会いがたくさんある場所なんです。この店をきっかけに新しいお友達が出来たり。戦争の話をしたら、同じ戦地に親同士が行っていたことがわかったり。不思議な引き合わせがたくさんある。私も店を始めてから、新しい友人がたくさんできたんですよ」

喫茶店はもともと出会いの場。まして同じ世界観を好きな人が集まれば、偶然が必然に変わるのも自然の成り行き。懐かしいものがたくさん置いてあるけれど、もしかしたらここは、一番新しい形のサロンなのかもしれない

〈セピア〉
■東京都葛飾区柴又7-4-11
■03-6657-8620
■10:00~18:30(18:00LO)
■火水休 約20席 禁煙

前回の奥沢〈Okusawa Factory Coffee and Bakes〉はコチラ
連載トップはコチラ

Videos

Pick Up

キャッチSP旅のサブスクHafH (ハフ) なら、こんなに泊まれるんだ。各地を自由に行き来できる日常が戻った今こそ、旅のサブスク「HafH(ハフ)」を活用してお得&手軽にホテルステイを楽しもう。HafHは毎月付与されるコインを使って宿泊予約ができる定額制のサービス。便利なシティホテルをはじめ、リゾートホテルや旅館、地方の交流型ゲストハウスなど、1000以上の多彩な宿泊先から選べ、ハイシーズンも週末も平日と同額のコインで宿泊できたりとお得!足りない分のコインを購入できたり、友達と「わりかん予約」して半分のコインで泊まれるなど、使い勝手も良い。 そんなHafHを使って3人の女性が年間の旅行プランを計画。どんなホテルに泊まって旅を楽しむか、紹介します。Travel 2023.03.08 PR
_Z9D7084_tわたしが「東京マラソン」を走った理由~働く女性の転機のカタチ~3月5日、パンデミック以前と同規模の約38,000人のランナーが参加し、4年ぶりに本格開催となった東京マラソンで東京の街は大いに盛り上がりました。ランナーの数だけそれぞれの思いとドラマがありますが、そんな参加者の一人である河越理沙さんは、妊娠・出産を経て挑んだ一般市民ランナー。体力の低下を感じ、練習時間の確保に苦労しながらも、母となって初のフルマラソン出場となった緊張の「東京マラソン 2023」。当日の河越さんに密着しながら、走る喜びについて教えてもらいました。(PR/東京マラソン2023)Chance 2023.03.22 PR
ロゴ入りアイキャッチGINZA SIX 6th ANNIVERSARY NEWS4月20日で開業6周年を迎える〈GINZA SIX〉はこれからも進化し続ける。最新ニュースをキャッチしよう。 詳細はこちらから(3月31日公開予定)Food 2023.03.28 PR
記事4_top_1Peachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅④ | カヌーで巡るマングローブ原生林、海が青すぎる展望台…世界自然遺産を体感!絶滅危惧種を含むユニークな動植物が数多く生息する鹿児島県の奄美大島。奄美群島のひとつである徳之島、沖縄島北部、西表島とともに2021年に世界自然遺産に登録され、海外からも熱い視線が集まっています。 サンゴを育む奄美ブルーの海と白砂がまぶしいビーチ、アマミノクロウサギをはじめとする天然記念物も暮らす亜熱帯の森やマングローブの原生林。地球の宝ともいえる、奄美ならではの美しい自然を味わってみませんか? 奄美大島は「アクセスが良くない」というイメージもありますが、LCCのPeachが運航する直行便なら、成田空港から約3時間、関西空港から約2時間。そして時期によっては片道4,990円からとリーズナブル! “遠い楽園”が身近になるPeachの直行便で奄美大島2泊3日の旅に出たのは、ハナコラボパートナーである藤井茉莉花さん。今回は美しい海岸と展望台、マングローブの森でのカヌーツアーを体験した絶景&アクティビティ編をお届けします。 ※奄美群島のアクティビティの情報は、「あまみシマ博覧会」のサイトでも探せます。 https://www.amami-shimahaku.com/ 公式サイトはこちらTravel 2023.03.22 PR
お散歩がてら“おいしい”を満喫!東京・町田のレトロなグルメスポット5選お散歩がてら“おいしい”を満喫!東京・町田のレトロなグルメスポット5選いま最も注目を集めるスポット・町田。活気あふれる商店街を始め、地元の人に愛される洋食店、100年以上続く名店など、気になるお店が盛りだくさんなんです。そこで、今回は“レトロ”をキーワードに、いま行くべきグルメスポットを厳選。次の休日、きっと町田に行きたくなる!(PR/町田市)Food 2023.03.22 PR
SPpeachPeachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅。2021年に世界自然遺産に登録された鹿児島県の奄美大島。一年を通して比較的温暖で豊かな森も美しい海も楽しめ、旅先に選ぶ人が増えています。 簡単におさらいしておくと、奄美大島は鹿児島本土と沖縄の間の洋上に浮かぶ離島。加計呂麻島や徳之島、沖永良部島など周辺の島々を合わせて奄美群島と呼び、フェリーや飛行機を使って群島ホッピングも可能です。 そんな奄美大島、いざ行くとなると「アクセスが良くなさそう」「航空券も高くなるのでは」と心配の声が聞こえてきますが…。大丈夫です! 日本のLCCを代表するPeachなら、奄美への直行便があるのです。成田空港から約3時間、関西空港から約2時間、そして(時期にもよりますが)片道4990円からとリーズナブル。これは、躊躇していたら損!Travel 2023.02.28 PR