山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回
2021.09.03

第3回 伝えたかった、言葉たち。 山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回

アイドルとしてはもちろん、ラジオパーソナリティとしても大活躍。乃木坂46の山崎怜奈さんが、心にあたためていた小さな気づきや、覚えておきたいこと、ラジオでは伝えきれなかったエピソードなどを、自由に綴ります。

(photo : Chihiro Tagata styling : Chie Hosonuma hair&make : Kiwa Inaba)
山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回
山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回
山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回
山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回

「私は、私が選んだ道を」

  余白があってこそ、人は豊かに輝く。エンタメはそのために必要で、SNSも時代を照らす要素の一つだ。アイドルとは「キラキラ」を生業(なりわい)としているようなもので、パッと華やぐような光を求められることが多い。だが、学業と両立していた期間は輝く瞬間なんてほとんどなく、極めてインスタ映えしない日々だった。
 
 もちろん、偶然の産物だけで進んできたわけはなく、ところどころで意思を持って決めたり、諦めたり、飛び込んだりしてきた。講義、レポートの締切、ライブのリハーサル、握手会、テレビの収録、ラジオの生放送。一日一日が常に倍速再生されている感覚を持ちながら、なるべく学ぼう、良いパフォーマンスをしようと、脇目も振らずに突っ走っていた。満員電車に揺られながら本を読み、朝から昼まで講義を受け、仕事場への移動中には動画を見て、ダンスの振りつけなどを確認する。用を済ませて帰宅したら、家事とレポート課題に手をつけながらラジオを聴き、また次の朝がくる。余白を残さず、ひたすら詰め込んでいた。

随分前から息切れのサインが体に表れていたのに、心はかなり頑固だった。疲れてなんかない。だって、まだ何も成し遂げていないのだから。お前に休憩する余裕はないんだから、いつでも頑張れよ。そういうアクセルの踏み方をしないと追いつけないくらい、とにかく刺激の多いレースだった。かたくなに好戦状態でいることで、私はまだ大丈夫だと、自分で自分を騙していたような気もする。それを割り引いて考えると、進んできた道が正しかったのかは分からない。何を選んでも正解はなく、どんな道に進んでも何か不足しているように感じる。過去にあったことも、捉え方によって、トラウマになったり財産になったりと、簡単に揺らぐ。かといって、不確実なことが多い社会で、何かに身を委ねたり、誰かと比べずに自信を持ったりするのも難しい。

ただ、これまでに出会った人たちが向けてくれた期待や優しさは、確かなものだった。目を瞑って過去をたどると、助けてくれた人、アドバイスをくれた人、励ましてくれた人の顔が、どんどん浮かんでくる。成り行きとご縁の果てで、「この人が言うなら頑張ってみよう」と思える人たちに出会えたことが、きっと何よりの財産だ。

そもそも、大丈夫じゃないから歩み続けるし、大丈夫になるために手数を打ってきたような気がする。大船に乗ったつもりで、少しでもコンパスの針が向く方へ進んでみる度胸は、学生時代に持っていたはずだ。結果として遠回りになっても、道中でのトライ&エラーを自分の手札の一つにすればいいし、行き着いた先を必ず正解にする必要はないのかもしれない。いつまでも「完璧な大丈夫」がやってこなくたって、私は、私が選んだ道を、最善だったと肯定しよう。落ち込んだときこそ、自分で自分に胸を張って、進むのみだ。ゆっくりしたい日もあるけれど、やっぱりもうちょっとだけ、ジタバタしてみようと思う。

山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回
山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回
山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回
山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第3回

ワンピース 35,200円、ストーンネックレス 72,600円、コインネックレス 27,500円(全てMARIHA◾︎03-6459-2829)/ベスト 17,600円(エース 代官山◾︎03-5728-2612)/バッグ 5,500円(space craft |UTS PR◾︎03-6427-1030)/その他スタイリスト私物

山崎 怜奈
山崎 怜奈 / 乃木坂46

「クイズ・歴史・ラジオが好き。下町育ちで、知的好奇心の塊。『山崎怜奈の誰かに話したかったこと』(TOKYO FM 月〜木曜13時〜)、『春菜ザキさんのタダの通販じゃねーよ!』(テレビ朝日 木曜深夜1時26分〜)などに出演中。著書『歴史のじかん』(幻冬舎)が現在発売中。公式インスタグラムhttps://www.instagram.com/rena_yamazaki.official/

山崎 怜奈さんの記事一覧 →
2021年4月1日以降更新の記事内掲載商品価格は、原則税込価格となります。ただし、引用元のHanako掲載号が1195号以前の場合は、特に表示がなければ税抜価格です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。
TOPに戻る