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2021.11.05

第36回 連載「拝啓、〈星〉へいらっしゃいませんか?」 【シンガポール】若き菓子職人が中心となり、一度はクローズした老舗菓子店が待望の復活!

結婚を機にシンガポールへ移住することになった元Hanako編集者女子による、星(=シンガポール)通信。第36回は、〈Chin Mee Chin Confectionary〉へ。シンガポール人家庭3世代から愛され、2018年に閉店した老舗菓子店が、その扉をふたたび開けました。立役者となったのは、いま、シンガポールでもっとも注目される若きペストリーシェフ。

こんにちは。98%が軽症・無症状とはいえ、新型コロナウイルスの新規感染者が減らず、規制が敷かれ続けているシンガポール。外出は最低限に、と言われ、家で過ごす日々ですが、とてもうれしいニュースがあり、サクッと覗きに行ってきました。

〈Chin Mee Chin Confectionary〉の復活

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そのニュースとは、〈Chin Mee Chin Confectionary〉の復活です。〈Chin Mee Chin Confectionary〉とは、1925年創業の菓子店で、界隈では知らない人はいないほどの老舗。素朴でかわいいカップケーキから、ランチョンミートをはさんだパンなど食事系メニューもラインナップされ、朝食を摂りにイートインする家族や、手土産を買いに寄る人などが、終日、ひっきりなしに訪れる人気店でした。

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なかでも名物はカヤ・トースト。カヤ・トーストとは、ココナッツベースのご当地ジャム・カヤジャムを塗ったトーストのことなのですが、一般的には四角いスライスパンが用いられるところ、〈Chin Mee Chin Confectionary〉では丸パン(シンガポールでは「バン」と呼びます)を使ったカヤ・バンスタイルで提供されており、その珍しさから、これを目当てに訪れる人も多々。まさに老若男女から愛されてきた同店ですが、2018年に閉店。突然の悲報の衝撃は大きく、再開を望む声が多く聞かれました。そこで、とある飲食店グループが、〈Chin Mee Chin Confectionary〉の復活を目指して動き出したのです。

若きペストリーシェフ、マキシン・ンゴーイの自身のベーカリーショップ〈Tigerlily Patisserie〉

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この復活劇の中心的存在を担ったのが、若きペストリーシェフ、マキシン・ンゴーイ。彼女はミシュラン星つきレストランのペストリーシェフとして活躍するかたわら、2020年のサーキットブレイカー(シンガポール版ロックダウン)後に自身のベーカリーショップ〈Tigerlily Patisserie〉を立ち上げ、オンライン専門で事業を展開してきました。デリバリーで頼める気軽さからは想像しえない本格的なベイクアイテムが評判となり、〈Tigerlily Patisserie〉とマキシンはたちまち有名人に。そして、そんな彼女に白羽の矢が立ったのでした。

優れた腕前の持ち主とはいえ、「古きよき菓子店」のイメージを持つ〈Chin Mee Chin Confectionary〉を復活させるにあたり、メニューづくりは難航したと言います。「正確なレシピが残っていないなか、クオリティの高い食材と現代のベイクスキルを駆使して、昔ながらの味を再現するというのは、想像以上に難しいことでした。かつての味を覚えているかたからすると、『もうすこししっとりしてた』とか『もっと軽くて、ほろっとした食感だった』といった違いが生まれてしまいますし。

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わたし、カップケーキの作り方は知っているはずなんだけどなあ、なんで作れないんだろう!?と、何度も悩みました」とマキシン。こうして復活プロジェクトが始まってから1年以上の時を経て、2021年9月、ようやく再開の運びとなったのです。Instagramの公式アカウント上でオープン日が発表され、すぐに向かったのですが、待ち望んでいた人はわたし以外にも当然のことながらたくさんいて、朝から大大大行列。もうすこし落ち着いてからにしようと、その日はあきらめ、10月に入ってから再訪しました。

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復活前のカヤバン
復活前のカヤバン
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復活前のカヤバン

いただいたのは、もちろんカヤ・バン。炭火で焼き目をつけた香ばしさと、ココナッツの香りがしっかり立っているカヤジャムがベストマッチ。パン生地は以前より軽くなった印象で、何個でも食べられてしまいそうに感じられました。ほんのりモダナイズされてはいるものの、「ああ、これこれ」という懐かしい気持ちがこみ上げ、とてもうれしい気持ちに。

ちなみに写真は、先のものが復活前のカヤバン、こちらが復活版のカヤバンです。カップケーキや、マキシンの自信作というチーズケーキ・ブラウニーは持ち帰り、子どもと一緒にいただきました。ちなみにマキシンの〈Tigerlily Patisserie〉ですが、実は2021年6月にカフェを併設した実店舗をオープン。こちらでは、アジアらしい食材と、ヨーロッパのテクニックを融合させて仕上げた、洗練されたケーキやパンがいただけます。〈Chin Mee Chin Confectionary〉から、歩いて10分ほどの距離にあるので、シンガポールのベイク界の新旧、両方を味わってみてください。

〈Chin Mee Chin Confectionary(チン・ミー・チン・コンフェクショナリー)〉

■住所:204 East Coast Road, Singapore 428903
■アクセス:バス停「The Holy Family Church」停留所より徒歩約1分。市内から車で約20分。

〈Tigerlily Patisserie(タイガーリリー・パティスリー)〉

■住所:350 Joo Chiat Road, Singapore 427598
■アクセス:バス停「Marshall Lane」停留所より徒歩約1分。市内から車で約20分。

T. Ayako
T. Ayako / フリーランスエディター

「シンガポール在住の元Hanako編集者。イーストコーストに位置するJoo Chiat通りのお洒落度が爆上がり中。必訪は、シンガポール人デザイナーの雑貨やアパレルをセレクトする〈THE AC〉。ふらっと寄っただけなのに、思わず散財してしまう確率が非常に高い素敵店です」

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2021年4月1日以降更新の記事内掲載商品価格は、原則税込価格となります。ただし、引用元のHanako掲載号が1195号以前の場合は、特に表示がなければ税抜価格です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。
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