連載「拝啓、〈星〉へいらっしゃいませんか?」/第5回 シンガポールのローカルフード「チキンライス」。本当に美味しい名店6選。【元ハナコのシンガポール書簡】 LEARN 2017.10.31

第5回はシンガポール名物のチキンライス。屋台でもレストランでも提供されるソウルフードの名店をまとめます。

こんにちは。こちらで暮らし始めて早1年。訪ねて来てくれる友人もあり、ウキウキした気持ちで街をアテンドしています。「何食べたい?」の問いにほぼ100%の確率で出る食べ物の名は、チキンライス。

海南美味佳僑

観光客はもちろん、在住者(シンガポーリアンも、在住外国人も)も日常的に食べるソウルフードで、いたるところに店があります。

ただなかには当然、イマイチ(どころかイマニ)店もあり、「期待して食べたけど感動はなかった」という悲しい感想を聞かされることもあるので、ハズレのないお店をピックアップしてみました。

海南チキンライスって、どんなもの?

威南記海南鶏飯

お店紹介に入る前に、チキンライスとはなんぞや、を簡単に。正式には海南鶏飯(ハイナンチーファン)と呼ばれます。というのも、チキン+ご飯のメニューはアジア各地に存在していて、カオマンガイ(タイ)、コムガー(ベトナム)など、それぞれ名前と味が違うのです。発祥は中国南部の島・海南島の文昌鶏(ウェンチャンジー/ウェンチャンチキン)といわれていて、シンガポールへは中華系移民によってもたらされたそう。海南鶏飯は広東風にアレンジされているのだとか。

基本形は「スチーム(といっても調理法は茹で)」、「ロースト(こちらは揚げ焼き)」の2タイプ。時折、醤油で味付けした「ソヤソース」を提供する店も。これらを鶏の出汁で炊いたライスとともにいただきます。

調理法がいたってシンプルなぶん、鶏肉はジューシィさが保てているか、ご飯の炊き方は、ソースは……と、手がかけられているか否かが、ひと口瞭然。微妙と感じられる店があるのは、チキンやご飯がパサパサなケースも少なくないからです。

お昼はホーカーへ。屋台のスタークラス〈天天海南雞飯〉〈成興海南起骨鶏飯〉。

ランチにサクッと食べるなら屋台がお薦めです。シンガポールにはホーカーと呼ばれる屋台群があり、値段がリーズナブルなので国民の台所として親しまれています。クオリティがピンキリある屋台の中から、2軒をご紹介。

観光客にとってアクセスが良い名屋台といえば、〈天天海南雞飯〉。あらゆるガイドブックに載っているスチームタイプの有名店です。昼時ともなると30人近く並んでいることもあるけれど、オーダーテイクから提供までが効率化されていて、さほど待ち時間はありません。

天天海南雞飯

ご飯の上にチキンがのった、オーソドックスな屋台スタイル。鶏肉が「薄!!」と感じる屋台も多いなか、きちんとした肉厚。かつジューシィ。ソースの鶏肉への染み込み具合がやや弱いものの、とろみのあるソースなので肉に絡めながらいただけば気になりません。ご飯のチキンフレーバーが濃いので、そういう意味でも物足りなさはナシ。

アクセスという点を重視せずに推薦するならば、シンガポールのチキンライス屋台、個人的暫定1位の〈成興海南起骨鶏飯〉。市内から電車で約30分というやや外れにあるため、近隣在住者でなければ知らない隠れた名屋台。が、休日の昼時に訪れようものなら、30分待ちは確実なほどの大行列(最大1時間待ちました)。

天天海南雞飯
天天海南雞飯

ここの何がすごいかというと、鶏肉のさばき方。屋台の鶏は骨がついたままで、食べづらいこともしばしば。が、ここは見事に骨が取り除かれています。

天天海南雞飯

スチームは肉の旨味がしっかりと感じられ、ローストは皮目のパリパリを程よくキープ。さらりとしたテクスチャーながらも胡麻油の風味がきいたソースと絶妙の相性。セットで付いてくるスープも簡易のものではなく、きちんと出汁が取られています(注:写真の黒いスープはセットではなく、烏骨鶏のスープを別注)。

ゆっくり楽しむならレストランへ。メジャーな「3キー」〈黎記海南鶏飯〉〈威南記海南鶏飯〉〈文東記(ブントンキー)〉。

チキンライスで有名なレストランもあります。屋台は屋外ゆえ暑いので、涼しい屋内環境で落ち着いて食すならレストランがベター。チキンライス以外の中華系メニューもたくさんあり、週末はどの店も家族連れで大にぎわい。

人気は私が勝手に「3キー」と呼んでいる〈黎記海南鶏飯(ロイキー)〉〈威南記海南鶏飯(ウィナムキー)〉〈文東記(ブントンキー)〉です。

黎記海南鶏飯

カフェ風のお洒落な盛り付けで提供されるのは〈ロイキー〉。ポップな見た目に反して、創業は1953年という老舗。

黎記海南鶏飯

〈スチーム〉は、表面が水晶鶏のようにつるんとした鶏肉にソースがしっかり染み込み、噛むとジュワッ。チキンライスを食べる際、ジンジャーソース・ダークソース・チリソースをつけながら食べるのですが(味変を楽しむ)、ここのチリソースは柑橘がきいた爽やかな辛さ。酸っぱいもの好きにお薦めです。そして付け合わせの青梗菜の炒め物の量のボリューム……! 写真で1人前。他のメニューも頼むのであれば、1人前のオーダーで良さそう。

威南記海南鶏飯

〈ウィナムキー〉は、国賓をもてなした際にここのチキンライスが振る舞われたという政府お墨付き店。

威南記海南鶏飯

スチーム、ロースト、ソヤソースの3種がスタンバイするなかで、スチームとソヤソースをオーダー。どちらも鶏肉は柔らかく、脂が上手に抑えてあるのが特徴的。

威南記海南鶏飯

こうやって各店の写真を並べて見比べると顕著なのですが、ソースの色が他店よりも茶色。つまり醤油味がしっかりしています。ご飯も他店より色が濃く、濃い味。ライスを頼まず、チキンだけ頼んでビールのつまみにする……なんて楽しみ方もありかも。

ブントンキー

続いて〈ブントンキー〉。スチームはねっとり感じるほどしっとりと滑らか。特筆すべきはローストで、かじると薄い皮がパリっとはじけ、肉汁が出てきます(ここのローストはローストチキン部門No.1と、密かに思っています)。

ブントンキー
ブントンキー

ソースの甘さが控えめで、他店と比較するとキリッとした品のあるお味。しばらくシンガポールを離れて戻ってきて「1食目に何を食べようかな」と考える時、たいがい、ブントンキーのチキンライスを選ぶのは、食べるとなんだかホッとした気分になるから。ちなみにシリアルプロウンや炒め物など、その他のメニューもハズレはありません。

ローカルはどこで楽しんでいる?〈海南美味佳僑〉。

ここまで書いてくると、で、結局どこへ行けば、、、となってきます。さらにそのお悩みを深めましょう。〈海南美味佳僑〉です。

海南美味佳僑

地元の人に愛される店で、存在を教えてくれたのもシンガポーリアン。彼女は幼少の頃から家族でよく来ていて、大人になってからもデートでよく来たと言っていました。

海南美味佳僑

かなり色が薄くクリアなソースは潮見のバランスがよく、さっぱりとした鶏肉の味を生かしています。スチームとロースト、両方オーダーしたら、一皿にミックス。この豪快さも、気取っていなくていい感じです。

いつか試したい、未挑戦の高級チキンライス〈チャターボックス〉。

シンガポールにはもう1軒、著名チキンライス店があります。その名は〈チャターボックス〉。が、わたくし、行ったことがないのです。なぜかというと、25ドル超えという超高級チキンライスだから。食べた人たちの話によれば、それはそれは美味しいのだそうな。「でも巷で10ドルせずに食べられるしなー……」なんて思っているうちに、だいぶ時間が経ってしまいました。

行くタイミングを逸してしまっているので、もし、シンガポールにいらっしゃるご予定があるようでしたら、ぜひ、ご一緒しませんか?

ご来星を、チキンライスとともに心よりお待ちしています。

今回紹介したお店はコチラ!

〈天天海南雞飯(Tian Tian Hainanese Chicken Rice)〉
■住所:1 Kadayanallur Street #01-10/11 Maxwell Food Centre, Singapore 069184
■アクセス:MRT・チャイナタウン駅より徒歩約5分
■営業時間:11:00〜20:00
■定休日:月曜
■URL:なし

〈成興海南起骨鶏飯(Seng Heng Hainanese Boneless Chicken Rice)〉
■住所:116 Upper Bukit Timah Road #02-117 Bukit Timah Market & Food Centre, Singapore 588172
■アクセス:MRT・ビューティ・ワールド駅より徒歩約1分
■営業時間:11:00〜売り切れ
■定休日:不明
■URL:なし

〈黎記海南鶏飯(Loy Kee Best Chicken Rice)〉
■住所:342 Balestier Road, Singapore 239774 ※Woodlandsにも支店あり
■アクセス:MRT・ノベナ駅から徒歩約16分(市内からタクシーまたはバスが便利)
■電話:+65-6252-2318
■営業時間:10:00〜22:00
■定休日:無休
■URL:http://loykee.com.sg
※スマートフォンでは開けない場合があります。

〈威南記海南鶏飯(Wee Nam Kee Chicken Rice Restaurant)〉
■住所:101 Thomson Road #01-08 United Square, Singapore 307591 ※Marina Square, 112 Katong, Makansutra Gluttons Bayにも支店あり
■アクセス:MRT・ノベナ駅から徒歩約6分
■電話:+65-6255-6396
■営業時間:10:30〜22:00
■定休日:無休
■URL:https://www.facebook.com/weenamkeechickenrice/

〈文東記(Boon Tong Kee)〉
■住所:399, 401 & 403 Balestier Road, Singapore 329801 ※MacPherson, Whampoa West, River Valley, East Coast, Bukit Timah, Ang Mo Kioに支店あり
■アクセス:MRT・ノベナ駅から徒歩約14分(市内からタクシーまたはバスが便利)
■営業時間:11:00〜16:45(16:30LO)、17:30〜4:30(日〜3:00※LOは共に閉店30分前)
■定休日:無休
■URL:http://boontongkee.com.sg

〈海南美味佳僑(Hainanese Delicacy)〉
■住所:14 Scotts Road #05-116 Far East Plaza, Singapore 228213
■アクセス:MRT・オーチャード駅より徒歩約5分
■営業時間:10:00〜20:00
■定休日:不明
■URL:なし

☆前回「興奮の3日間。F1 シンガポールGPへ」編はコチラ!
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