女性に人気のオリジナルの写経も体験! 街に開かれたお寺作りに励む〈高応寺〉住職・酒井菜法さんの場合~働く女性の転機のカタチ~
埼玉県三郷市にある〈高応寺〉は子ども食堂、ホタルの夕べ、がんカフェ、ヨガ、音楽ライブなどさまざまなイベントが催され、“地域に開かれたお寺”として注目を集めています。ここで住職を務めるのは宗教の領域でもまだ珍しい女性の僧侶、酒井菜法さん。私たちと同じ、一人の女性として悩み、いくつもの選択を重ねながら今があると言います。自分らしい決断をするために仏の教えがどう役立っているのか。新しいお寺のカタチを模索しながら、活動する酒井さんに話を聞きました。
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地域に根ざした自然溢れる〈高応寺〉にやってきました!
JR三郷駅から徒歩7分ほど。静かな住宅街の中に佇んでいるのが創建400年の歴史を誇る〈高応寺〉です。京都の風情を描写した緑あふれる境内は池や小川が流れ、足を踏み入れるだけでも清々しい気持ちになり、ホッと心が安らぎます。ここで朗らかな笑顔で迎えてくれたのが酒井菜法さん。高応寺に生まれ育ち、約7年前、父の跡を継いで住職になりました。
自分の悩みと願いに向き合う写経に参加
お寺でできる体験の一つとして人気の写経。高応寺では悩み相談が一気に増えたコロナ下をきっかけに始まったそうです。現在は月に1度開催されていて、毎月欠かさず訪れる人も多いとか。「写経はお経を半紙に書き写すだけではなく、神仏の御前で自分の悩みや心情に向き合い、気づきを深くするための時間だとお伝えしています」と酒井住職。
まずは手に香をつけ、両手で擦り合わせたら、その手で全身をさっとなでて清めます。香りが全身を包み、次第に集中力が高まってくるのを感じると、酒井住職が法華経を唱えるのを聞きながら、同じように写経を読経します。
写経用紙を手本の上に載せて、筆を取り、一字一字書き写します。諸経の王と言われる「法華経」は出会うことも理解することも難しいものと説かれていますが、法華経を信じ、読経し、その素晴らしさを伝え、写経することで、一層の功徳があると言われているそうです。写経が終わったら、最後に自分の願い事を書き記します。
願い事を書いた写経用紙の上に酒井住職が特殊な「叶う」の文字を書き加えて悩みも聞いてくれます。力強い字を見ていると、それだけで元気をもらえます。写経用紙は小さく畳んで、専用のお守り袋に入れます。仏様の前で目を閉じて合掌し、お題目を唱えて、無事写経を終えたことに感謝して礼拝します。このお守りは持ち歩いたり、大事なところに保管して、折に触れて読み返したり、思い出すことで、効果を発揮するそうです。
写経の後はおみくじを引くのが高応寺スタイル。なぜ引くのかといえば、悩み事や願い事が叶うための仏様のアドバイスが書かれているからです。「おみくじには、吉か凶があります。凶が出ると不安な気持ちになる人は多いと思いますが、写経を終えた後、凶を引いても不思議と怖くないのです。なぜなら、今は一人で解決するのは難しい悩みも、仏様の前に心をさらけ出し、向き合っていると、漠然とした不安がしだいに減っていき、“凶は今の状態を表しているだけで、大丈夫。なんとかなる”と前を向けるからだと思います」
高応寺では写経体験だけでなく、ヨガ教室や子ども食堂、がんカフェ、マルシェ、音楽ライブ、ホタルの夕べ、毎朝の暁天坐禅、社員研修などさまざまなイベントが催されています。こうしたさまざまな活動を積極的に行う理由は何だったのでしょうか。