ずっといたい、ひとり京都のおこもり宿〈丸福樓〉|まろが行く、ひとりホテルのすゝめ
ひとり時間の楽しみ方を提案するメディア「おひとりさま。」を運営する“まろ”が、ひとりホテルステイならではの魅力を伝える連載。第4回は、京都府京都市にある〈丸福樓(まるふくろう)〉です。
今回、宿泊するホテルは…京都府京都市〈丸福樓〉
第4回目は、京都府京都市にある〈丸福樓〉。1889年創業の〈任天堂〉旧本社社屋と安藤忠雄氏設計監修の建築が融合した、全18室のホテルです。
オープン前からかなり話題になっていて、ぜひともこの建築美を1人で堪能したいなあと。しかもオールインクルーシブ!普段、ひとり京都だと街歩きに時間を割きがちですが、このホテルなら思い切ってこもるのもありだなと思い、宿泊を決めました。
入り口からすでに重厚な雰囲気をまとっていて、かっこいいですよね。そして、ここから先は宿泊者しか立ち入られないスペシャルな空間となっています。ワクワク。
旧任天堂本社がホテルに。建物の趣をじっくり味わう
扉をくぐると、このロビーが。雑誌などでよく見ていた光景が目の前に!うおおおお。写真で見るのもいいけど、やはり実際に行くと、質感にも触れるし、空間そのもののパワーを感じられるので、ひときわ感動するんですよね。
和洋折衷で、アールデコ調。色合いもカラフルで、ちょっとごちゃっとした、遊び心あるレトロな感じがとてもいい~!夜の雰囲気も最高に良かったので、それはまた後ほど。
お部屋は、創業当時の建築様式を生かした既存棟と、安藤氏設計監修のスタイリッシュな新築棟にあるのですが、私が宿泊したのは既存棟。既存棟は創業家である山内家の住居であった建物をはじめ、事務所や倉庫として使われていた3つの棟からなっています。私のお部屋は“住居棟”にあり、お部屋に行くまでに幾何学的な壁紙や色鮮やかなタイルなど、当時のしつらえをたっぷり味わうことができました。
いよいよ、206号室のお部屋へ。泊まるなら絶対ここ!と決めていたのですが、やっぱり大正解。ダークグリーンが基調となっており、格子窓や吊り下げ照明などからも当時の趣が感じられて、たまらない!カラフルなカーテンのアクセントもいい感じです。
そして、なんといってもこの暖炉が意匠として残されているのが素敵で。タイルの色合いと、ライオンのような顔のデザインがとても愛らしいですよね。目の前のイスに腰かけて、しばらく眺めたりしました。ああ、幸せ…。また、イスの後ろに見えるクローゼットの扉は、当時使用されていた部屋の扉を再利用しているらしく、風格があって個人的にとてもツボでした。
この部屋、ずっといられるな~。共有スペースもかなりあるのですが、私はこのお部屋が好きすぎて、お食事と館内を探検した以外は、ほぼ外に出ませんでした。笑 こんな過ごし方の自由度の高さも、ひとりステイならではかもしれません。
お夜食のうどんまで…ひたすらに満たされる食欲
ディナーは、レストラン〈carta〉へ。なんと、私が大好きな料理家・細川亜衣さんが空間デザインまで監修されているんです!
細川さんといえば…そうです。連載第1回で紹介した〈LOG〉のお料理も、細川さんが監修されています。なんと、その〈LOG〉で使用されているコップなどを作っている、ガラス作家の横山秀樹さんの照明があり、勝手にシンパシーを感じてしまいました。今日も素敵な光を放っているな~。
デザート2品を含む7品のコース。先生のお料理は、素材に寄り添った優しい料理で、毎回ふわ~っと満たされるんですよね。ポークビーンズとバターライスの組み合わせとか、もうさすがすぎて。雑穀米だから軽やかで、ペロリといけてしまいました。
デザートはシューアイス。立ち姿が愛らしすぎる~。コースは全体的に、夢に見た“大人版お子様ランチ”な感じがしてとても良かったです。
冒頭に述べたようにオールインクルーシブなので、お酒をはじめドリンクは飲み放題となっています。飲みすぎにはくれぐれも気を付けてくださいね(笑)。
余談ですが、お手洗いがかわいすぎたのでお見逃しなく!横山先生の照明に照らされるタイルや、床の煉瓦とタイルの組み合わせも素敵で、うっとりしてしまいました。うう、ぬかりない。
そして実は、ダイニングラウンジでお夜食をいただけてしまうんです。こちらも細川先生の監修「青菜のかけうどん」。いや、もうこれは夜食選手権で優勝です!体に染みわたるおいしさで、危うく「おかわり!」と言いそうになりました。
身も心も満たされて、あとはもう寝るだけ。さあ、お部屋に帰ろうと思ったら、あまりにロビーが美しすぎて立ち止まざるを得ませんでした。この建物、とっても夜が似合うなあ。
ちなみに私の場合、“夜のホテル散歩”はひとりステイだと結構するんですよね。時間帯的にも宿泊しないとなかなか味わえないし、人も少ないのでホテルをひとり占めできる、おすすめの過ごし方です。