海に浮かぶサウナでデトックス旅、美しい北欧の都市・ヘルシンキへ TRAVEL 2022.12.14

ここ数年のサウナブームによって再注目されている、世界一のサウナ国・フィンランド。人口550万人に対してサウナは300万個もあるといわれており、ホテルの客室や観覧車、ハンバーガーショップにまでサウナが設置されていてる。今回はフィンランドの首都・ヘルシンキで人気を集めている “海に浮かぶサウナ”を巡った。

ユニークなサウナ観覧車も。都会のオアシス〈ALLAS SEA POOL〉

港から見たアッラス・シー・プール。観覧車もサウナ仕様にDIYされたものが数台ある。
港から見たアッラス・シー・プール。観覧車もサウナ仕様にDIYされたものが数台ある。

これから向かうのは“海に浮かぶサウナ”だと聞き、車で1時間ほどかかるのだろうと想像していた。ところが、市内で1番大きな駅「ヘルシンキ中央駅」から徒歩で出発。人気の観光名所でもある「ヘルシンキ大聖堂」を経由し港方面へと歩いていくと、約20分で大きな観覧車と3階建ての建物が見える。ここが2016年にヘルシンキ中心部に誕生したプール、サウナ、レストラン&バーの複合施設〈ALLAS SEA POOL(アッラス・シー・プール)〉だ。

公式サイトのオンラインストアでもチケットが購入できる。
公式サイトのオンラインストアでもチケットが購入できる。

短いフィンランドの夏を満喫するべく、プールサイドでくつろぐ人たちを横目に受付に向かう。平日の夕方だというのに、エントランスからはみ出るほど並んでいるのに驚きつつ、大人1人18ユーロのチケットを購入して、脱衣所でバッグやら靴をしまい込んで準備を。ロッカールームが意外とコンパクトだったので、ホテルで水着に着替えてきたのが正解だった。

ストーンに水をかけるフィンランド式「ロウリュウ」も楽しめる。
ストーンに水をかけるフィンランド式「ロウリュウ」も楽しめる。

まずはロッカーBOXに荷物を置いて、シャワールームで体を軽く流してから外を経由して、2022年6月に新しくできた水上サウナへ向かった。日本でもよく見るコテージサウナのような建物で中へ入っていくと、港に浮かぶ船やヘルシンキの街並みが広がる絶景。サウナの温度は80度前後、湿度が高めでとても心地よい。左右二段、10人前後入れるサウナには地元の人はもちろん、抱っこされた小さい子どももちらほら見かけた。フィンランド生まれは、サウナデビューがとても早いらしい。

体が温まり汗をかいてきたところで、水風呂代わりのプールへ向かう。アッラス・シー・プールには、温水プールと海水プール、子供用プールがあり、さらには歩く用レーンなど各々用途分けされていた。温水プールで1番空いている場所を選んで入ってみると、どうやっても底に足がつかなくて焦った。看板を見てみると、どうやら日本のプールよりもかなり深めの設計のようだ。

続いて入った海水プールは、水温10度でかなり冷たい。体格のいい男性以外はだいたい冷たさに驚いた様子で、あっという間に引き上げてくる。サウナ国に来たからには本場を体験したい!と意を決し、サウナで蒸された体を肩まで入水。体験したことのないような冷たさだった。そのままプールサイドで外気浴を楽しみ、ヘルシンキの中心でととのった。忘れてはいけないが、ここはヘルシンキ中心部の駅から歩いて20分。やっぱりフィンランドはサウナ天国だ。

サウナとプールを楽しんだあとは、併設しているレストランへ。フィンランドでは、「ロンケロ」というサウナドリンクを飲むのがローカルの楽しみ方らしい。ジンをベースに、グレープフルーツソーダに割ったドリンク「ロングドリンク(=ロンケロ)」は、さっぱりとした味わいでぐびぐび飲める。フィンランドに行ったら、是非お試しあれ。

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中心部からアクセスがよく、オーシャンビューという抜群のロケーション。平日は朝6時30分から夜21時まで営業していると知って、さらに羨ましくなってしまった。観光の合間にも立ち寄りやすいし、何度も来てしまいそうだ。

〈ALLAS SEA POOL(アッラス・シー・プール)〉
住所:Katajanokanlaituri 2 A, 00160 Helsinki, Finland
TEL:+358 40 565 6582
定休日:なし
公式サイト:https://allasseapool.fi/

夏シーズン限定。船で行けるサウナ島〈LONNA ISLAND〉

ヘルシンキのマーケット広場からフェリーで20分のところにあるロンナ島。サウナやレストラン、コーヒーショップもあり一日楽しめる夢のような島が、毎年5〜9月の期間のみ営業している。夏はローカルにも大人気のスポットということもあり、行きの船はほぼ満席だった。海に囲まれた島でサウナ、という日本にはなかなかないロケーションに胸が躍る。

歴史を感じるレンガ造りの受付。ドリンクやグッズも販売している。
歴史を感じるレンガ造りの受付。ドリンクやグッズも販売している。

大昔のロンナ島はロシア時代の軍事領域として利用されていた島だった。その後、機雷除去などの基地として利用されていたので、船を降りると、当日使われていた線路の跡や大きな柵の痕跡が残っていた。そんな歴史を感じながら、受付へ向かい利用料を支払うところからはじまる。ロッカーキーとサウナで敷く用のリネンが入ったおしゃれなバスケットを抱えて、いざロンナ・サウナへ。

サウナは二階建てになっていて、一階には身体を洗うウォッシングルーム、2階には大人10人ほどが並んで座れるサウナスペースがある。ロンナ・サウナは薪で伝統的なフィンランド式サウナが楽しめる。ロウリュウ(サウナストーンに水をかけ、湯気や蒸気を立ち昇らせる)はセルフ式で、かけたい時にその場にいる人たちに一言声をかけて(もしくはなんとなく伝わるようなアイコンタクトをする)、水は2、3回ほどかけるのがマナーのようだ。静かな空間に「ジュワ〜」というロウリュウの音、窓からはバルト海の絶景。この上ない非日常なサウナ体験は、今思い出しても感動するほど神秘的だった。

サウナで温まったら汗を流して、いよいよ目の前の海に飛び込む。フィンランドでサウナといえば、海や湖に入って身体を冷やすが、ちょっと恐怖心もあった。でも、浅瀬は足がつく深さで、足元もゴツゴツとした石が引き詰められていたので歩きやすく流される心配もなさそうだった。慣れると余裕が出てきて、海に仰向けになりぷかぷかと浮かびながらフィンランドの大自然を感じた。

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サウナの後は、併設しているレストランでフィンランド料理を楽しむことできる。自家栽培した新鮮な食材を使った料理やロンナ島限定のビールなどを堪能。マリメッコやイッタラなどの器でサーブされるのも、フィンランド好きにはたまらなかった。

フィンランド首相のサンナ・マリン氏も訪れて大絶賛していたというお料理とロケーションを楽しんでいると、思っていた以上に遅い時間になっていた。北欧の夏は、夜になってもほぼ1日中明るいのでなかなか気付きにくかったが、帰りのフェリーの時間は要チェック。
こうして一日満喫できるロンナ島。帰り船でさっそく、また来たいなと思ってしまうくらい、病みつきになってしまう非日常な体験ができた。夏のフィンランドに行ったら、必ず訪れてほしい場所だ。

自然とサウナを楽しめる首都・ヘルシンキへ

東京からフィンエア直行便でヘルシンキ・ヴェンター国際空港まで約12時間。そこから電車、バスで首都・ヘルシンキに到着。市内の移動は路面電車のトラムかバスが便利。観光名所や美術館がある中心部であれば、シェアサイクルなどで巡るのもおすすめ。
■Visit Finland ホームページ:https://www.visitfinland.com/ja/

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