多くの人の手によって、変わらない個性と新たな魅力を備えた東北で生き生きと働く、街を愛する人たちにフォーカスしました。 in TOHOKU〈UR都市機構〉が関わった10年。東北で活躍する人たち
UR都市機構は、まちづくりの経験を活かし、東北の復興支援に全力で取り組み続けている組織のひとつだ。
多くの人の手によって、変わらない個性と新たな魅力を備えた東北で生き生きと働く、街を愛する人たちにフォーカスしました。(PR/UR都市機構)
人口は減っても、暮らしを 楽しむ人であふれる街に。
石巻で一見価値のなさそうな空き家を買い取り、再生させる事業を展開するクリエイティブチーム〈巻組〉の代表・渡邊享子さん。東日本大震災発生当時、東京で大学院生として都市計画を学んでいた渡邊さんは、復興支援で石巻に通うように。「壊れた街を完全に元通りにするのではなく、面白い形にしたいという商店街の若い方たちに出会ったりして、課題が多いからこそできることがあるかもしれないと感じました」
支援活動の長期化とともに、渡邊さんのように石巻に通っていた人が移住したり、起業して街を盛り上げる動きが出てきた。しかし被災者でさえ住宅が不足しているなか、移住希望者の物件探しは困難を極めた。
「石巻を好きな人が残れないのは、もったいないと思ったんです。それで地図を塗りつぶしながら被災した空き家を歩いて探し、シェアハウスにしたのが2012年末でした」この行動が〈巻組〉設立の種となるのだが、震災後の10年で石巻市の人口は減って空き家が増え、街そのものや移住者の目的も変わってきた。
「震災から間もない頃は、被災地の役に立ちたいという方が多かったのですが、最近は石巻の環境が好きで地方の自由なライフスタイルを求めて移住する方が多くなっています」
たとえば朽ちかけた物置をギャラリーに改装するアーティストや、作家活動の傍らで、季節ごとに漁業・農業に参加する女性ユニットなど。
暮らしだけでなく、仕事や働き方もカスタマイズする流れはコロナ禍で加速しているようで、〈巻組〉では昨年、活躍の場を失ったクリエイターに空き家を活用して生活と制作の場を提供する「Creative Hub」という新事業をスタート。震災当時は子どもだった世代が、今は〈巻組〉の事業を支え街の活力になっていることも、渡邊さんの大きな励みになっている。「街を持続化させるには、個々人の暮らしのなかで幸せが積み重なっていくことが大事だと思います。都会から来たら人通りが少なくて寂しい街に見えるかもしれないけれど、実は楽しく暮らしている人たちが結構いる。そういう状況が、次世代の幸せのあり方かなと思うんです」