ハナコラボSDGsレポート 都会で出来立てのチーズが楽しめる〈CHEESE STAND〉。廃棄物を出さない、サステナブルな取り組みとは?
ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第44回は、Hanako編集部がチーズ専門のカフェや工房を運営する〈CHEESE STAND〉を取材。代表取締役兼チーズ職人の藤川真至さんに話を伺いました。
ホエイがお風呂に!想いがつながり、始まった〈小杉湯〉との取り組み
リコッタやドリンクに活用しても、まだまだ余ってしまうのがホエイの課題。そこで次に始めたのが、高円寺の老舗銭湯〈小杉湯〉との取り組み。3代目当主・平松佑介さんに話を伺った。
「〈小杉湯〉では、生産者さんから提供してもらった廃棄物をお風呂にする『もったいない風呂』という取り組みをしています。そのほか、浴室の壁に生産者さんのことを伝えるアートボードを飾ったり、番台の前では物販も。元々は、祖父の代から続く家訓『きれいで、清潔で、気持ちいい』がきっかけ。本当に気持ちのいいお風呂に入ってもらうにはどうしたらいいのか考え、辿り着いたのが柚子湯や菖蒲湯などの旬のものを入れること。ですが、食べられるものを浴槽に入れてしまうのはもったいない。試行錯誤したすえに、いまのシステムができました」(平松さん)。
いまでは1ヶ月ごとに毎日内容が変わり、青果店や酒屋など様々なお店と取引をしている。そんななか出会ったのが、藤川さんだったそう。
「ホエイの存在を知り、早速提供してもらうことに。ホエイ風呂は香りがよく、とても気持ちがいいんです!いまでは月1〜2回、発注させてもらっています。物販しているチーズも大人気で、チーズを購入するために来るというお客様もいるほど」(平松さん)。
「入浴する方に楽しんでもらいながら、〈CHEESE STAND〉さんの想いを知ってほしい」という平松さん。
「私たちは想いに共感し、好きになり、お風呂に入りに来るお客様に伝えたいと思わなければ、その生産者さんとは取引しません。生産者さんにも〈小杉湯〉を好きになってもらい、相思相愛の関係を大切にしています。アートボードや物販を通して生産者さんの物語が伝われば、本当の意味で“気持ちいい”お風呂に入ってもらえるのかなと。経済合理性を無視してしまうのは難しいですが、人と人との目に見える関係性とつながりを大切にした結果、SDGsにつながればうれしいですね」(平松さん)。
〈小杉湯〉
■東京都杉並区高円寺北3-32-2
■03-3337-6198
■平日15:30〜1:45、土日8:00〜1:45
■木曜休
■https://kosugiyu.co.jp/facility/
廃棄物をなくして、循環できる社会をつくる
「飲食店をする上で、私にも社会的責任はあります。日々、スタッフにはゴミの分別などできるところから伝えるようにはしていますが、廃棄物問題はなかなか解決しません。近年、牛が排出する二酸化炭素が問題になっていますが、余分なものを作って捨てている人間の行為のほうが問題で、そこを改善するほうが先だと思うんです。かつての大量生産、大量消費は変わろうとしています。チーズ工房がいくつか集まってエネルギーを作るなど、私たちのような中規模のお店でも循環できる取り組みをしていきたいですね」(藤川さん)。
11月には尾山台のほうに新しいチーズ工房が完成予定。そこではホエイを使ったジャムやブラウンチーズを作るとか。藤川さんの今後の活躍に乞うご期待!
〈CHEESE STAND〉
(photo:Wataru Kitao、Kaori Oouchi)