弁護士・菅原草子が女子のお悩みをズバッと解決! コロナハラスメントやキャンセルされた仕事の報酬…いま知っておきたい!トラブル解決方法。 LEARN 2021.04.19

新型コロナウイルス関連のトラブルはさまざまな場面で発生しています。一人で悩まずに、法律で解決できる問題もあるかも。今回は、弁護士・菅原草子が、愛してやまない食の話とお役立ち法律情報、Hanako読者からきたお悩みを解決する連載『食いしん坊弁護士、そうこ先生のお悩み相談室』より、“コロナトラブル”の解決方法をお届けします。

1.「新型コロナウィルスの影響で仕事がキャンセルに。報酬はもらえないの?」(K.Y.さん/フリーランス)

菅原さん連載2

フリーランスでお仕事をされている方などは、特に今一番気になっているのでは…。原則として、委託されていた仕事がなくなってしまった場合、報酬や実費などをもらえるかは、仕事がキャンセルされた理由によることになります。災害など不可抗力によって、自分にも契約先にも責任はなく、仕事を遂行できない状況になってしまった場合には、報酬等はもらえない、というのが民法の規定です。

ただし、例えばイベント当日までの準備にかかった経費や労力分の報酬等については、請求できる場合もあります。まずは契約先とよく話し合ってみましょう。

また、事前に当事者間でキャンセル料等を取り決めていた場合には、この取り決めが優先し、報酬等を払ってもらえます。取り決めがなかった場合には、当事者間での話し合いになりますが、結局払ってもらえないことが多いかもしれません。そのため、やはり契約する時点できちんと取り決めをしておくことが重要です。口約束だけでは後からもめてしまう可能性もありますので、きちんと契約書を作成しておくのがベストです。作成が難しいという場合には、メールやLINEなどで取り決めた内容を残しておくことをおすすめします。

今回、新型コロナウィルスの影響を踏まえ、国では様々な支援策を提示しています。

①業務委託契約等により仕事をする方が、子どもの世話により仕事ができなかった場合に、1日4,100円の助成金(「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金」)の支給

②2020年の売上が前年比の50%以上減少した場合に、個人事業主に100万円を上限とした給付金(「持続化給付金」)の支給(現在検討中)、といった制度もありますので、有効な活用を検討してみてください。

結論:「経費や報酬等の一部は請求できることもあります。よくよく契約先と話し合いましょう!そして、トラブルを避けるためには、事前に契約書を交わしておくべし!」

2.「職場で“会社にくるな”と言われた!こんなコロナハラスメントにはどう対応したらいいの?」(Y.A.さん/事務)

菅原さん連載 第5回

今回の相談者Y.A.さんように、コロナハラスメント被害の多くは職場において。例えば、遠隔地から通勤していると「ばい菌をまき散らすから出社するな!」という暴言を吐かれた、感染を疑われ席替えをされた、花粉症でくしゃみをしたり喘息で咳込んだだけで謝罪を求められた、といった例があるとのこと。感染第2波ともいわれ、再び多くの人が神経質になっている今、トラブルに巻き込まれるおそれは誰にでもあります!そこで、実際にY.A.さんのように職場でコロナハラスメントなどのハラスメントにあった場合には、以下のような行動をとることをおすすめします。いざ被害に遭うと、どうしていいかわからなくなるもの。事前に知っておくだけで違ってきますよ!

【1】相談する
まずは、相談してみてください。思い詰めないよう、信頼できる人に話をして自分の心のバランスを取ることはとても大切。抱え込まずに誰かに話をして一歩でも解決に進めましょう。大企業では2020年6月1日、中小企業では2022年4月1日より、パワハラの相談窓口の設置、ハラスメント防止措置をとること等が義務化されるため、皆さんも相談しやすくなり、ハラスメントへの対応をしてもらえることが期待できます。なお、社内で相談することによる不利益が心配であれば、厚労省等の公的相談窓口もあります。
【2】証拠を残す
被害状況を正確に相談するためにも、将来的に法的措置を検討するためにも、証拠を残すことは重要。精神的ストレスが強くなると冷静な判断が難しくなることもあるため、度重なる暴言を録音する、被害を時系列で詳細に記録する(日記のようなものでもOK)、ということは今から意識しておくといいでしょう。
【3】本人に伝える
相手はハラスメントと気付いていないこともあります。(とくにコロナ禍では相手も不安のあまり過剰な反応になっていることもあるかも)。そこで「苦痛を感じているからやめてほしい」ということを直接本人に伝えてみるのも手段です。自分で伝えることが難しい場合は、弁護士等に相談して相手に伝えたり、話し合ってもらうこともできます。さらに、損害賠償請求などの法的措置も考えられます。

結論:「ハラスメントは、思い詰めずに、勇気ある一歩を!その一歩が解決に繋がります!」

3.「自然災害やコロナウイルスによるトラブルはどこに相談ができて、どんな制度があるの?」(O.M.さん/パート)

菅原さん連載 第13回

弁護士も被災者の方々に向けた活動をしています。災害時に適応される制度を定めた法律もあるので、あわせてご紹介。知っていると、いざというときに役立つ情報です。

【1】住宅が損傷をうけたとき
自然災害(暴風、豪雨、地震、津波、噴火など)により、住宅(賃貸も含む)が全壊、半壊などのダメージを受けたとき、市町村に申請することで、段階に応じて、最大300万円まで、使途に制限のないの基礎支援金・加算支援金が支給されます(被災者生活再建支援法)。 

【2】お金に困ったとき
A.負傷または住居・家財に被害を受けた方のうち、所得金額が一定の範囲内の方は、最大350万円の災害援護資金の貸付を受けられる場合があります。また、低所得世帯の方は、一定期間の生活費や転居費など、生活の再建を支援する生活復興支援資金の貸付を受けることができます。
B.自然災害の影響で震災前の住宅ローン等の支払いが困難となった場合には、債務の減額や免除が受けられることがあります(被災ローン減免制度)。これは新型コロナウイルス感染症についても適用があります。

【3】災害が原因でトラブルが起きたとき
隣の家が倒壊して二次被害にあった、賃料を支払えなくなった、内定を取り消されたなど、自然災害や新型コロナウイルスが原因で、各種の紛争、トラブルが起きてしまったとき、弁護士等が間に入って話合いをする「災害ADR」という裁判外の手続により、早期に解決を目指すことができます。一般のADRよりも、手数料が減免され、申立てが簡素化されています。

【4】無料法律相談
東日本大震災の際には、震災時に被災地に住んでいた人を対象に、弁護士会などによる法律相談が無料になるという定めができました(東日本大震災被災者援助特例法)。相談内容は、貸金、借地借家の問題、労働問題、二重ローン問題、離婚などほぼ全てが対象です。その他の地域でも、災害時には弁護士会等による無料相談が行われていることがあります。今後も災害時には、同様の対応がとられる可能性があるので、お住まいの地域の弁護士会や法テラスに問い合わせてみてください。

結論:「災害時にも助けてくれる法律や国の制度があります!1人で悩まないでまずは相談してみてください。」

食いしん坊弁護士、そうこ先生のお悩み相談室

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弁護士として活躍する菅原草子が、美味しいご飯の話とすぐに役立つ法律情報、Hanako読者からきたお悩みを解決。意外と知らない、弁護士の日常が垣間見えるかも…!?(第4木曜更新)

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