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歴史を肌で感じる。 鎌倉〈一条恵観山荘〉ってどんな場所?園内にある〈かふぇ楊梅亭〉も要チェック!
鎌倉駅から若宮大路を抜け、坂を上った、静かで厳かな一帯の一角に立つ〈一条恵観山荘〉。朝廷文化を伝える貴重な遺構として、国の重要文化財に指定されている。1646年ごろに京都・西賀茂に建てられ、昭和に入ると鎌倉に移築された。昨年6月からは一般公開されている。京都と鎌倉の歴史を感じられる意匠を見学してみよう。
〈一条恵観山荘〉で雅な世界を体感。
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山荘は茅葺き屋根と土壁で造られ、外観を一見すると田舎の民家のように素朴。だが、一歩中に入れば、さまざまな建築法を織り交ぜた恵観独自のアイデアに全く異なる印象を受ける。庭園は京都にあった当時の姿を再現。鎌倉の気候では繁殖しづらい苔を丁寧に生やし、移築とともに運んできた飛び石を配置。低く整えられた熊笹、生垣なども見事だ。
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後水尾天皇を迎えるために作られた御幸門。建立時は門が40ほどあったとされる。山荘に向かう道程には天皇を迎える御幸門が再現されている。
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移築の際に新築された建物には、茶室が。茶会は一般参加も可能。茶席「時雨」の円窓を眺める心落ち着く時間。
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園内には〈かふぇ楊梅(やまもも)亭〉がある。茶の湯を嗜んだ恵観の庭を望み一服いただく。
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山荘の中で最も格式の高い部屋の引き手には、宮中を意味する「月」の文字が使われている。次の間には「の」の文字があり、和歌の始まりを思わせる。
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上質な杉戸に絵を施した贅沢なしつらえ。4種の杉戸絵は朝廷文化の貴重な資料。
〈一条恵観山荘〉
■神奈川県鎌倉市浄明寺5-1-10
■0467-53-7900(浄明寺)
■10:00~16:00(最終入園15:30)/月火休、ほか不定休
■「体験案内」に参加すると解説付きで山荘内見学可(毎月指定日開催、先着順)。
■庭園は常時見学可。入園料500円、体験案内1,000円(入園料別)
(Hanako1158号掲載:photo : MEGUMI (DOUBLE ONE) text : Kahoko Nishimura)