全国のクラフトビールが揃うビストロにハンドドリップ日本茶専門店!? 人気グルメエリア・三軒茶屋で今行くべき個性豊かな3軒はここ!
全国のクラフトビールが楽しめるビストロに日本茶のハンドドリップ専門店、とっておきの日に訪れたい老舗テーラーの面影が息づく日本料理店…人気グルメエリア・三軒茶屋ならではの注目の3軒をご紹介。
1.全国のクラフトビールが待つ茶沢通りの愛されビストロ。〈Kikuya René〉
茶沢通り沿いに今年2月に出現した、クラフトビールがおいしいビストロ。
テラス席もあり。
スタッフとの会話が楽しいカウンターでは、さわやかな男子がテキパキと立ち働き、店は和やかな活気に満ちている。シェフは三茶屈指の繁華街「三角地帯」の店で10年腕をふるった濱砂将明さん。一流ホテルも経験した彼の人柄を映してか、スタッフは皆紳士的でフレンドリー。彼らとの会話と冷たいビールを目当てに訪れる人は、ご近所のシニアから沿線の女子まで。個性も年代も幅広い客層は、都心でありつつ下町情緒の残る三茶という街ならでは。
人気の「シャルキュトリと前菜の盛り合わせ」1,500円。「お客さんを驚かせたくて」とさらにボリュームアップ。樽生を楽しめるクラフトビール(600円~)は12種。国産を中心に軽めから重厚なものまで。フードは店内で仕込むシャルキュトリなど、しっかり食べられるものが多い。
どの皿もサーブされた時思わず歓声が上がる華やかさ。一方で一人のお客には小さいポーションで用意するなど、フレキシブルなサービスも心地よい。
縦長の店内には、奥に落ち着けるテーブル席や半個室もあり。「お一人でもお気軽に。うちは隣り合わせたお客さん同士、話が弾んで盛り上がることも多いんですよ」と笑う濱砂さん。さらに土日はランチも。仕事帰りの一杯に、休日の昼飲みにと気軽に立ち寄れるこの空間。新たな街のハブとして、地域に根を下ろしている。
2.シングルオリジン煎茶の飲み比べで日本茶に開眼!〈東京茶寮〉
「日本茶という素晴らしいプロダクトを世界に広めたい」と、今年初めに登場したハンドドリップの日本茶専門店。神社仏閣の建築様式に影響を受け、水平垂直で構成されたミニマムな空間。
全国からセレクトした農園・品種指定「シングルオリジン」の茶葉を、コーヒーを思わせるオリジナル日本茶ドリッパーで淹れる。
オリジナルのドリッパー。上からお湯を落とすことで、茶葉がジャンピングしてムラなく抽出できる。
初めての人はまず「煎茶2種飲み比べとお菓子のセット」から。月替わりの茶葉8種から好みの2種を選び、それぞれ3煎まで温度を変えて楽しめる。一杯ずつ時間をかけて。淹れる所作の美しさにも注目したい。
1煎目は70℃の低温で甘味と香りを際立たせ、2煎目は80℃の高温で、日本茶ならではの渋味や苦味を引き出す。締めくくりにはどちらか好きな方を玄米茶にして香ばしい味わいを堪能できる。
煎を重ねるごとに変化する味わい、温度で引き出される個性。「ドライフルーツの羊羹」など、和菓子の枠にとらわれないお茶菓子も、新たな日本茶のスタイルを感じさせる。静かなカウンターで、じっくり時間をかけて日本茶の世界に向き合って。
茶葉の販売は25種。50g 1,080円~(各税込)
3.老舗テーラーが和食店になって復活。〈和食 島田洋服店〉
昭和8年からこの街で愛され、惜しまれつつ店を閉じたテーラー〈島田洋服店〉が、和食の店として復活。
娘婿で日本料理職人の島田歩さんが、家族の思い出が詰まった店を引き継ぐ形で独立、開業したのだ。
かつての作業台をテーブルとして再生。「店じまいから2年ほど。店を誰にも貸さずに保存しておいた両親の思いを汲み、テーラー時代の面影をなるべく残して改装しました」と島田さん。
店内にはアイロンなど、仕立てる工程の90%以上を手縫いしていた先代の手仕事の道具が並ぶ。木組みの床やキャビネットもそのままだ。
料理は5000円の会席コース。
コースのご飯は、追加料金で季節のご飯に変更可。この日は+2,500円で松茸ご飯!(写真は2人前)
奥様お手製(!)の漆のお椀。底の小さな「ありがとう」の文字が素敵。毎朝築地に通って仕入れる旬の素材を生かした、季節感豊かな料理。凝りすぎず、遊び心を感じさせる品々に島田さんの人柄が覗く。「テーラー時代を知る地元の人も来てくださいます。ご家族など、大切な人との食事に来てもらえたら」
歴史ある空間と温かな味を楽しみに、とっておきの日に訪れたい。
(Hanako1143号掲載/photo : Shin-ichi Yokoyama text : Chiho Ohsawa)