Looking good, feeling good. ママであること、ママを楽しむことを訊くインタビュー MAMA 2023.08.21

1日の時間の大半が「自分だけ」から「子どものため」に変わる「ママ」の時間。身体や生活も変化し、慌ただしい毎日がママを待ち受けています。そんな日々の中でも自分らしく、機嫌よく過ごすにはどうしたら良いのか?2歳のお子さんを持つ母であり、京都のヴィンテージショップオーナーの竹内春奈さんに、ママになってからも自分らしさを保つ秘訣を聞きました。

機嫌よく子どもに接するために、自分の好きなものは諦めない

ーー竹内さんは以前より、Instagramなどで自ら商品を着用した写真を説明に使用されており、妊娠中の大きいお腹でも様々なコーディネートを自由に着こなされていたのが印象的です。妊娠出産を経て、ご自身のファッションに変化はありましたか?

竹内さん:変わっていないかな。妊娠中は大きいお腹でも着られるようなワンピースが多かったけれど、ヒールも履いていたし、特に変わっていないです。

変えたくない気持ちがあったのかも。私は洋服を売っているので、常にカッコよくありたいと思っています。だから、いわゆる「ママ感」とか「生活感」が出ないよう、意識的に今までのファッションから変えていないような気がします。

ーー今までと変わっていないことだと例えばどんなことがありますか?

竹内さん:例えば、子どもを抱っこすると襟周りが引っ張られたり、よだれで汚れたりするので、簡単に洗える素材の洋服を選ぶママは多いと思うんですが、私はスパンコールの付いた服でも全然気にせずに変わらず着ちゃいます。自分が着たい服を選んでいるので、たとえ汚れちゃっても「あらあ、またついちゃって〜」ぐらいで、特に気にしません。

むしろ自分らしくない服を着ることの方が、ストレスかもしれない。そうやって小さなストレスを溜め続けると、子どもにもつい当たっちゃうと思うんです。子どもと機嫌よく過ごすために、たとえ扱いが不便でも「自分が着たい服は全部着てやるぞ!」という気持ちでいます。

妊婦さん ファッション

ーー好きなものを我慢しないというのは洋服以外にも当てはまりそうですが、ほかにも意識されていますか?

竹内さん:小さい子どもを育てる家庭では、家の中のものも、子どもに破られちゃうし汚されちゃうので、プラスチックなどの扱いやすい素材のものに置き換えたりしますよね。でも手軽で取り扱いしやすいものが家の中に溢れちゃうと、こちらも扱いが雑になってしまう。なので、できるかぎり自分たちが納得のいくものを揃えるようにしています。

今は陶器に興味があって、そんなに高価なものではないけれど、食器棚は陶器でいっぱいです。子どもも一緒にご飯を食べるようになったので、食事のときはプラスチックの器ではなく、大人と同じような食器を使っています。もちろん壊してほしくはないけれど、「壊してもいいよ」というスタンスです。

「お花を飾ることも夫婦で大事にしています。」
「お花を飾ることも夫婦で大事にしています。」
「生きたものを飾ると気分もイキイキする気がします。」
「生きたものを飾ると気分もイキイキする気がします。」

ーー好きなことを楽しみたい気持ちがあっても、自分のことを考える余裕すらない瞬間はありませんか?

竹内さん:産後2、3ヶ月の頃は、鬱っぽくなったこともありました。身体がきつくて働けないときも、お店からは家賃やローン返済などで変わらず毎月お金がなくなっていく。ホルモンバランスなどもあいまって精神的に不安定になって、寝れなくなったことも。

私はもともと人に頼るのが苦手で、頑なに自分で解決しようとしていたんです。そんなときに、夫が私のいっぱいいっぱいな姿から辛さを察してくれて。「しんどいやんな?」と声をかけてくれた瞬間、今まで抱えてたものが涙と一緒にブワーって溢れました。自分は一人じゃないことに気づくことができてからは、大変なことがあったらすぐ夫に相談するようになりました。お互いに言い合える関係だからこそ助け合えています。

さすがに鬱っぽかったときは、新しいメイクをしよう、新しい服を着ようという気持ちにはならなかったけれど、それでもなるべく今までの自分の着たい洋服を選ぶことは意識していました。ワードローブで楽しむことは平常心を保つ意味でも大切なことでしたね。

以前の自分と今の自分は別人。完璧は目指さず、やりたいことをできる範囲で頑張る

ーー先ほど妊娠中はワンピースが増えたとおっしゃっていましたが、妊娠出産による身体の変化で、着る洋服は変わりましたか?

竹内さん:実は出産後、出産前の体重に戻っていないんです。「頑張って子どもを産んだ私だから、この体型でもまあいっか」と認めてしまっている節があって。二の腕が気になってノースリーブの服が着られなくなったり、お腹・腰回りが気になってタイトな服が着られなくなったりするので、あんまり良くないとは思っているんですが…。

ーー体型の変化に悩まれるママさんは多いと思います。

竹内さん:どうしても比較してしまいがちですが、前の自分は一人の自分、今の自分は息子がいる自分。いまは何もかも息子がいる前提になったので、以前と全く同じ状態に戻すというのは難しいと思うんです。前の自分への憧れを持ち続けると辛くなりますし。完璧を目指すのは無理なので、何かを捨てないと。私は着たい洋服のために頑張りたい。だから、できる範囲で二の腕痩せ運動をしたりしています。

ショップ 竹内春奈さん

ーー以前の自分と今の自分を切り離し、ストレスを溜めずに過ごすコツはなんですか?

竹内さん:子どもを産んでから、息子に教えてもらうことが多すぎて、親から教えられることはそれほどないと気づきました。だから、親同士が仲良くしているのが、子どもに伝わることこそが大事だと思っているので、夫も私も好きなことを100%やるようにしてますね。子どもがいるからできないということはありません。

あと、出産前までママ友が全然いなかったのですが、子どもを産んでからママ友ができる理由がわかりました。産んだ女性にしかわからないことを話す場があるだけでも精神的な安心感が全然違います。自分だけじゃないんだと気づけることはありがたいですね。「わかる!」と共感しあっています。

ーーママ友との会話以外にもママ情報を見るようになったり、情報収集は変わりましたか?

竹内さん:あまりママ情報は見ないようにしています。SNSで他人の生活が見えるようになったからこそ、うまく使わないと危ないと思っていて。美しいものしか上がらないので、他人が羨ましく見えてどうしても自分と比較してしまう。でも、子育ては本当に正解がない世界です。情報交換という意味で友人の話は聞くけれど、SNSとは距離をうまくとっていますね。

京都 ヴィンテージショップ 古着
YOU LOOK GOOD 洋服
photo: Haruna Takeuchi, Interview&text: Chika Hasebe

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