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学芸員ラジオDJ・DJAIKO62さんがおすすめする、今見ておくべきアートとは? 〜今度はどの美術館へ?アートのいろは〜「キスリング展 エコール・ド・パリの夢」 Learn 2019.05.30

ラジオ番組で美術展を紹介するうちに美術館巡りの面白さに目覚めたというDJAIKO62さん。コラム連載第15回は〈東京都庭園美術館〉で開催中の「キスリング展 エコール・ド・パリの夢」をご紹介します。日本では12年ぶりとなる「キスリング展」、アール・デコ建築との共演も楽しんでください!

モンパルナスのプリンスと呼ばれた才能、キスリング。

キスリングはエコール・ド・パリを代表する画家。生まれはポーランドで、美術学校を卒業後19歳でパリへ渡ります。そこでピカソやモディリアーニ、パスキン、そして藤田嗣治とも交流を深めます。
第一次世界大戦はフランスの外国人部隊として、第二次世界大戦ではユダヤ人であったためアメリカのニューヨークに身を寄せるなど激動の時代を生きぬきました。
しかし社交的で人望があったキスリングの過ごす場所にはいつも家族や友人が集い、絵の制作依頼も多く、画家としても大変恵まれた人生を送ったそうです。
今回は肖像画、静物画、裸婦像など約70点が一堂に会しキスリングの画業をたどっています。どれを見てもヴィヴィッドな色使いやポップさに心が躍るはずですよ。

ベル=ガズー「コレット・ド・ジュヴネル」
ベル=ガズー「コレット・ド・ジュヴネル」

今展のポスターにもなっている、ベル=ガズー「コレット・ド・ジュヴネル」はカンティーニ美術館から。既視感のあるドレスの柄には親しみを覚えませんか?

左:「シルヴィー嬢」〈松岡美術館蔵〉右:「緑色のスカートの女性」〈村内美術館蔵〉(写真右)
左:「シルヴィー嬢」〈松岡美術館蔵〉右:「緑色のスカートの女性」〈村内美術館蔵〉(写真右)

焦点の定まらない視線をやる人物、憂いた表情など、特に肖像画が印象に強く、見どころと言っていいでしょう。時にモディリアーニを彷彿とさせるなぁと見入ってしまう絵がたくさんありました。
今展監修者の一人、村上哲さんにお聞きしたところ「モディが描いたキスリングの肖像画も存在するし、モディリアーニの葬儀費用を負担するほど、親交があった」のだそう。
二人の友情がどのように育まれ、作品に表れる程の影響をお互いに与えたのか。絵を見ながら想像する時間も味わい深いものとなりました。

写真左から、本展企画監修者 ポール・ヴァレリー美術館館長・国家遺産主任学芸員 マイテ・ヴァレス=ブレッドさん、東京都庭園美術館担当学芸員 浜崎加織さん、本展監修者・アート・キュレーション代表 村上哲さん。
写真左から、本展企画監修者 ポール・ヴァレリー美術館館長・国家遺産主任学芸員 マイテ・ヴァレス=ブレッドさん、東京都庭園美術館担当学芸員 浜崎加織さん、本展監修者・アート・キュレーション代表 村上哲さん。

今展企画監修者でもあるマイテさん一押しの作品は?

「ミモザの花束」〈パリ市立近代美術館〉
「ミモザの花束」〈パリ市立近代美術館〉

1点を選ぶのは難しいとしながらもあげてくれたのが、パリ市立近代美術館所蔵の「ミモザの花束」という作品。
よーく近づいて見てみると、ミモザの黄色い花の粒が彫刻のように立体的になっているのに気づきます。これは絵の具のチューブから直接キャンバスに点を置くように描く手法。
こういったちょっと実験的な試みや筆遣いにも注意を払って鑑賞すると面白さも広がります。

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〈東京都庭園美術館〉はアール・デコ全盛期に建てられた〈旧朝香宮邸〉で重要文化財にも指定されています。フランスのインテリア・デザイナー、アンリ・ラパンが手掛けた室内と特別な共鳴を感じずにはいられません。写真のパネルもあるので、人柄や当時の様子にまで思いを馳せてみて下さい。

※写真は内覧会時に申請・許可を受けて撮影したものです。転用・転載はできません。

開催概要「キスリング展 エコール・ド・パリの夢」

■会期:2019年4月20日(土)~7月7日(日)
■休館日:毎月第2・第4水曜日(6/12、6/26)
■開館時間:午前10時~午後6時(ご入館は閉館の30分前まで)
■会場:東京都庭園美術館
■展覧会公式サイト:こちらから。
チケット情報やアクセス他、詳細は公式サイトをご確認ください。

☆第14回「ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち」はこちらから。
☆『〜今度はどの美術館へ?アートのいろは〜』連載ページはこちらから。

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