さあ、沿線に息づくストーリーを巡りましょう。 大井川鐵道本線をぶらり。ローカルな物語に出会える!ステキな旅ルートをご案内。
東京から新幹線と普通列車を乗り継ぐこと約2時間、始発の金谷駅に到着。日本有数の観光鉄道である〈大井川鐵道〉は、日本一のSL運行数を誇ることで知られる。雄大な自然の中を走る大井川鐵道。温かな地域の人たちや採れたて野菜のごはんと、さまざまな出会いが待っている。せっかくこの地を訪れたなら、フリー切符で普通列車にも揺られてみてほしい。
まずは車両の魅力を味わおう。どれも個性的な大井川を走る車両たち!
大井川鐵道本線が全通したのは1931年。やがて1976年のSL復活で、観光列車として一躍脚光を浴びた。近年はきかんしゃトーマス号が話題をさらっているが、SLと普通列車も魅力的。停車4駅のSLは現役4両のなかでも一番古い1930年製。
35~45年製の客車は、上品なシートや木の温もりを感じる座席など味わい深いしつらえ。汽笛の音もそれぞれ違うので聞き比べを。
普通列車は、1960年代後半、近畿日本鉄道で走っていたもの。昭和の名残りを感じさせる個性的な車両空間の旅は、ほかでは味わえない心地よさがある。
チェック柄のカーテンがあか抜け、ふかっと体を受け止めるシートも心地いい!かわいらしいオレンジ色が、山々の緑に映える。「SLは石炭の匂いや車輪が回る感触が独特。普通列車より速度は遅いけど、そのぶん景色はゆったり流れる。各駅を巡るなら普通列車で」と機関士さん。さて、どの列車に乗って旅に出ようか。
1.途中下車のたびスタート!お供はSL始発駅で。キュートなラテとお弁当を。/新金谷
駅前〈プラザロコ〉のきかんしゃトーマス弁当950円&エキナカ〈This Is Cafe 新金谷駅店〉のSLラテ420円(各税込)を手に準備万端!
〈This Is Cafe 新金谷駅店〉・〈プラザロコ〉
■0547-46-5810(This Is Cafe、7~10月はトーマスSL運行日のみ、以降はSNSを確認)
2.進行方向左側の窓に注目!約40体が集う名物・たぬき村。/神尾
畑や川沿いと、駅の立地もさまざま。山中の神尾駅では、ホームで信楽焼のタヌキが迎えてくれる。始まりは約40年前、SLの車掌ガイドが「無人駅にも楽しみを」と乗客からのチップで買い集めるようになったそう。車掌姿のミニタヌキも探してみて。
3.趣ある家山駅の駅舎。古き良き時代に思いを馳せる。/家山
大井川鐵道本線の全19駅は、そのほとんどが1927~30年に建造されたもの。29年建造の家山駅には、まだまだ当時の雰囲気が
残っている。駅前のポストからハガキを出したり、ベンチに座ってひと休みしたりと、昔ながらの風情に浸ってみたい。
4.青空の下、ばあちゃんの手作り料理をいただきます。/抜里
ホームに降りるとにぎやかな食卓が。5年目の〈サヨばあちゃんの休憩所〉は旅行客と地元の人との交流の場。お手製の惣菜(なくなり次第終了)を囲みながら、土地の歴史や穴場情報を聞こう。参加500円(税込)
〈サヨばあちゃんの休憩所〉
■11:00~15:00/土日のみ営業、祝不定
5.駅併設のおしゃれカフェを発見!地元メイドのコーヒーでひと息。/川根温泉笹間渡
元は駅長の宿直室だったカフェ。地元で摘んだブルーベリーのチーズケーキはこの店ならでは。〈寿園CAFE〉の川根炭火焼アイスコーヒーとセットで600円(税込)。
〈寿園CAFE〉
■静岡県島田市川根町笹間渡436-1
■0547-53-2237
■11:00~17:00/日月祝休
■14席/禁煙
6.沿線最長の吊り橋は、線路を見下ろす特等席。その先には?/塩郷
吊り橋の名所でもある大井川沿線。長さ220メートルの「塩郷の吊橋」は恋金橋の愛称で親しまれる。渡りきった先では、鳴らすと恋が叶うという「恋がねの鐘」に願かけを。約11メートルとなかなかの高さだが、真下に流れる清流と涼やかな風に癒される。
7.この地に魅せられた女店主の古民家カフェで、ゆっくりごはん。/千頭
山川を望む居間のような空間で、閲覧可能な本を手にゆったり過ごせる。2種のメニューは気まぐれだが、五分づき米と無農薬野菜のチキンカレー850円(税込)は定番。
〈cafeノハル草源〉
■静岡県榛原郡川根本町千頭1199
■050-5894-2838
■11:00~夕方/火水木休
■10席/禁煙
8.ダシのいい匂いに誘われて。シメはホームで駅そばタイム。〈千頭駅売店〉/千頭
漂うダシの匂いに足がピタリ。おすすめは昆布とかつおダシで煮た山菜月見そば(上)420円と豚肉の肉そば(下)470円(各税込)。店横にテーブルも。
■静岡県榛原郡川根本町千頭1216-5
■0547-59-3252
■11:00~14:30/無休
これであなたも大井川鐵道マスター!
1925年に貨物輸送鉄道として創業。蒸気機関車の保存に注力し、きかんしゃトーマス号を含め、日本で唯一、年に300日以上SLを運行している。現在は普通列車も含め、乗客のほとんどが県外からの人々だ。SLの常務車掌による、列車内での解説やハーモニカ演奏も名物。公式サイトはこちらから
©2018 Gullane[ Thomas] Limited.
(Hanako1160号掲載:photo :Chihiro Oshima text : Kahoko Nishimura edit : Chiyo Sagae)