和とモダンの融合。 ちょっと大人な鎌倉めぐり。趣溢れる空間を体験できるおすすめスポット2軒
古くから別荘地だった鎌倉は、今も昔も名建築が集まる場所。鎌倉らしいリッチさ、モダンさを残す物件が数多い。建築通でなくても、その素晴らしさがわかるから、だれでも楽しめる!今回は実際に中に入ってその価値を体験できる施設をご案内します。
1.伝説の店の趣を残すワインバー。〈binot〉/小町
1960年代、小林秀雄や川端康成、大佛次郎、立原正秋などなど数多くの鎌倉文士が通っていたパブ〈龍膽(りんどう)〉を、風情を残しつつ上手にリノベーションしたワインバー。石造りの外観は、竣工当時から鎌倉でも指折りのモダン建築と評判だった。今も外壁は当時のまま。昭和の風情が漂う。
店舗にあった品は極力再利用。間仕切りのアイアンは以前の店でも使用されていた装飾品。棚の木材もハンガーラックに活用している。
天井板を抜いて開放感を演出。低い天井板は取り払い、あえて梁を見せる内装に。この工夫が狭い店に開放感のある空間を生み出す。
カウンターが主役の空間作り。壁面の装飾はすべて取り払い、店内は白を基調に。〈龍膽〉の象徴だったカウンターを浮かび上がらせた。グラスワイン615円(税込)~。
〈binot〉
■神奈川県鎌倉市小町1-5-14
■0467-50-0449
■18:00~22:00 LO
■日休
■14席/禁煙
2.鎌倉らしい谷戸に調和するモダン建築。〈鎌倉歴史文化交流館〉/扇ガ谷
英国人建築家ノーマン・フォスターが個人の邸宅として2004年に設計した建物を利用し、鎌倉の歴史文化を紹介する施設として2017年にオープン。緑深い谷戸に突如現れたモダンな建物は、絶妙な配置で周囲の景観に融合し、古都の風景とは一線を画す斬新な魅力が感じられる。人造大理石やアンティークタイル、廃ブラウン管を再生したガラスなど建材にも新旧の品が自在に使われる。
本館の廊下壁面には光ファイバーが組み込まれた人造大理石を採用。幻想的な空間が演出されている。
太陽光を取り込み、生かす設計。建物内部は平行の壁に仕切られ、奥に進むにつれて太陽光と風景を積極的に取り込む設計がなされている。
館内にある和風建築も見どころ。本館奥にある和風建築もフォスターの設計。屋根は奈良、廊下は平安と時代様式がミックスされている。
〈鎌倉歴史文化交流館〉
■神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-5-1
■0467-50-0449
■10:00~16:00(入館~15:30 )
■日祝休
■一般300円
(Hanako1158号掲載:photo : Shin-ichi Yokoyama text : Kimiko Yamada edit : Mutsumi Hidaka navigator Kayoko Shimadu, Kazuhiro Murata)