ネイルケアのためにもネイルを塗る｜前田エマの、日々のモノ選び。#8 LEARN 2024.05.01

私はリングやブレスレットをあまり付けない。
モデルという仕事柄、付けたり外したりすることが多いので、管理するのがめんどうなのだ。
また、私のようなナチュラル系の媒体で活動するモデルは、ジェルネイルをする機会もあまりない。
自爪を活かした撮影もあるし、服に合わせて1日に何度もネイルを塗り直す場合もある。

手元というのは、四六時中、自分の目に入る身体のパーツだ。
うるおっていて、すべすべしていると、とても穏やかな気分になるし、逆にささくれ立っていたり、カサカサしていると、気分が落ちる。
アクセサリーやネイルで飾っているときは、ものすごく嬉しい気持ちになり、手元を見るたびに機嫌が良くなる。

私は大学生の頃からずっと、飲食店でアルバイトをしている（アルバイト体験をもと書いた小説も出版している）。
水仕事が多いので、一年中、ハンドクリームを塗ったりネイルオイルを塗ったりしてケアしている。
アルバイト先ではネイルは禁止されていない。
ただ、私はなるべくネイルをしないようにしている。
ジェルネイルならそんなことはないと思うが、働いているうちにどうしてもネイルが剥げてしまって、不潔な手元に見えなくもない。
お客さんによっては、ネイルをよく思わない人も、口に出さずともいらっしゃるだろうし、せっかくの美味しい食事が、ネイルの色などでまずく感じられてしまったら、とても悲しい。

そんなこんなで「ネイルを塗りたいけれど、すぐにオフしなきゃいけないし、めんどくさいなあ〜」と、しばらくネイルをすることから離れていた時期があった。
しかし、ある冬のこと。
乾燥で足の爪に縦線が入ってしまい、ボロボロになってしまったことがあった。
この仕事は冬に夏物の撮影もするため、足元を見られることもあり、その度にものすごく恥ずかしい気持ちになった。
ネイルケア専門の高いサロンにでも行こうかと本気で考えていたのだが、まずは自分でケアしてみようと、傷んでいる部分を荒さの異なるヤスリで削り、甘皮を処理して、保湿して、しばらくネイルを塗り続けてみることにした。
それまでの私には、ネイルを塗ると爪に負担をかけるイメージがあったが、爪を乾燥や衝撃から保護してくれることをここで身をもって実感した。

手の爪も、ネイルを塗っているときのほうがうるおって、調子がいい気がする。
私はどうしてもオフする回数が他の人よりも多いので、リムーバーにこだわっている。
知人からプレゼントしていただいてから、何本も買い足して使っているのが、〈OSAJI〉の「コンフォータブル ネイルリムーバー」だ。
スルスルとネイルが落ちるだけでなく、アセトンフリーなので爪表面のうるおいを守ってくれる。
何よりもネイルリムーバー特有の、頭が痛くなるようなツーンとした匂いがしない。調べてみると、チョウジ、セージ、柚子などをブレンドした香りなのだそう。

私は色々なブランドのネイルカラーを持っているが、その中でも〈OSAJI〉のネイルカラーがとても好きで集めている。
爪の乾燥を防ぎ、圧迫を感じさせない使い心地はもちろんだが、ネイルカラーひとつひとつにつけられた美しい名前も魅力のひとつだ。
「それから」「文通」「わかれ道」など、情景が浮かぶような名前たち。
色合いも絶妙で、ひとことで言い表すことができない分、その揺らぎや繊細な質感が、まるで私だけの“とっておき”のように感じられる。
〈OSAJI〉のネイルカラーと出会うまでは「ネイルカラーは均一に上手に塗らなきゃダメ」という固定概念が私の中にあった。
でも今では、ムラがあって自爪が透けているのも美しいと感じるし、気分に合わせて塗り重ね、色の濃淡を楽しむ喜びも手に入れた。
季節ごとに出る新色も毎回チェックしているが、特にホリデーコレクションは様々なクリエーターとコラボしたスペシャルパッケージなので、毎年ちょこちょこ集め、眺めてはうっとりしている。