鮮度の良いコーヒーは格別の味わい。自家焙煎も喫茶店の魅力。 LEARN 2023.05.25

豆の香りや味わいをコントロールして焼き、至高の一杯を追求するマスターたち。
焙煎士のいる喫茶店に行けば、フレッシュで鮮烈なコーヒーに出会えます。

五感を研ぎ澄ませて焼く、 旨みを引き出す職人技。

コーヒーは農産物。育てる人や加工する人を通して、喫茶店にやってくる。「コーヒー豆は生鮮食品同様にフレッシュであることが大切。すぐに飲み切ってほしいから、まとめて購入するのではなく少量ずつ買うのをおすすめしています」とは、東京の喫茶店では重鎮的存在の〈カフェ・バッハ〉田口康一さん。ならば、自家焙煎の喫茶店へ最良の一杯を飲みに行きたい。選ぶ豆や焼き方に、各店の個性が表れる店を訪れた。
〈カフェ・バッハ〉で使うのは、岡山の鉄工所と共同で開発した焙煎機。これは、釜の断熱カバーが二重構造になっていることで、外気温に影響されることなく安定した焙煎が可能に。「この焙煎機は、安定した火力と、焙煎中に出てくる煙をうまく外に出す排気の性能に優れており、年間を通じて安定した焙煎が可能になりました」(田口さん)。雑味の元となる欠点豆も機械と人の目のダブルチェックで取り除き、純度の高い味を目指しているそう。

一方、〈百塔珈琲〉は豆選びに特徴がある。エチオピアの標高2300mにある農園など高地で栽培された豆を好んで取り寄せている。「高地で育ったコーヒー豆は肉厚で硬いので焼くのは大変なのですが、水分を抜き均一に焼けばクリーンな味に。だから深煎りも浅煎りもおいしく焼けて、同じ豆で違う煎り方をしたものも販売しています」と、店主の李容氾さん。

飲んでみると、焙煎のこだわりがよくわかる。自宅に取り寄せて、コーヒー道を深めたい。

カフェ・バッハ [ 南千住 ]

レジェンドの目利きを受け継ぐ雑味を出さないロースト。

店主・田口護さんはコーヒー作りの理論を構築し、長く業界を牽引する人物だ。20年ほど前に焙煎機を開発し、雑味のないクリアな味を追求してきた。写真は総店長の田口康一さん。後継も多く育っている。

百塔珈琲 [ 駒込 ]

豆の水分が抜けた香りを頼りに芯まで均一に焼き上げる。

世界を旅してコーヒー文化に魅せられた李容氾さんは、日本に帰国すると海外では少なくなった直火式焙煎に着目。カフェ利用は姉妹店の〈Shimofuri〉へ。

photo : Kenya Abe text : Kahoko Nishimura

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