機能がデザインされた気の利く相棒。 スタイリスト木村真紀による「ソロソロ、イイモノ。」Theme #4/ワンデイトリップバッグ

LEARN 2022.08.01

似合うものは決まってきたし、あふれるほど欲しいわけじゃない。心地がいい、具合がいい、気分がいい、品がいい。いろんな意味でバランスの「イイモノ」に、少しの特別を添えて。

一日の終わり。欠かせない自分へのご褒美がワインでの晩酌。今日も一日頑張ったなあと体に染み渡るそのおいしさは、パリ時代に日常的にワインを楽しむことを覚えてから続く口福な日課です。ワインと出会わせてくれたパリは、ファッションや写真、アートが生活の中に息づき、身近に感じさせてくれる街でもありました。気になる展示会をリスト化しては美術館やギャラリーに足を運び、「え、これも見られちゃうの?」と毎回素直に驚けるほど、本物を愛でられる環境に感謝する日々。中でも、ブールデル美術館で開催された〈バレンシアガ〉の黒いドレスだけで構成された企画展の美しさは今でも鮮明に覚えています。

日常的に大規模なファッション展や美術展が開催されているのはパリ以外の都市も同様で、〈マルタン・マルジェラ〉が手がけていた頃の〈エルメス〉の作品展を見にアントワープへ、デイビッド・ホックニーの回顧展を見にロンドンへ、と日帰りや1泊で気軽に旅へ出られたのもパリに住む特権でした。そこで必要だったのが短い旅用のバッグ。ヨーロッパの道は石畳が多いのとスリなどの危険性があったのでスーツケースよりは大きめのバッグ派だったのですが、探し出すとなかなかこれといったものに出会えず。容量を満たす“とりあえずバッグ”で過ごす間、見た目が好き以外に必要な条件を考えてみたところ、ちょっと気の利いた機能性が欲しいという結論に。ビジネスマンの出張バッグのように何個もポケットがあるものではなく、もう少し色気のある機能性を求めていたら出会えたのが、編み上げたチェーンストラップをストッパーにした〈サガン ヴィエンナ〉やガーメントケースにもなる〈ウェル〉のトートバッグ。非日常的なアイテムだからこそ垣間見えるこだわりか、とりあえずかの分かれ道。前者になれるワンデイトリップバッグのキーワードは気の利いた機能性です。

ガーメントケースになる洋服好き必見の大容量バッグ。

W63×H38×D14㎝ 31,900円(ウェル|エスメラルダ・サービスド・デパートメント https://www.esdepartment.com/)※価格は2022年8月時点のものです。
W63×H38×D14㎝ 31,900円(ウェル|エスメラルダ・サービスド・デパートメント https://www.esdepartment.com/)※価格は2022年8月時点のものです。

ハンドルを持ち上げるとAの形になることから「A-bag」と命名されたトートはランドリーバッグがモチーフ。間口がとても広いため洋服も楽々収納できる上、中央のホールからハンガーをのぞかせてガーメントケースとしても使えます。写真のレッド、チャコール、ナチュラル、ベージュの4色展開。

洒落たチェーンストラップは留め具としても大活躍。

W62×H38×D26㎝ 61,600円(サガン ヴィエンナ|エドストローム オフィス 03-6427-5901)※価格は2022年8月時点のものです。
W62×H38×D26㎝ 61,600円(サガン ヴィエンナ|エドストローム オフィス 03-6427-5901)※価格は2022年8月時点のものです。

「Familiar done differently」(よく知られたものを違う見せ方で)をコンセプトに掲げるウィーン発のブランドが手がけるトートは、手編みのチェーンストラップを留め具としてデザインした優れもの。デッドストックナイロンを使った生地は軽さも魅力。写真のベージュ、ブラック、オリーブグリーンの3色展開。

photo : Arata Suzuki (go relax E more) styling & text : Maki Kimura

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