娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 蒲田の名店〈鳥からあげ うえ山〉と合う日本酒いろいろ~『伊藤家の晩酌』第三十七夜〜
20歳の頃から唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?第三十七夜は、伊藤家を飛び出し、お店へ訪問!日本酒好きな店主とともに、おいしいからあげに合う日本酒を探ります!
からあげにレモンをかけるうような感覚で飲みたい「月山 イノベーション 2022 白麹四段」
ひいな「まずはお持ちした『月山』からご紹介しますね」
テツヤ「このお酒、飲んだことありますか?」
一江「ないですね」
ひいな「月山(がっさん)と読みます。島根のお酒です」
テツヤ「月山といえば、山形のイメージだったけど、島根なんだね」
一江「えぇ、そうですよね」
悟江「ラベルのイラスト、地図ですかね?」
テツヤ「そうだね、地図だね」
悟江「おしゃれ!」
ひいな「このお酒、乾杯から素揚げまで幅広くいけるお酒だと思います。でも少し心配だな…。実は、かなり奇をてらったお酒かもしれなくて。お母さんのお好みに合うかどうか…」
テツヤ「まぁまぁ、まずは飲んでみようよ。合うかどうかは飲んでみないとわからないからさ」
一江「そうそう、飲んでみないとわからないですから」
テツヤ「これは乾杯酒?」
ひいな「乾杯もそうだし、素揚げを想定して選んだお酒かな」
悟江「素揚げに合うお酒ということは、すっきりしてるんですか?」
ひいな「今回、お酒を選ぶにあたって考えたのは、よくある話なんですけど、“揚げ物にレモン”的な酸味系、あとは一緒に同調してうまみがさらに上がる系の2本を選んでみました」
テツヤ「じゃ、乾杯しようか。この度はほんとうにありがとうございます」
一同「乾杯!」
テツヤ「うん?ワイン?日本酒っぽくないね」
悟江「すごく飲みやすい!口当たりがやわらかいですね」
テツヤ「これは、素揚げに合うでしょう」
ひいな「でしょ?」
一江「あぁおいしい。麹の香りがすごく効いて」
ひいな「おっしゃるとおり、このお酒、白麹を使っていて」
一江「発酵感があるというか」
悟江「いい匂い!」
テツヤ「無理しなくてもいいですよ、正直な感想を言ってくださいね(笑)」
一江「本当においしいです」
ひいな「度数は13度になります」
一江「飲みやすいですねぇ」
ひいな「いいですよね。酸味もあって、レモンというかパイナップルというか」
悟江「うんうん」
一江「華やかな日本酒より、こういうしっかりしてるほうが好きです。華やかなのは1〜2杯でもういいかなって飽きちゃう」
ひいな「クラシックで造りがしっかりしてるお酒だからこそ、こうやって白麹で四段仕込みっていう遊び要素を入れても安定したお酒になるんだと思います」
テツヤ「これはね、素揚げに合うよ、絶対」
一江「もしかしたら、炭酸で割ったらおいしそう」
テツヤ「あぁ、いいですね。もっと冷やしてもいいかもな」
ひいな「やってみましょう!」
一江「炭酸で割ったらもったいないかもしれないですけど、きっと油ものに合う感じになりますよね」
テツヤ「ロックで飲んだり炭酸で割ったりしても、日本酒がもっとおいしくなるんだったら、ぜんぜんいいと思うんですよ」
ひいな「日本酒は普段、飲まれますか?」
一江「飲みます」
テツヤ「家で飲むんですか?」
一江「家でも店でも。夏でも熱燗をお願いしたりして」
テツヤ「あぁ、それはもう、呑兵衛ですねぇ」
一江「ははは(笑)」
悟江「あるお店では、母のために熱燗用のお酒を入れてくれてるんです。他の人は飲まないのに」
テツヤ「いいねぇ」
悟江「私は暑いから飲まないんですけど(笑)」
一江「娘のほうがお酒強いんです」
悟江「そんなことないです(笑)」
テツヤ「いやいや、お2人とも強そうです(笑)」
切り方、揚げ方に一工夫。シンプルなだけに違いがわかる素揚げの深い世界…!
テツヤ「そろそろ料理をお願いしてもよろしいでしょうか?」
ひいな「お願いいたします!」
悟江「首から揚げていきますね!」
テツヤ「最高です!」
一江「首はね、せせりです」
ひいな「せせり?」
悟江「首のお肉なんですけど、骨も叩いてあるのでまるごと召し上がっていただけます。カルシウムです!」
ひいな「うわぁ〜おいしそう!」
テツヤ&ひいな「いただきます!」
ひいな「お、手でいった!」
テツヤ「俺ね、揚げ物は手で食べる派なのよ」
ひいな「このカリカリのところが骨なんですね!おいしい!まるごと!」
テツヤ「うまい!これは合う。日本酒と」
ひいな「すごく合うね」
テツヤ「からあげじゃなくて素揚げっていうのがいいですよね」
ひいな「揚げ物と合わせると言っても、衣があるのと素揚げとだと違うなと思って」
テツヤ「絶対違うよね。炭酸ください!炭酸割りやってみたい」
悟江「わ!これは飲みやすい!ジュースみたい(笑)」
一江「揚げ物にぴったりじゃないですか」
テツヤ「日本酒の可能性が広がりますね」
一江「そうですね」
悟江「日本酒が苦手な人でもこれなら絶対飲めますね」
テツヤ「これうまいぞ〜!」
ひいな「炭酸割りのほうが、より素揚げに合う気がします」
テツヤ「炭酸割り、めちゃくちゃうまい。そして素揚げに合う!」
ひいな「家の晩酌ではできない、おいしい素揚げとの最高の組み合わせだね」
テツヤ「そりゃそうだよ!これ今度、ほかの日本酒でも炭酸割りって頼めたりしますかね?」
悟江「いいですね」
一江「『南部美人』は炭酸割りが合うかもしれない」
ひいな「『南部美人』も合うんですね!」
テツヤ「ぜひ、いただきたいですね!」
一江「甘い感じでとろりとしているので」
ひいな「うんうん、コクのあるイメージです」
一江「『雪の茅舎』はシャンパンみたいな感じになりますよ」
ひいな「わぁ、おいしそう」
テツヤ「マジですか?いろいろ教えてください!」
ひいな「教えてください!素敵です!」
一江「いえいえ」
テツヤ「『南部美人』ってこんな感じなんだね。ちょっと濃いめだね」
ひいな「『南部美人』も種類がたくさんあるんですよね」
一江「結構、賞も取ってるんですよ」
ひいな「『南部美人』の炭酸割りいただきます!」
テツヤ「吟醸の華やかさはありつつも」
ひいな「結構、まったりしてますね」
一江「うちでは、一番甘くてまろやかな感じですね」
テツヤ「こんなの素揚げと絶対合うよ。」
ひいな「『月山』とは違う感じの炭酸割りができるね」
テツヤ「そうだな。これはトロピカルな水です!今、お母さんたちとみんなでリゾートのプールに寝そべってる感じ」
ひいな「妄想が広がるねぇ(笑)」
一江「浮き輪しなきゃ(笑)」
テツヤ「メニュー表に『炭酸割りもできます』って書いておいたほうがいいんじゃないですかね?それくらい合うよね。このノリで、次の一品もお願いします!」
悟江「じゃ、次にいきますね!」
テツヤ「素揚げと日本酒って合うな。ワインより合うんじゃないですかね?」
一江「いや、ワインもなかなか合いますよ」
テツヤ「ですよね(笑)」
テツヤ「ここではナチュールが飲めるからいいんだよねぇ。もうさ、この揚げてる音と香りで飲めるもんな」
一江「ほんとうに、お酒、お好きなんですねぇ(笑)」