BARをもっと、カジュアルに。 銀座〈Magdalena〉のバーテンダー・高橋 司さん〜児島麻理子の「TOKYO、会いに行きたいバーテンダー」〜
お酒業界での広報歴12年!児島麻理子が、実力派のバーテンダーをご紹介します。第47回目の登場は、銀座〈Magdalena〉の高橋 司さん。ある音楽家に縁あるクラシック音楽が流れるバー&ラウンジで、シェイカーの音を響かせています。
〈マグダレーナ〉の店名、クラシックときて、ピンと来た方はきっと音楽通。ヒントはメニューにも続きます。カクテル名が「B…」「A…」「C…」「H…」。そう、ここは”音楽の父”ヨハン・ゼバスティアン・バッハをテーマとしたバー&ラウンジです。終始バッハが流れる優雅な空間で、心地良くカクテルを作っているのが、本日のバーテンダーの高橋 司さんです。
「趣味が格闘技と言っているので、意外と思われるかもですが、実はクラシックが好きなんです。オペラも聴きにいったりします。以前働いていた新宿のお店もピアノが置かれているようなバーだったんですよ」。
その想いはカクテルにも反映されています。BACHの頭文字から成るカクテルは言葉遊びもありますが、例えばCはコーヒー好きで『コーヒー・カンタータ』という曲まで作ったバッハにちなんだコーヒーカクテル。最愛の妻マグダレーナにかけて、同じく恋人のために作ったと言われるマルガリータをツイストしたカクテルもあったりと、バッハに想いを寄せて、随所にストーリーを含ませています。
「バッハは11男9女の20人をもうけ、子沢山で家庭想いだったと言われています。バッハが家族を愛したように、家族のようにお客様をもてなしましょう、というのがホテルのポリシーです。ホテルバーは目的を持って飲みにいくというより、待ち合わせだったり、ふらっときて時間を過ごすような方が多いですが、そうしたお客さんを引き込んで、このバーテンダーが面白かったからまた泊まろう、と帰ってきてもらえる場所になったらいいなと思います」。
家族という気持ちがあるからこそでてくるのがホテルの「ウェルネス」というキーワード。ノンアルコールやローアルコールのカクテルも多く揃い、常勤のウェルネスフード・コンシェルジュとともにウェルネスカクテルにも取り組みます。
そんな高橋さんの最近のもう一つの情熱は、地産地消の取り組みとして行う銀座での焼酎づくりです。
「実はいま、屋上で芋を育てているんです。銀座の屋上で蜂蜜を作っている『銀座ミツバチプロジェクト』の一環で、うちを含め、銀座の約30ヶ所の屋上で芋を育てていて、それがこの秋に焼酎になるんですよ。秋の味覚とどう合わせようか、焼酎の香味成分を試してからになりますが、いまから楽しみです」。
銀座で作った焼酎を使うことは、ストーリー性にこだわる高橋さんの新たな武器になりそうです。ちなみに、格闘技を愛する高橋さんに重なるのが、案外どころか相当にアクティブだったといわれるバッハ。あるコンサートを聞くために片道450km(3日以上)を往復したともいわれる逸話も残っています。筋トレで鍛えられた腕でシェーカーを振る高橋さんを、バッハは頼もしく見守っているかもしれません。