自分の“理想の家”を実現。 フルリノベ物件を拝見!「料理したり、仕事もできる、キッチン主役の家」
マンション選びに始まって打ち合わせから完成まで、自分の“理想の家”を実現させるのが、フルリノベーション。フルリノベ部屋に住むハナコラボ パートナーの実例を紹介。今回は、フードデザイナー・Ai Horikawaさんのお家を見せていただきました。
【DATA】
・総工費:約1000万円
・広さ:40 m2
・人数:1人暮らし
・築年数:41年
・所在地:東京23区 駅徒歩7分
・居住歴:8カ月
SNSでスイーツの写真やレシピを公開しているAi Horikawaさん。調理からスタイリング、撮影まで一人でこなすためのキッチンスタジオを兼ねた自宅を作ろうと、中古マンションの一室を購入。フルリノベーションすることで、キッチンが主役の理想の住空間を実現した。
飲食店やカフェが立ち並ぶ大通り沿いの築41年のマンション。Aiさんのお宅の玄関扉を開くと、真っ白な空間と大きなアイランド型キッチンが目に飛び込んできた。「もともとは廊下を挟んだ二間とキッチンで構成された古い家だったのですが、仕切り壁も天井もすべて取り払って一度スケルトン状態にして改装しました。住まいとしてだけでなく、仕事としての料理や撮影ができるキッチンスタジオであること、そして時々は友人を招き、対面で会話しながら料理を作れる空間が欲しかったので、その理想を叶えるフルリノベが可能であることを第一条件に物件を探しました」
そしてもうひとつ、和田さんが絶対条件にしたのが、1981(昭和56)年以降に建設されたマンションであること。建築基準法の耐震基準が切り替わった年だ。「高知県出身なので、子どもの頃から南海トラフ地震に備えた防災教育を受けてきました。新耐震基準で造られていること全体空間のうち約25 m2 を真っ白い壁で囲み、中央に大きなアイランド型キッチンを据えて、こちらが表向きのスペース。ベッドルームやバスルームなど生活感が出る場所は壁の裏側にコンパクトに集めた。
「内装設計を依頼した〈HYBE design team〉には“白いお部屋”というリクエストをしていたのですが、ただ真っ白くするのではなく、白ペンキで塗ったラインと立て込んだ白壁の上のラインを一直線に揃え、その上はコンクリート打ちっぱなしの梁と天井を見せるデザインにしてくれました。部屋の中にさらに箱があるようなイメージになり、『彩られるための器』に見立てられています」
アイランド型キッチンにはシンクと2口コンロ、その下に食洗機が備え付けられている。パソコン仕事のためのデスクにもなる広い天板の上には極力ものを置かず、調理器具や調味料、食器は天板の下か収納棚に収められている。余計なものを見せないすっきりとした空間だ。「全体をマットな白で統一し、要所に黒を効かすように心がけました。ステンレスや鉄だとハードでインダストリアルな印象になりすぎてしまうので、換気扇も自分で白いものを探して取り付けてもらいました」
ほかにも、収納扉には取っ手やつまみを付けずにフラットな面を保持したり、ドアには枠や戸当たりを付けず、隠し蝶番(ちょうつがい)にしてあたかも一枚板のように見せたり。ライティングレールは既製品のサイズでは天井の端から端まで貫けないので特注サイズをオーダーしたりと、細部まで徹底したこだわりが行き届いている。「その分、このフロア面積にしては高めのリフォーム代になってしまいましたが、住居とオフィスを兼ねる分、過ごす時間も長くなるのでとことんこだわりました」
旧耐震建築で自主管理、さらに20代という年齢もあって銀行ローンを組むのがやや難航したものの、なんとか物件購入の資金面は解決。ライフスタイルに合わせて住み替えする予定なので、売却することも視野に入れてのフルリノベーションだという。「不動産や金融の知識は全くのゼロでしたが、不動産に詳しい友人が書いたnoteや書籍、YouTubeなどでコツコツ勉強しました。インテリアが好きだからこそやり遂げられたと思います」いつか分からぬ遠い未来のために不本意な住まいで我慢し続けるよりも、人生設計を考えつつさっさと一歩踏み出して自分の「好き」を実現する。現在進行形の理想の人生をリノベーションで叶えた一例だ。
Profile…フードデザイナー・Ai Horikawa(ほりかわ・あい)
1993年東京生まれ。SNSで発信する自作のスイーツとレシピ、お洒落なスタイリングが話題を呼び、企業のメニュー開発なども手がける。