花井悠希の朝パン日誌 欲を言えば並ばずして巡りたい!パンラヴァーがすすめる神戸の人気パン屋5選
神戸と聞くと血が騒ぐのはパン好きの証?喜びと共に使命感をメラメラさせながら上陸しましたよ、パンの街・神戸。今回は〈PANORMO〉の展示会で行ってきたので、合間に並ばずしておいしいパンが買えるというのも大切なセレクションポイント。2泊3日の仕事の合間に駆け足で巡ってきたとっておきのパン屋さん5軒をお送りします。順を追って臨場感たっぷりにお届けするので、お付き合いくだいませ!
2.港町に漂う焼菓子の香りに誘われて…〈GROOVY BAKERS〉
ふんわふんわ。キャロットケーキのイメージからして土台のケーキはどっしりとしているかと思いきやエアリー。トップをたんまりと覆うクリームチーズで作られたフロスティングクリームも同じくふわふわで、ここまで軽やかなキャロットケーキはめずらしいような。にんじんが線切り状で大ぶりで入っているのも新鮮です。とはいえキャロットケーキの醍醐味のスパイスやナッツはたっぷり。胡桃にレーズン、シナモン、グローブ、ナツメグなどしっかり存在しているのに、生地の柔らかなふわふわさは損なわないのだからえらいぞ(←何様)!
こちらは翌日の朝食に。一口食べてビックリ。とっても軽いです。細やかな空気をたくさん含んだふわっとした生地に、トップに塗された砂糖がしゅんと溶けて仲間に加わります。そこにサンドされたバタークリームが滑らかにふにゃんと溶けると刺激的なラムの香りが露わに。危うくそれにグラつきそうになると、クリームに混ぜられたカシューナッツのコリコリ食感がリズミカルに鼓舞してきて、異なる食感・風味で最後まで楽しませてくれました。ありがとう、今日も頑張ってくるよ!
3.サクッと食べもしっかりランチも…〈コムシノワ〉
シェアサイクルを走らせて向かったのは〈コムシノワ〉さん。三宮エリアに位置しランチなどが出来るイートインスペースもあるパン屋さん。ショーケースにはサンドイッチから焼き菓子、生ケーキまで並び懐の深さを感じます。
こちらでは「シチリア風明太子ディップのピッコロ」をイートイン。明太フランス?いえいえ、そんな一言では片付けられる子じゃありません。明太子フランスといったらなプチプチとした明太子の粒や風味を軸に、酢漬けのケッパーのシャキッとした食感や酸味なども見え隠れして、ついついその姿を追いかけたくなってしまいます。ケッパーがシチリア風を表しているのでしょうか?それともこの追いかけたくなる気持ちこそがそれなのでしょうか(どういうこと?)。
ガリっとエッジが効いたクラストは、膨らんだりくびれたりと緩急のついたシェイプによって、クラムにフワッと感がある部分とぎゅっと締まった部分と両方のコントラストが際立っています。普通の明太子フランスよりもずっと爽やかに感じるこの子。あ、この爽やかさこそシチリア風なのかも?
むむ(●平慈英さん風に)!?なんだかこのクロワッサン、一味違う!一つ一つの層が厚めですごくクリスピーに焼かれておりカリッカリ。同時にすごくジューシーでもあるんです。バターの香り立ちが凄くて口の中はバターでじゅるじゅる(※褒めてます)。ジューシーなのは内側部分かと思ったら、なんと外のバリンバリンにクリスピーなところだけ齧ってみても滲み出るバターの脂質とコク。要はこの子、こんなにカリカリな姿をしてるけどバター爆弾なんです。カロリーなんて言葉は金輪際、忘れてください。身のためです(←怖)。
そして、カソナードというサトウキビ糖が底に塗られているのも特徴の一つ。上は甘さがなくバターの味が強いのに、底の方から甘さが昇ってきて、全体を支配するバターの風味と一緒になればお菓子のような充足感に満たされます。見た目はハンサムな正統派なのに、いい意味で裏切りのあるクロワッサン。