花井悠希の朝パン日誌 欲を言えば並ばずして巡りたい!パンラヴァーがすすめる神戸の人気パン屋5選
神戸と聞くと血が騒ぐのはパン好きの証?喜びと共に使命感をメラメラさせながら上陸しましたよ、パンの街・神戸。今回は〈PANORMO〉の展示会で行ってきたので、合間に並ばずしておいしいパンが買えるというのも大切なセレクションポイント。2泊3日の仕事の合間に駆け足で巡ってきたとっておきのパン屋さん5軒をお送りします。順を追って臨場感たっぷりにお届けするので、お付き合いくだいませ!
1.ここだけの組み合わせを求めて…〈Pane Ho Maretta〉
朝6時の新幹線に乗り、神戸に着いたその足でまず向かったのは〈Pane Ho Maretta〉。やはりパン屋さんは朝に限る!ぎっしりと色とりどりのパンが並ぶ光景は、圧倒されるほどエネルギーに満ち溢れています。こちらでしかお目にかかれなさそうなお惣菜パンやスイーツパンがたくさんあり、ここからここまで全部くださいとうっかり言ってしまいそう(夢!)。とはいえまだ1店目。店員さんに相談しながらどうにか絞り込みました。
おいしいよ、やはり焼きたては。カリッとエッジがたった表面を軽やかに抜けると、中のバゲットの生地はもちっとしながら小麦の香ばしい香りをぷんぷんと跳ねさせます。このパン生地だけでもおいしいのに、そこにけしからん仕掛けがたくさんあるのだからさぁ大変!ぱかっと2つに分けられた真ん中には、ジューシーに焼かれ焦げ目をつけられたチキンがどーんと鎮座しております。このジューシーさは罪。ぷりっぷりと柔らかな肉質からほとばしる肉汁がグリルチキンからじゅるりと流れ出れば、とろとろのベシャメルソースが真っ先に受け止めて離しません。
チキンと添えられたねぎレモンは言わずもがな相性抜群だし、ベシャメルソースとゴルゴンゾーラだって乳製品同士で合わないわけがないし、それぞれにパンはもちろん合う。一見するとねぎダレとゴルゴンゾーラの関係性はすごく遠そうなのに、パンやチキン、ベシャメルソースが仲介するとこんなにグッと距離が縮まるのだから不思議です。何事も、誰と組むかがどれほど命運を左右する大切なことなのかわかります(どうした)。
ねぎレモンチキンだと和のサンドなのに、ゴルゴンゾーラが入ることによって別世界へ連れて行ってくれるんだよなぁ。別世界ってどこ?なんて野暮な質問は受け付けませんのであしからず(笑)。
ジャンボンブールといえば、ハムとバターのシンプルなバゲットサンドイッチ。こちらは小ぶりなバゲットに、生ハム、そこに普通のバターではなくいちじくバターがインしております。しっかりとしたハードなバゲット生地をぎゅんと歯で噛みちぎる度、すかさず絡みつく生ハムの旨味といちじくバターの甘み。赤ワインで煮込まれたいちじくはプチプチと軽快に弾けふくよかな甘みを届けます。生ハムはというと体温で溶ける薄さで、舌の上でしゅわっと塩気と脂が滲み出てきてうっとり。これがいちじくバターの果実味と一緒になると、グッと夜のムードを漂わせます。あとはワインバーで出てくるチーズの盛り合わせの画を頭で合成させれば、休憩時間も夜のワイン片手のリラックスタイムへと早変わり。それがいいかどうかは個人の判断にお任せします(※仕事の合間)。
パンオショコラみたいな見た目の中から、トップバッターで現れるのはチョコレート。トップで待っているフレッシュバナナを目指して突き進むぞ!と思ったら先に出てきたのはカスタードクリーム。みんな大好きなチョコレートバナナに加えてカスタードクリームまで出てくるなんて、ここはアミューズメントパークか何かなの(大袈裟)?全体をぐるりと包み焼かれたアーモンドクリームはメロンパンのようにサクリ。端の部分はさっくりを通り越してザクザクです。
食べ進めていくと、内側のクリームの隙間から輪切りの追いバナナがひょっこり。中盤になってまだハッピーなサプライズも残しているなんて、やっぱりアミューズパークか何かなの(2回目)?