BARをもっと、カジュアルに。 代々木公園〈FUGLEN TOKYO〉のバーテンダー・荻原 聖司さん〜児島麻理子の「TOKYO、会いに行きたいバーテンダー」〜
お酒業界での広報歴12年!児島麻理子が、実力派のバーテンダーをご紹介します。第41回目の登場は、代々木公園〈FUGLEN TOKYO(フグレントウキョウ)〉の荻原 聖司さん。バリスタ出身の萩原さんが提供する、あるカクテルが人気になっています。
代々木公園のすぐそばにあるひときわ賑やかな一角。北欧のヴィンテージデザインで統一された〈FUGLEN TOKYO〉をコーヒースタンドとして覚えている方も多いのでは?
「ノルウェー・オスロの本店では、実はカクテルの方がよく出てるんですよ。外にも人が溢れて、カジュアルにお酒を楽しんでる雰囲気がとても居心地いいんです」。
そう語るのは、オスロでの研修経験もあるストアマネージャーの荻原さん。バリスタとして渋谷で働いていたころ、お客さんとしてフグレンに来たことが、バー業界に扉を開くきっかけとなりました。
「初めてフグレンに来た時は、照明も暗いし、世代も高めで大人の雰囲気で。その当時は飲み慣れていなかったのに強いのを頼んでしまって、うわっと思いながらも、非日常を楽しんでいる自分がいましたね」。
お店の理想とする味を届けるバリスタに対して、お客様が求める味を探し当てるようなバーテンダーは似て非なる仕事。フグレンに入り、バーテンダーとしてのキャリアを始めてからは、荻原さんはその両方を器用に行き来しています。
「お客様とセッションするようなバーテンダーの仕事はとても面白いなと思っています。バリスタ出身だからできるバーテンダーの仕事もあるなと思っていて、この数年でメニューも変えてきたんです。外国人のお客様に向けたカクテルから、シーズナルのもの、初めての方にも飲みやすいものまで広く揃えています」。
そうした働きかけもあり、海外からのゲストが多いフグレンに最近増えているのが、若いゲストがカクテルを飲んでいる姿。コーヒーのマグカップから持ち替えて、さまざまなカクテルを手にして店内のヴィンテージソファーや椅子に腰掛けて楽しんでいたり、ある人は犬とともにテラスでホットカクテルを飲んでいたりと、その姿はオスロの本店を思わせます。変化を起こしたきっかけのひとつは、取り組みを強化し始めたコーヒーカクテルです。
「コーヒーカクテルって1杯で2つ楽しめると思っているんです。コーヒーとお酒、リラックスと刺激、甘さと苦さ、みたいに。僕の場合はエスプレッソの機械を扱えるので、豆や抽出も日々変えていて、その日の気候に合わせたり、よりお客様に沿ったコーヒーカクテルを提供できるんです。コーヒーを飲みにきた方にも、カクテルの提案をしていくことで、お酒を好きになってもらう入り口が作れたらいいなと思っているんですよね」。
1番人気は、フグレンの浅煎りのコーヒーを使った軽やかで、果実味が効いた「エスプレッソマティーニ」。オレンジピールを大ぶりにスライスしたりと、色がひとつになりがちなコーヒーを華やかに演出します。コーヒーファンをカクテルファンに鮮やかにひっくり返している荻原さんのカクテルにこれからも期待!