娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 『伊藤家の晩酌』~第十夜1本目/するする飲めておいしさ際立つ「二兎 純米吟醸 雄町55」~
弱冠22歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 第十夜は、2月に二十歳を迎え、お酒解禁となった妹・ひびきへ、オススメの日本酒を3本ご紹介。まずは、「おいしい!」が連発した飲みやすい1本から。
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)
第十夜1本目は、飲みやすさ抜群で誰もが好きになる「二兎 純米吟醸 雄町55」から。
姉・ひいな(以下、ひいな)「今回は愛知県岡崎市の『二兎』です!」
父・徹也(以下、テツヤ)「いい名前だね」
ひいな「“二兎追うものしか二兎を得ず”なんだって」
テツヤ「確かに。確かにね。欲張りに行けってことだな。追わなかったら一兎のままだからね」
ひいな「あぁ、おいしい」
テツヤ「こりゃ、いいや。1本目に飲むにはこれいいね」
ひいな「でしょ?」
テツヤ「純米吟醸ですか?」
ひいな「純米吟醸です! 正解! よくわかったね!」
テツヤ「それぐらいわかりますよ〜」
……
ひいな「あれ?」
テツヤ「頭だけ出てきたぞ」
おだんご頭がかわいい、妹・ひびきが初登場!
ひいな「飲みたくなっちゃったの?」
テツヤ「来ちゃったの?」
ひびき「うん。もう20歳になったから」
ひいな「ひびき、成人おめでとう!」
テツヤ「20歳の誕生日を迎えたばっかりのひびきです!」
ひびき「ひいなの妹のひびきです! よろしくお願いします!」
ひいな「今日は、日本酒デビューだね!」
テツヤ「緊張してる?」
ひびき「え? 緊張するものなの?」
テツヤ「しないか(笑)。家だしな」
ひいな「日本酒を初めて飲むひびきに、飲ませたい3本を選びました!父からひびきへ注いであげてよ」
テツヤ「なんか、結婚式の予行演習みたいだな(笑)。じゃ、ひびきにも注いでもらおうかな〜」
ひびき「はい、どうぞ〜」
テツヤ「ありがとう〜。大きくなったの〜」
テツヤ&ひいな「ひびき、20歳おめでとう!」
ひびき「ありがとう〜!」
ひいな「ひびきの反応が気になる!」
ひびき「そんなに見ないで!」
ひいな「どう?」
テツヤ「どう?」
ひびき「…お酒じゃないみたい」
ひいな「おぉ、なるほど」
ひびき「水に味がついてるみたい」
ひいな「新しい表現だね」
ひびき「甘くてデザートみたい」
ひいな「うんうん、おいしいよね。この『二兎』ってお酒はね、20歳の時に知ってたんだけど、その時はなかなか手に入らなくて飲めなかったの。取り扱ってる店舗がなかったり、貴重だから飲食店にもあんまり置かれてなくて。そしたらひびきに飲ませたいお酒を考えてた時にちょうど『二兎』に巡り会えて。20歳で『二兎』が飲めるなんて贅沢だなと思って選んでみたよ」
テツヤ「日本酒デビューのお酒が『二兎』だなんて、贅沢なんだな」
ひいな「私が最初に飲んだお酒は『仙禽』だったんだけど、『二兎』っていういいお酒からスタートできるのも、なかなかうらやましいなと思って。姉から妹へ、愛情を込めて選びました!」
ひびき「ありがとう♡」
ひいな「最初の印象ってすごく大事だから。いろいろ迷ったんだけど、純米大吟醸なんだけど、雄町を使ってるからちゃんと米感もある感じのお酒にしてみたよ」
テツヤ「ひびき、聞いてる? 大丈夫?」
ひびき「聞いてたよ(笑)」
テツヤ「ま、難しいことはいいとして。俺はさ、最初の印象が悪かったから、それをずっと引きずってたんだよな。日本酒は悪酔いするって。それで20年間も日本酒から遠ざかってたんだから。宴会で悪い酔いするたびに妻と喧嘩して。毎回絡んで…」
ひいな「聞きたくない〜」
ひびき「知りたくない〜」
テツヤ「そういう意味では、ひびきは幸せですよ! 20年以上飲めなかったんだもんな、こんなおいしいお酒」
ひいな「おいしいね」
ひびき「うん、おいしい」
「二兎 純米吟醸 雄町55」に合わせるおつまみは「菜の花の味噌マヨ和え」
ひいな「この『二兎』は二子玉川になる〈はせがわ酒店〉で買ったんだけど、朝10時から角打ちができるの。そこで朝から飲んでた時、この『二兎』とちりめん山椒と合わせた時にすごく合ってて。だから、ゆでた菜の花に、自家製の味噌とマヨネーズ、そこに山椒の粉末をまぜたもので和えてみたよ。さっき、ライターさんが持ってきてくれた実山椒の佃煮も上にのせちゃいました。(ライター注:津乃吉の「実山椒佃煮」はこちらでも紹介しています!)
テツヤ「ひびき、マリアージュしてみたら?」
ひびき「一緒に食べて飲むってこと?」
テツヤ「そう!」
ひびき「食べてから飲む? 飲んでから食べる?」
ひいな「どっちでも美味しいと思うんだけど、う〜ん、食べてから飲んでみようか」
ひびき「はい」
テツヤ「素直だな(笑)」
ひいな「おちょこを持って、一口食べて」
ひびき「なんか、味が変わった!」
ひいな「日本酒の?」
ひびき「うん、濃くなった」
テツヤ「ほんと? 俺もやってみよ。一緒に食べたの?」
ひびき「飲み込んでから、お酒を飲んでみたよ」
テツヤ「あぁ、うまいね。山椒の残り香とすごく合う!」
ひいな「山椒好きだからね」
テツヤ「もう、うなぎでいいんじゃないかって話したよね(笑)」
ひびき「おかわり!」
テツヤ「いいよ、いいよ」
ひいな「うれしいな」
テツヤ「それにしても、この味噌マヨ、うまいな」
ひいな「おいしいでしょ?バイト先で教えてもらったレシピなの」
テツヤ「このお酒、なんかほんのり苦味も感じるあるね」
ひいな「うん、少し苦味があるかも」
テツヤ「だから、菜の花の苦味とも合うのかも」
初めて日本酒を飲む妹に、酔わない飲み方をレクチャーする姉。だが…!?
ひいな「ひびきは家で日本酒飲まないじゃない?」
テツヤ「うん。成人したのにね。今日が初めてだもんな」
ひいな「外ではもう飲んでるらしいよ」
ひびき「だって飲もうって誘われたら飲むじゃん!」
ひいな「今回、ひびきに日本酒を3種類紹介するから『どんなお酒がいい?』って聞いたら、『私、炭酸が飲めないから微発泡じゃないやつで、純米吟醸か純米大吟醸がいい』て言われたの」
テツヤ「おまえ、めちゃくちゃ飲んでるんじゃん! そんなに飲んでるのか…?」
ひびき「そんなに飲んでないよ(笑)。誘われたらちょっと」
ひいな「彼氏が25歳だからな」
テツヤ「すごい好青年だもんな」
ひいな「父、母、ひびきと遠くにいるひびきの彼氏と4人でオンライン麻雀とかやってるぐらいだもんね」
テツヤ「そう(笑)。ひかるさんに負けるとくやしいんだよな」
ひびき「きっとここで飲みたいぐらいだと思うよ(笑)」
ひいな「日本酒ってどんなイメージあった?」
ひびき「う〜ん。ひいなが飲んでるイメージしかない。
ひいな「そっか(笑)」
テツヤ「あんなにおいしそうに飲んでるんだから、おいしんじゃないか?ってね」
ひびき「うん。きっとおいしいんだろうなって思ってたし、おいしいと思う」
ひいな「ありがとう。うれしいな。ひびきにもうひとつ教えてあげるね。お酒を飲む時は、お水と1対1で飲むこと。そうすると、次の日に大変なことにならないんだよ」
テツヤ「お酒を楽しむには必要な知恵だな。飲み方は大事」
ひいな「あと、体調が悪い時はほどほどにすること」
テツヤ「それがな〜、なかなかできないんだよな〜」
ひいな「これ、ダメな例ね(笑)。って、私もまだなかなかできないんだけどね」
ひびき「うん、わかった。気をつけるね」
→次回:3月15 日(日)更新予定
【ひいなのつぶやき】
「二兎」というバランスの整ったお酒を飲むと幸せを感じます。これからも家族で楽しみます!
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