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75年以上の老舗パン屋のカフェ。 全国の〈ペリカン〉ファンに大反響。パン好きが絶えず訪れる、浅草〈ペリカンカフェ〉のこだわりとは?
浅草の町に根付いて75年。老舗パン屋〈ペリカン〉が昨夏、同じ浅草、しかも2ブロック隣にカフェを作りました。 寿町とともに育ってきたパン屋のカフェだけに、町の人は大喜び。全国の〈ペリカン〉ファンにも大反響。どんなこだわりが詰まったカフェか、たっぷりご紹介します。
-1942-〈パンのペリカン〉創業
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老舗の〈パンのペリカン〉は、浅草で創業以来 75年以上愛され続けて今がある。毎朝、8時の開店に合わせてパンを買いに来る人が後を絶たない。ときには行列になることも。フランスやニューヨークから最先端のパン屋が来ようと、工夫を凝らした新しい味のパンを提供する店が次々できようと、〈ペリカン〉の日常は変わらない。ただ淡々と、食パンとロールパンの2種だけを作り続けているのだ。
毎日食べても飽きることがない。そして、食べるたびに「あ、これこれ」と思うパン。それが〈ペリカン〉のパンだ。新しいパンを作ろうなんて思ったこともない。パンブームでお客が増えても、いつも同じ量を同じクオリティで正確に作る。「おいしいね、やっぱりこれだ」と喜んでくれる方たちのために。〈ペリカン〉は、そんな素朴でひたすら誠実なパン屋なのだ。
-2017-〈ペリカンカフェ〉オープン
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そのパン屋が開くカフェ。期待は募る。店主・渡辺馨さん(ペリカン4代目の母)は、 「いつもペリカンのパンを買ってくださる方に、もっともっと親しんでいただきたいと思って。うちのパンの特徴を生かした食べ方をご提案したかったんです」と言う。 「ちょっと手間のかかるもの、家庭ではできにくいメニューを」と心を込めて。「浅草は、下町らしい大らかさもある町。許容範囲が広いから、型にはめず、遊び心があってもいいかなと。いろいろやってみたかったんです」と馨さん。そして昨年8月28日開店。のんびりスタートしたつもりが、2時間待ちはあたりまえの大盛況となった。
変わらない、がポリシー。
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料理はパンツェッタ貴久子さん。店主・馨さんの料理の師匠でもある。メニュー監修はもちろん、クリエイティブ・チームのメンバーを決めるなど、店主と店作り全般に関わった。浅草界隈の喫茶店でも〈ペリカン〉のパンは必需品。今や予約分だけで売り切れになってしまうこともあるほどの人気だ。カフェでは〈ペリカン〉の食パンを使ったメニューがなんと12種類。
シンプルで使い勝手のいい飽きのこないデザイン家具。
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店舗デザインを手がけたのは酒匂ー克之さん。「歴史あるペリカンの哲学は変えられないし、顧客のイメージを裏切るようなことはできない。でも、フレッシュな感覚は盛り込みたい。そこで、アノニマスな感じの店作りができたらなと」。
家具はさりげない、個性の強くないものに。店舗デザイン同様、上質だけど匿名性があるものを選んである。
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床にもご注目。ひと昔前によく使われていた高価なテラゾーに真鍮目地。
「 伝統ある老舗の仕事、本当に緊張しました 」
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ロゴデザインの北川正さんは、「緑のペリカンのロゴがあまりに浸透し、身が引き締まるスタートでした。プレゼンの際に、まったく何も変えないという選択肢もあるのでは、とお話ししたほどです。正直こわかった。でもパンのある温かく幸せな生活をイメージして作りました」 。
北川 正(きたがわ・ただし)/アートディレクター、グラフィックデザイナー、デザイン講師き企業~商品のデザインクリエイティブ支援、音楽家、美術作家、工芸家へのデザイン表現支援を中心に活動。児童向けのデザインワークショップも力を注ぐ。
浅草で手に入る、カフェの日用品。
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右手前のマグ「マルマグ(シロ)」2,400円(税込)は〈starnet tokyo〉のもの。その他は郡司庸久さん・慶子さんによる同店オリジナル。金網は〈飯田屋〉、バターナイフは〈田中漆器店〉で購入可。
心踊る愛らしいパンを、口に運ぶ喜び!
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食材に合わせて厚さと焼き加減を調整。
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開店したばかりだが、すでに「いい店」の風格が備わってきた。〈ペリカンカフェ〉は、新しい歴史を確かに刻み始めている。
(Hanako1144号P22〜25掲載/photo : Taro Hirano text : Michiko Watanabe, Wako Kaneshiro)