約1,000個のおにぎりが飛ぶように売れる! 大行列ができるおにぎり専門店〈丸豊〉

FOOD 2024.06.07

大行列をなし、整理券を配るほど大盛況の築地場外市場のおにぎり専門店〈丸豊〉。鮮魚店を営む社長がおにぎり専門店を作った理由、おいしさの秘密を紹介します。

築地〈丸豊〉の大判おにぎりの秘密

福々しい姿のおにぎりたち。どれもまだ温かい。鮭ハラス301円、煮たらこ275円、鮭とイクラが入った「親子」412円など具材は約40種。1日に1,000個近くが売れていく。
福々しい姿のおにぎりたち。どれもまだ温かい。鮭ハラス301円、煮たらこ275円、鮭とイクラが入った「親子」412円など具材は約40種。1日に1,000個近くが売れていく。

「かつて場内(築地卸売市場)があった頃に、うちの社長が仲卸の人たちや買い付けに来る料理人の朝ごはんにと作った店なんです。だから当時は朝3時から開けていたし、お腹いっぱいになるよう形も大きいんです」とは、店長の弁。

1993年創業。築地場外の波除通り沿い。混雑時は来店の時間帯を記した整理券を配布。
1993年創業。築地場外の波除通り沿い。混雑時は来店の時間帯を記した整理券を配布。

そう、〈丸豊〉といえば竹製の〝魚河岸かご〞を下げた職人さんが仕入れ帰りにおにぎりを買い求めるイメージ。だから腹持ちがいいよう1個分の白飯が150〜160g と大ぶりなのだ。
 
鮮魚店が母体ゆえ、魚介の具材が豊富で、豊洲市場で仕入れる質の良さはお墨付き。一番人気の「鮭ハラス」なら、肉厚の切り身を自社工房で焼き上げ、たっぷり白飯に忍ばせる。新鮮な大粒の「すじこ」はキラキラと輝き、エビの天ぷらが一尾入った名物「えび天」は、贅沢にもブラックタイガーをさばいて天ぷらを揚げる。魚介以外もまた魅力的で、自家製の半熟煮卵が丸ごと入った「バクダン」や、自社工場で手作りする「牛肉しぐれ」や「豚味噌」など、肉系具材も外国人観光客の心を掴む。

脂がとろける鮭ハラスは約20g使用。熱々ご飯を握るため手袋を2枚重ねに。
脂がとろける鮭ハラスは約20g使用。熱々ご飯を握るため手袋を2枚重ねに。
名物「バクダン」の自家製煮卵。中身はトロトロの半熟!
名物「バクダン」の自家製煮卵。中身はトロトロの半熟!

米はおにぎりに適した甘みと粘り気から、主に佐渡産のコシヒカリを使用。熱々の握りたてを提供するため、小さな店内で米を炊き続け、その量は日に40升にもなる。そして握り方にも〈丸豊〉ならではの特徴が。

「握ったらすぐラップするのが店のこだわり。これで海苔が湿気ることなく、ご飯とよくなじむんですよ」とベテランスタッフさん。手の上でご飯をふわっふわっと回転させて海苔を巻き、一つ握るごとにラップで包む。最後にラップの上から軽〜く三角形に成形して完成。確かに、ふんわりしていながらもご飯がパラパラとこぼれることがない。空気を含んだ米粒が食べ心地の良さを生み、大ぶりでも苦もなく完食してしまう。

握ってから放置せず、すぐラップに包む。この手間が海苔とご飯の一体感を生む!
握ってから放置せず、すぐラップに包む。この手間が海苔とご飯の一体感を生む!

「うちの社長はお客に喜んでもらうのがうれしくて、あまり利益を考えないから困っちゃうよ」と笑っていた店長。自身も行列の先に市場の顔なじみを見つけると、すかさず労いの声をかける。なんとも情に厚い、奇跡のような店。看板の「でかくてびっくり、うまくてにっこり!」の言葉に偽りなし、だ。

丸豊

住所:東京都中央区築地4-9-9 築地場外
TEL:03-3541-6010
営業時間:7:00~13:30
定休日:休市日休

photo_Kiichi Fukuda text_Yoko Fujimori

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