ひんやり和スイーツも目白押し! ニューフェイスも続々登場。鎌倉の甘味シーンをチェック!
古都鎌倉といったらやっぱり和の風情溢れる甘味。夏の観光途中で涼をとるのに嬉しいひんやり甘味や、新定番になりそうな手土産…鎌倉の旬の甘味シーンを総ざらい!
1.美しい陽光と静寂に満たされる休み処で格別のあんみつを。〈如意庵 安寧〉
お庭を愛でながら一服を。奥の間にも席が。
円覚寺の広大な敷地内に点在する塔頭(小寺院)の一つ、〈如意庵〉でひっそりと営む茶寮。邸内に入れば心地よい静寂に包まれ、時の流れが変わったことに気づく。木漏れ日に満たされた窓際席で、眼前に広がるお庭に見惚れる贅沢さ。
涼を取るなら、まずは看板の「安寧あんみつ」を。宇治の茶舗〈丸久小山園〉の抹茶で作る抹茶寒天を中心に、自家製の白玉や粒あん、杏のコンポート、抹茶アイスとの共演が楽しめる。
器は益子の中村恵子さん、コースターは染色家・梅崎由起子さんのもの。
同じ抹茶を使った「抹茶ババロア」も涼やかな一品。盆に季節の草花を添える心遣いもうれしい。水木金という平日3日間の営業だが、わざわざ訪れる価値は十分にある。
2.リニューアルしたあの人気店にひんやり新メニューが登場。〈由比ガ浜 こ寿々〉
店舗は築100余年の一軒家を改装。
行列の絶えない甘味処〈こ寿々〉が、昨年10月に移転オープン。場所は由比ガ浜大通り沿い、旧店舗から徒歩3分の位置。
「新作のあずきわらび」648円(各税込、急須で出す京番茶付き)は、粒あんと抹茶みつがアクセントに。
看板はもちろん、生産量の少ない本わらび粉を使用した、もちもち、ぷるぷるとしたわらび餅だが、厨房が拡張したことでさらに新作が登場。粒あんをのせた「あずきわらび」や、アイスクリームをトッピングした「バニラわらび」のほか、あんみつや抹茶ドリンク、そして本店〈段葛 こ寿々〉の手打ちそばと同じカエシを使った冷たい「こ寿々うどん」など、ひんやりと喉越しのいい一品が充実。より使い勝手のよい甘味処としてパワーアップした。
「定番のわらび餅」540円も外せない。
夏場は新たにかき氷も登場予定とか!
3.夏場はたい焼きからかき氷店に。あじさい色の新作にトライ!〈たい焼き なみへい〉
たい焼きの店として2010年にオープンし、その後は自家製パンや焼きそばなど名物を徐々に充実させ、現在は“みんなの駄菓子屋”として愛される〈なみへい〉。GWから氷をスタートし、7~8月の盛夏はたい焼きをお休みしてかき氷1本に。湘南産の柑橘を使った「湘南みかん」など自家製シロップも豊富で、メニュー数は実に約20種類。
そして今年5月にお目見えした新作が、ぶどうのシロップやジュレなどで紫陽花を表現した「あじさい氷」。ぶどうの天然色素とミントシロップの淡いグラデーションが美しい、今だけの味。
妙に落ち着く昭和テイストな店内。
コッペパンやピロシキなど厨房で焼くパン類も人気商品。
灼熱の由比ガ浜大通り沿いで涼を取るなら、ぜひ立ち寄って。
4.美味なるあんと個性派シロップ。たい焼きの名店が作る新作かき氷。〈鎌倉 浪花家〉
たい焼きの老舗、麻布十番〈浪花家総本店〉で12年間焼き方を務めた栗原康至さんが、暖簾分けで鎌倉に開いた店。行列せずして入手できないあの名店の味を継承するたい焼きが鎌倉で買えることも感動だが、暑い季節はかき氷も必食。
十勝産小豆を8時間かけて炊き上げる粒あんの染み入るようなおいしさが堪能できるシンプルな「氷あずき」もいいが、イチゴの自家製ソースと粒あんを合わせた「生イチゴあずきミルク」や、酒粕とラムレーズンの芳醇な味わいが広がる「酒粕クリーム」など新作が目白押し。
小町通りの小径沿い。
甘さ控えめのあずきとパリパリの皮が絶妙な名品たい焼きも。150円。
一丁焼きのたい焼きとともに、かき氷へのこだわりも総本店のDNAが受け継がれている。
5.季節の移ろいを贈る、鎌倉発信の菓子ギャラリー。〈かまくら七十二〉
さらし袋で2種の果子ケーキを包んだお試しセット。気軽なお土産に。700円。
場所は長谷駅から徒歩1分。
今年3月20日にオープンした小さな菓子舗。その名の通り、旧暦の二十四節気七十二候をテーマに、日本の季節を表現したお菓子が並ぶ。
果物の古くからの呼び名である“果子”の名をつけた定番、果子ケーキ。真鶴産の無農薬レモンを使ったレモンケーキと、クルミとけしの実たっぷりの木の実ケーキ。各330円。
真鶴産レモンを使った代表作の「レモンケーキ」のように、和洋の枠に捉われず、日本の素材を用いた煎茶や抹茶に合う味わいが信条。
生地作りから行う今や希少な煎餅工房が手がける煎餅セット、「花鳥ひょうたん」550円~。
店を立ち上げたのは〈DEAN & DELUCA〉でブランドディレクターを務め、自身も鎌倉出身である天野芳恵さん。前職で培った食の知識とネットワークを生かし、全国の信頼する職人やパティシエと創る品々は、食べれば誠実な手仕事であることが分かる。パッケージデザインも美しい、いわば“贈り菓子”。鎌倉発の新たな手土産の登場だ。
(Hanako1135号掲載/photo : Kaoru Yamada text : Yoko Fujimori)