荻野目洋子さん「今は亡き父との思い出の〈喫茶室ルノアール〉」

荻野目洋子さん「今は亡き父との思い出の〈喫茶室ルノアール〉」

CULTURE 2025.05.16

作家、クリエイターの心の中にある「マイ喫茶店」のストーリーコラム。それは家族と過ごした日々だったり、下積み時代だったり、誰かとの約束だったり。写真家・市橋織江さんによる撮り下ろしカットとともにお届けします。
第四回はミュージシャン・荻野目洋子さんの「私の帰る場所、喫茶店。」

歌手としてデビューする前、中学3年の約1年間、

授業が終わるとすぐさま千葉県の京成佐倉駅からヴォイス・トレーニングの為に

週1で、東京の恵比寿駅に通っていた。レッスンは待ち時間も含め、1時間程度。

制服姿で帰りが遅くなるのを心配して、会社勤めの父が内幸町から恵比寿駅に降車して待ち合わせ。

場所は、駅前の喫茶店「ルノアール」。

レッスン終わりで駆けつける私。遠くからでもガラス張りの店内に父を見つけるのが容易だった。

窓際でいつもと同じように本を読みふけっている姿を見つけ、ダッシュで店に入る。

テーブルに置かれたコーヒーを見れば、どのくらい待っていたかも見当がつく。

「ごめんね、お待たせ」と言うや否や、レアチーズケーキを注文。

当時コーヒーもまだ飲みつけない私は、とにもかくにもスイーツで満たされた♡

あの時の残り僅かなアメリカン・コーヒーと、真っ白なレアチーズケーキ。

今は亡き父との忘れられないモノクロの思い出。

※記事内に特段の記載がない場合は禁煙店です。
※20歳未満の方は喫煙可能エリアへは入ることができません。