花井悠希の朝パン日誌 日本橋で人気パティスリーの味を〈Pâtisserie ease〉のパンをテイクアウト
日本橋の兜町がいま注目の飲食スポットなのは聞いたことのある方も多いのでは?複合施設〈K5〉を皮切りに、話題の飲食店が続々オープンしているエリアなのです。〈Pâtisserie ease(パティスリー イーズ)〉もその一つ。外観から内装、ショーケースに並ぶスイーツまで、どこを切り取ってもソリッドでかっこいい。そんなお店でパンを見つけちゃったからにはパンハントするしかないでしょう!
たまには肩肘張りたい朝もある!?
アマゾンカカオのシュークリームや山葵をつかったショートケーキなど、驚きのあるアイデアケーキが人気のお店。パンはというと正統派な顔ぶれで、思わずパンを取るトングに緊張が走ります(大袈裟)。私が訪れたときには「クロワッサン」に「パン・オ・ショコラ」、「クイニーアマン」、「カヌレ」などがラインナップ。どの子もルックスから放つオーラが洗練されていて、こちらも朝といえど部屋着ではなく正装でお迎えしたい感じ(実際どうしたかはさておき)。
クロワッサン生地でバターと砂糖を包み込んで焼き上げた一品。「一品」って自然と言いたくなるような厳かな佇まいです。このルックス、本当だったらナイフとフォークかしら?と思ったけど、ここは流儀を重じてハンドでいかせていただきました。(何の流儀?)
かじりついて正解!その瞬間からぶわぶわとバターが溢れ出てきます。ちょっと待って!はありません。容赦なくバターは畳みかけ、砂糖の甘みは膨れ上がると来たもんだ。表面の砂糖がジャリジャリっと溶けるとバターの波にのって溢れて、底の飴状になったキャラメルはカリカリとリズミカルに甘味を放って、待ったなしでなだれのように押し寄せてきます。
そうなると、やはり内側はふわふわでやわやわです。バターのひだがやわやわなフリルを作り出しています。どうにかこうにか固形のフリをしてるけど、お主の正体はバターなんでしょ?ってちょっかい入れたくなっちゃうほど、惜しみなくバターの風味とコクがダダ漏れです。これは高カロリーだなぁと思っていたら、公式インスタグラムでもそう書いてあったので逃げも隠れもせず高カロリーです(笑)。でもおいしいってそういうことでしょ?
こちらの生地はシャリシャリシャリ。薄氷を踏んだときって表面にシャッと繊細なヒビが入りますよね?それに似た崩れ方です(伝わりづらいわ)。先程のクイニーアマンとは全く異なり、こちらの甘さはノンノンノン。意外にもスイーツ系ではなくお食事系クロワッサンの顔をしています。そうそう、要は塩顔系(意味違)。
かじったその場で深呼吸すれば、もうその先にはバターの予感しかありません。とはいえ、絶妙に香ばしさが届いてくるのは小麦の仕業かな?シンプルだけどきっちりとした仕事が見える端正なクロワッサンです。
ぬーっちり。この湿度、亜熱帯。そのしとしととまとわりつく全てがラム酒かと疑うほど、むせかえるようなラム酒感です。喉にアルコールが通った熱を感じられるほどの濃厚さ。これは大人が嗜むためのカヌレです。
しとしとといってもカリッとした表面を通り抜けてからのしとしとなのでご安心を。水分を含んだ内側だけ急に質量がずっしりと重くなったようで、時空のひずみを感じます(大袈裟シリーズ)。
ラム酒に酔わされそうになる脳が、幻想の如く広がる甘美なバニラの影を追いかけていくと、最後に残るのは甘く切ない余韻。口内に漂うのは甘い甘い香りとほんのわずかなラム酒の香味だけという。口にいた頃のラム酒の強さは幻か…?ブラックホールのような底知れないカヌレです。恐ろしい子(言いたいやつ)!
イートインもあるし、お店の外にはベンチも設置されているので、いますぐ食べたい!を叶えてくれるのもうれしいところ。テイクアウト用のドリンクも販売しているので、この日はお店の外で宇治抹茶のシュークリームを頂きました(この時は緊急事態宣言前なので現在も可能かはご確認ください)。
カリッとした皮の端の端までパンパンに詰まったトロトロクリームに溺れることが出来て幸せ。アマゾンカカオのシュークリームも絶品です。
お外が気持ちの良い季節になってきました。ということは、パン屋さん巡りもベストシーズン!もう少し落ち着いて心置きなくパン屋さん巡りができる日が早くやってきますように。神頼みだけじゃなくパン頼み(!?)もしておかなくっちゃ!(効力は不明)