住宅街にたたずむ〈熊谷守一美術館〉へ。『仙人はどこにいるのか?』編
2021.01.06

第1回 夏子の大冒険 〜ちいさな美術館をめぐる旅〜 住宅街にたたずむ〈熊谷守一美術館〉へ。『仙人はどこにいるのか?』編

ちいさな美術館をめぐって、作品から思いを馳せて物語を綴るこちらの連載。記念すべき1回目は、要町の住宅街にたたずむ〈熊谷守一美術館〉へと行ってまいりました。
夏子
夏子 / 女優・モデル

「1996年、夏生まれ。美術と文学、猫が好き。夢は『夏子の冒険(三島由紀夫)』で夏子役を演じること。」

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はじめまして、夏⼦です。

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「夏⼦です。趣味は「美術館めぐり」で、休日はもっぱら、作品のあるところへ出向いては、ひとりでじーっと眺めています。傍から見れば、きっと⼤真⾯⽬な顔をしていることでしょう。が、本当のところは、とても⼈には⾔えないような、くだらないことばかりを考えています。この連載では、そんな頭の中の妄想を、⾔葉にしてみようと思いました。よって、この物語はフィクションです。登場する人物や名称は架空であり、実在のものと何ら関係はございません。これが何かのお役に立てば光栄です。なんのお役にも立てないなら、もっと光栄です。ふふ。」

ちいさな美術館をめぐる旅。

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昔からちいさな美術館が好きでした。ちいさいからこそ、作品だけでなく、立地や建物にまで個性を感じ取れる、そんなこだわりの詰まった美術館が大好きでした。ちなみに、「小さな」ではなく「ちいさな」としているのは、物理的な小ささだけでなく、展示の期間や規模感といった “はかなさ” みたいなものも大切にしたいと思ったから。さて、長ったらしい前置きはここらにして、“妄想の旅” をはじめていきましょう。初回の舞台は、「画壇の仙人」と呼ばれた熊谷守一さんの作品を収蔵した〈熊谷守一美術館〉です。

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「駅長」

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『どろ人形(熊谷守一)』

サカナ「お客さん、お客さん。」
ニンゲン「…。」
サカナ「お客さん、起きてください。終電はとっくに終わりましたよ。駅も閉めますから、ホームで寝るのはよしてください。」
ニンゲン「よくもそこまで泥酔できますね。わかりました。お客さん、起きないんですね。市ヶ⾕駅で寝過ごした⼈がどうなるか、知っていますかお客さん。ふふ。」
サカナ「知らないでしょう、ふふ。ホームで寝ているお客さんが悪いんですよ、朝になって後悔してください。市ヶ⾕駅で寝過ごした⼈はね…」
ニンゲン「僕と⼀緒に釣り堀で⼀晩寝てもらいますからね、ふふ。」

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「角栓」

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『腐木(熊谷守一)』

プツ、プツ。朽⽊を覆っていく腐敗の⽩。
それはまるで、⿐から摘み出される⾓栓、あれみたいだと気づいた瞬間、突然愛おしい。

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「山」

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『野天⾵呂(熊谷守一)』

コソコソコソコソ、⼤胆になるために。
露天⾵呂じゃあ物⾜りなくなった背徳感を求めて、みんなで登ればこわくない。

「あんなに苦労して⼈が⼭を登るのは、⾒通せる向こうが⾒たいからさ」
2020 年の夏、そんな台詞を劇場で叫んでいたのを思い出した。

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「たまご」

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『仏前(熊谷守一)』

いち「暑くない?」
「暑い」
いち「どうしよう、孵化しちゃうよ」
「孵化はダメだよ、卵でいないと」
いち「でも、もう限界じゃない」
「サウナだとおもってさ」
いち「外気浴したいよう」
さん「シッ」

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今回訪れたのは…〈熊谷守一美術館〉

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画家の熊⾕守⼀(くまがい・もりかず)さんが住んでいた邸宅跡地に、個⼈美術館として建設(のちに豊島区立に)。守⼀さんと妻・秀⼦さんを描いた映画『モリのいる場所』を観てから向かえば、ひとつひとつの作品をより深く味わうことができるかも。ちなみに私は、よくその映画のサウンドトラックを聴きながら、“モリ” になったつもりで散歩をしています。

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コンクリート打ちっぱなしと、蟻のイラストが目印です。
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1階の展示室。湾曲した壁や、立てかけられたパレットが可愛い。

〈豊島区立 熊谷守一美術館〉

■東京都豊島区千早2-27-6
■03-3957-3779
■10:30〜17:30
■月休
■入館料500円 ※普段は撮影禁止です。

photo : Yumi Hosomi

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