娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 『伊藤家の晩酌』~第二夜2本目/米の旨みがたまらない夏酒「土佐しらぎく 涼み純米吟醸」」~

LEARN 2019.08.25

弱冠22歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 2本目は、とろ〜り、ふくよかな旨みを感じる高知のお酒をチョイス。
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

今宵2本目は、米の旨みがとことん味わえる「土佐しらぎく 涼み純米吟醸」

高知県安芸郡にある仙頭酒造場が手がける、夏の限定酒「土佐しらぎく 涼み純米吟醸」720ml 1350円(税別※ひいな購入時価格)/仙頭酒造場
高知県安芸郡にある仙頭酒造場が手がける、夏の限定酒「土佐しらぎく 涼み純米吟醸」720ml 1350円(税別※ひいな購入時価格)/仙頭酒造場

娘・ひいな(以下、ひいな)「初めての夏酒だよ。ボトルもラベルも夏っぽいでしょ?」
父・徹也(以下、テツヤ)「いいねぇ。さわやかだねぇ。夏酒って感じ。ひんやり涼しげだね」
ひいな「その名も『涼み純米吟醸』。キンキンで飲んでほしいから片口とおちょこは錫にしてみたよ」
テツヤ「色が澄んでるね」
ひいな「さっきはピンク色だったからね。これは無色透明」
テツヤ「吟醸の香りもあるね。錫はいいねぇ。冷え冷え!」

テツヤ&ひいな「いただきます!」

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テツヤ「お、口に入れた瞬間、トロッと感があるね」
ひいな「うん、トロッとしてるね」
テツヤ「夏酒って、すっきり、さわやかってイメージだったけど……」
ひいな「そういうイメージあるけど、ちゃんと甘みがあるでしょ。これ、高知のお酒のなの」
テツヤ「おぉ、呑んべえの県だねぇ」
ひいな「そうそう! 辛口でキレてるお酒が多くて。だけど、この仙頭酒造場は、フレッシュ&ジューシーをコンセプトにしてて」
テツヤ「なるほど、ジューシーか。さっき感じたトロッと感はこれか!」
ひいな「まさにコンセプト通りに味わっていただきました。夏酒ってアルコール度数が低くて、13〜15度くらいの飲みやすいお酒を出してるところが多くて」
テツヤ「へぇ、なるほど」
ひいな「でも、このお酒は飲みやすさに加えて、ジューシーさもあるから夏酒だけどすごくいいなと思って」
テツヤ「ちゃんと味わう夏酒って感じだね」

「土佐しらぎく 涼み純米吟醸」に合わせるおつまみは「鯛の昆布じめ」

娘・ひいなが初めて作ったという「真鯛の昆布じめ」。真鯛のお刺身を昆布に挟むだけ。簡単ながら奥深い味わいに日本酒が止まらない!
娘・ひいなが初めて作ったという「真鯛の昆布じめ」。真鯛のお刺身を昆布に挟むだけ。簡単ながら奥深い味わいに日本酒が止まらない!

ひいな「高知のお酒には魚が合うっていうイメージがあったから、真鯛の昆布じめにしてみたよ。でもレシピより時間おいたからしめ過ぎちゃって……都こんぶみたいな味になっちゃった(笑)」
テツヤ「でも、すごくきれいだよ?透き通ってる」
テツヤ「おぉ!? これはね、昆布じめが溶けてなくならないうちに、お酒を飲んでみると、うんまいよ!」
ひいな「口内調味だね」
テツヤ「そんな言葉があるんだ(笑)」
ひいな「日本酒飲む人って2つのパターンがあって、完全に食べ物を食べ終わってから日本酒を飲む人と、口の中に残っているうちにお酒を飲む人と。日本人は味噌汁を飲みながらごはんを食べるから口内調味の文化があるみたい」
テツヤ「口内調味をすると、ぜんぜん味が違うから! 昆布じめだけで食べた時は昆布の味が強かったけど、お酒と一緒に食べたら、むしろこれぐらい強くてもいいんじゃないかって気になってくるよ」

口内調味は苦手という娘・ひいなに、口内調味のおいしさを開眼させて、父・テツヤはご満悦。
口内調味は苦手という娘・ひいなに、口内調味のおいしさを開眼させて、父・テツヤはご満悦。

ひいな「ん!? ほんとだ!」
テツヤ「でしょーーー?」
ひいな「さわやかさが引き立つね、日本酒の」
テツヤ「これくらい昆布の味があってもよかったんじゃない?」
ひいな「なるほどね。失敗したなと思ってたけど、そういう楽しみ方があったんだね」
テツヤ「失敗が発見を生んだね。どれくらいしめちゃったの?」
ひいな「レシピには4時間って書いてあったんだけど、5時間……」
テツヤ「昆布の旨みを魚が根こそぎ吸った感じだよね(笑)」
ひいな「このお酒には、香りのあるお魚のほうがいいかなと思って」
テツヤ「白味魚ってさ、日本酒と合うのかな?って時々思うんだよね」
ひいな「それはどうして?」
テツヤ「日本酒と合わせると、むしろ、生臭く感じる時があるんだよ。だから、こうやって昆布でしめてひと仕事加えたほうがすっきりと入ってくる気がしたな、いま。すごく合う!」
ひいな「よかった〜」
テツヤ「旨みon旨みな感じ?」
ひいな「足し算できてた?」
テツヤ「昆布のグルタミン酸がふくよかな日本酒に合ってる。いますごいよ、口の中で旨みの余韻が……」
ひいな「昆布のグルタミン酸を増幅させるのかも? 日本酒が」
テツヤ「もはや出汁だね(笑)。これ、我が家の定番にしよう。5時間ものの昆布じめ!」
ひいな「塩もしてないんだよ! 昆布だけ」
テツヤ「え!? 本当に昆布の旨みだけなんだ。そりゃすごいね」
ひいな「一手間でこんなにおいしくなるんだもんね」
テツヤ「安い魚でも昆布じめしたらおいしくなるね。すばらしいな」
ひいな「最後には、昆布も食べられるし!」
テツヤ「いや〜、日本酒すごいね。旨みが増すね」

酒好きの聖地!? 高知の「おきゃく」に伊藤家が参戦?

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テツヤ「この間さ、久々に高知に行ったけど、最高だね、あそこの人たちは。あんなに酒が好きな県の人たちいないでしょう。商店街でこたつ出して飲んだりするんだよ」
ひいな「あ、それなんか見たことある!」
テツヤ「知らない人同士がこたつに入ってさ、歩いてたら誘われたりして一緒に飲むんだよ。『おきゃく』っていうんだって」

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ひいな「わ〜! いいな〜、行きたい!」
テツヤ「高知いいね、今度行くか! 酒造もいっぱいあるでしょう?」
ひいな「たくさんあるよ。『亀泉』とか『酔鯨』とか、割と辛口すっきりした感じ。『南』ってお酒を出している南酒造場に行きたい! 鮮やかですっきりしてて、ここのお酒が大好きで、そこから高知のお酒に目をつけ始めたの」
テツヤ「そりゃ行かなきゃ! で、『おきゃく』に行こう!」

第ニ夜1本目「米鶴 ピンクのかっぱ純米酒」」はコチラから

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(次回は9月1日更新予定です)

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