まさに秘密の地下巨大神殿! …圧倒的なスケールに感動する地下施設3選 TRAVEL 2024.03.28

非日常的な光景をみたいと思ったら、地下に広がる巨大空間はいかがでしょうか? 歴史を感じられたり、映画の巨大セットの中に迷い込んでしまったかのような、一度は足を運ぶべき地下施設を紹介します。

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【栃木県宇都宮市】大谷資料館

地下神殿のような〈大谷資料館〉。コンサートや美術展などのイベントも行われる。実際に歩いて見学できるエリアの奥に、倍以上の広さの非公開部分がある。
地下神殿のような〈大谷資料館〉。コンサートや美術展などのイベントも行われる。実際に歩いて見学できるエリアの奥に、倍以上の広さの非公開部分がある。

上質な石の産地として名高い、栃木県宇都宮市大谷町。付近一帯で採れるのが〝大谷石〞だ。約2000万年前、海底火山の噴火により火山灰などが堆積してできた石で、軽くて軟らかいため加工がしやすく、火に強いことから建材として重用されてきた。

周囲の壁に浮かび上がるのはツルハシで手掘りした跡。長い年月をかけて生み出された模様が美しい。
周囲の壁に浮かび上がるのはツルハシで手掘りした跡。長い年月をかけて生み出された模様が美しい。

そんな大谷石の魅力を体感できるのが、1919年から約70年にわたり大谷石を採掘してできた地下空間〈大谷資料館〉だ。地下へと続く階段を下りていくと、約2万 m2 の広さをもつ地下採掘場が突如として姿を現す。深さは約30m。野球場がひとつすっぽりと収まるほどの巨大な空間で、想像をはるかに上回るスケールにただ圧倒される。平均気温は8℃前後のため一年を通して空気はひんやりと冷たい。反響する足音や話し声、ほのかな照明に浮かび上がる採石跡など、神秘的で現実ではないかのような錯覚を起こすほどだ。

昭和30年代以降、機械で石を切り出したエリア。
昭和30年代以降、機械で石を切り出したエリア。

また、ここは大谷石の歴史について学べる場でもある。江戸中期頃に本格的に採掘が始められてから昭和30年代に機械化するまで、手掘りで行っていた当時の資料や、機械掘りになってからの採掘機、石の搬出方法などをわかりやすく展示。はるか遠い昔へと思いを馳せ、異空間での時間を楽しんでみて。

ツアーの発着点は〈OHYA BASE〉(栃木県宇都宮市大谷町1240)。開催は不定期。要事前予約。内容や参加方法は〈えにしトラベル〉のHP(https://enishi-travel.jp/)で確認を。
ツアーの発着点は〈OHYA BASE〉(栃木県宇都宮市大谷町1240)。開催は不定期。要事前予約。内容や参加方法は〈えにしトラベル〉のHP(https://enishi-travel.jp/)で確認を。

現役の採掘場や今は使われなくなった地下採掘場など、通常立ち入りできないスポットを専門ガイドの案内で巡るツアー「OHYA UNDERGROUND」が話題を呼んでいる。ハイライトは、巨大な地下空間に現れる地底湖へとゴムボートで繰り出すクルージング。気分はインディ・ジョーンズ!?

大谷資料館

住所:栃木県宇都宮市大谷町909
TEL:028-652-1232
営業時間:12~3月9:30~16:30、4~11月9:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
定休日:12~3月は火休(祝の場合は翌休)、4~11月は無休
入館料:800円
HP:http://www.oya909.co.jp/

【埼玉県春日部市】首都圏外郭放水路

台風や豪雨などの水害から街を守るためにある「治水施設」。埼玉県春日部市には、全長6・3㎞もの世界最大級の治水施設〈首都圏外郭放水路〉がある。2018年には、この施設の役割をもっと知ってもらえるようにと、見学会がスタートした。
 
4つのコースがあり、一番人気は〝防災地下神殿〞の異名を持つ「調圧水槽」の見学。高さ18m、重さ約500tの柱が59本立つ大空間で、地下水路から流れてきた水の勢いをやわらげ、江戸川へ排水するためにある。

〈首都圏外郭放水路〉を象徴する「調圧水槽」(写真)を見学するコースは参加料1人1,000円。
写真提供:国土交通省江戸川河川事務所
〈首都圏外郭放水路〉を象徴する「調圧水槽」(写真)を見学するコースは参加料1人1,000円。
写真提供:国土交通省江戸川河川事務所

このほか、自由の女神がすっぽり入るほどの大きさ(深さ約70m、内径約30m)の、垂直に掘削された〝立坑〞を階段で途中まで下りる「立坑体験」、大型の渦巻きポンプやガスタービンのあるポンプ室内を見学する「ポンプ堪能」、調圧水槽の最奥部にある巨大なインペラ(羽根車)を間近に見られる「インペラ探検」コースがある。
 
どのコースも約100段の階段を上り下りするので、体力に自信のある人、集まれ!

首都圏外郭放水路

住所:埼玉県春日部市上金崎720
TEL:048-747-0281
営業時間:(見学会受付9:00~16:30)
定休日:不定休
※予約サイトや電話で要予約。所要時間はコースにより約55~110分。https://gaikaku.jp/

【富山県黒部市】黒部宇奈月キャニオンルート

富山平野と反対方向から望むことから“裏剱”と呼ばれる。
富山平野と反対方向から望むことから“裏剱”と呼ばれる。

黒部峡谷鉄道の終点である欅平駅と、上流の黒部ダムを結ぶ約18kmのルートが、「黒部宇奈月キャニオンルート」として、2024年から一般開放・旅行商品化される(ツアーへの事前申込みが必要)。

地熱のため、掘削時には岩盤の温度が160℃を超え、最大の難関だった「高こうねつずいどう熱隧道」は、蓄電池機関車に乗って通過。現在も坑内は約40℃あり、客車内でも熱気と硫黄臭を感じることができるという。
写真提供:佐藤工業株式会社
地熱のため、掘削時には岩盤の温度が160℃を超え、最大の難関だった「高こうねつずいどう熱隧道」は、蓄電池機関車に乗って通過。現在も坑内は約40℃あり、客車内でも熱気と硫黄臭を感じることができるという。
写真提供:佐藤工業株式会社

もとは黒部川第三・第四発電所の建設などに伴い、整備された工事用ルートだ。昭和10年代以降使用されている工事用トロッコや、長さ815m、斜度34度の急傾斜を昇降するインクラインなど非日常の乗り物を乗り継ぎながら、黒部川の電源開発の歴史を体感できる。また、上級登山者しか見ることのできな剱岳の裏側〝裏剱〞など大自然のパノラマも楽しめる。

黒部宇奈月キャニオンルート

photo_Norio Kidera text_Yumiko Ikeda,Chihiro Kurimoto edit_Ai Sakamoto

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