本好きの天国!図書館&喫茶〈鈍考 donkou / 喫茶 芳 kissa Fang〉|中村 葵
本好きの天国!図書館&喫茶〈鈍考 donkou / 喫茶 芳 kissa Fang〉|中村 葵

もっと!京都 本好きの天国!図書館&喫茶〈鈍考 donkou / 喫茶 芳 kissa Fang〉|中村 葵 TRAVEL 2023.05.25

京都在住のハナコラボ パートナーが、現地に住んでいるからこそわかる、いま行くべき注目スポットを紹介。今回は、フリーランスPRの中村 葵さんが、京都の今行くべきアート&ライフスタイルの最新アドレスをお届けします。

春のイベント「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が無事終了し、京都の街は新緑の季節。この時期の京都が1番美しいのでは、と私は思っています。言うまでもなく、儚い桜の季節も艶やかな紅葉の季節ももちろん美しいのですが、生き生きと緑が風に揺れ、鴨川の流れが光に輝き、夜には蛍が舞う。このうるおいある初夏の時期が、京都の街の石畳や苔、日本庭園にとてもよく似合う気がしています(だから、京都の雨の日も好き)。

そんな京都の季節が最も似合うのではと感じた場所が、今年5月17日(水)にオープンされたばかりの私設図書館&喫茶〈鈍考 donkou / 喫茶 芳 kissa Fang〉。既にHanakoをはじめ、様々なメディアで取り上げられてはいますが、初めての1人暮らしのために荷造りした荷物のほとんどを本が占めた、趣味は読書の私、中村のアート&ライフスタイル最新アドレスとしてご紹介させてください。

私設図書館&喫茶〈鈍考 donkou / 喫茶 芳 kissa Fang〉

訪れたこの日、青紅葉と苔が輝いていた。
訪れたこの日、青紅葉と苔が輝いていた。

ハルキスト(作家・村上春樹氏のファンの総称)である私。父からの影響を存分に受け、初めて読んだのは『海辺のカフカ』。中学生の時でした。「青春の多感さで、これが読めることがうらやましい」と高校の古文の先生に渡され読んだのは『ノルウェイの森』。そうして、これまで村上春樹小説を読み漁り、デビュー作『風の歌を聴け』から最新刊までを読み返すこと4周。今春、6年ぶりの最新長編が刊行されるという速報ニュースを映すiPhoneを片手に、移動中の電車の中で静かに歓喜をしたのも束の間、ニュース原稿を目で追いながら、発売日を確認して愕然。発売日は、PRを担当している、KYOTOGRAPHIEの開幕日前夜でした。会期が終了したら存分に浸るのだと心に決め、『街とその不確かな壁』を発売日に購入し、これまで1ページも手をつけず大切に保管してきました。今週末、ついに読み始めようと思っています。うれしい。

そんな訳で、〈村上春樹ライブラリー(早稲田大学 国際文学館)〉がオープンした際にも、毎日、数時間おきに事前予約枠のキャンセルが出ないかを確認し、執念で予約を獲得しました。その〈村上春樹ライブラリー〉〈こども本の森 中之島〉などの選書やクリエイティブ・ディレクションを担当されている〈BACH(バッハ)〉の代表、ブックディレクター幅允孝氏が主宰する施設図書館が京都にできると聞いたら、行かない訳にはいかないのです。オープンを楽しみにしていました。

予約した当日、事前に知らされる暗証番号を使い、スマートロックを解除して入場する。
予約した当日、事前に知らされる暗証番号を使い、スマートロックを解除して入場する。
入口でスマホを預けることを推奨。本を読みたい休日、電波の入らない〈イノダコーヒー〉に行って本を読むことにしている私。しばしここでスマホとお別れする時間もいい。
入口でスマホを預けることを推奨。本を読みたい休日、電波の入らない〈イノダコーヒー〉に行って本を読むことにしている私。しばしここでスマホとお別れする時間もいい。

私設図書館〈鈍考〉は、90分制・1度に6名、Webからのみ予約可能。これまでBACHが18年間アーカイブされてきたという約3,000冊の蔵書が入って左手一面の本棚に美しく納められています。そしてこの時期、目の前に広がるのは新緑と苔の借景。そもそもこちらの場所は、京都の市内から離れた高野の山の中。静けさが保たれ無駄なノイズのない空間の中、限られた人数だけで本に囲まれ過ごせる時間は至福以外の何ものでもない。いつの日か、ここのように、壁一面の大きな本棚に好きな本だけをぎっしり詰めて、本に囲まれ生きていきたい。正直アクセスは悪いものの、その不便さを含め、この空間と流れる時間を味わうためだけにここへやって来る価値があります。

雨の日も素敵であろう、この見事なまでの借景。下には小川が流れている。なんとも気がいい場所。テラスに向いて置かれた、本を読むために選ばれたというコロニアルチェア。
雨の日も素敵であろう、この見事なまでの借景。下には小川が流れている。なんとも気がいい場所。テラスに向いて置かれた、本を読むために選ばれたというコロニアルチェア。
もはや帰りたくなかった。
もはや帰りたくなかった。
併設している〈喫茶 芳〉では、裏に置かれた手廻し自家製焙煎機で焙煎された深煎りローストの珈琲をネルドリップで読書とともに楽しめる。木工作家・吉川和人氏の作品も随所に。
併設している〈喫茶 芳〉では、裏に置かれた手廻し自家製焙煎機で焙煎された深煎りローストの珈琲をネルドリップで読書とともに楽しめる。木工作家・吉川和人氏の作品も随所に。

入ってすぐ、靴を脱いであがる玄関横に、村上春樹コーナーが。「1番好きな村上作品は」という、ハルキストを悩ますこの質問。いつも尋ねられると回答に非常に悩んでしまうのですが、しいて、しいて決めるのであれば(決めねばならないとしたら)、私は『ダンス・ダンス・ダンス』。上巻p.182を読んだ時の衝撃たるや。

『1973年のピンボール』も好き。実家の父の本棚から、引っ越しの際こっそり抜いて連れて来た。今は私の本棚にある。
『1973年のピンボール』も好き。実家の父の本棚から、引っ越しの際こっそり抜いて連れて来た。今は私の本棚にある。
『ダンス・ダンス・ダンス』の英語版、『DANCE・DANCE・DANCE』も発見。
『ダンス・ダンス・ダンス』の英語版、『DANCE・DANCE・DANCE』も発見。
好きすぎてページ数を覚えている。こちらも父の本棚から私の家に。
好きすぎてページ数を覚えている。こちらも父の本棚から私の家に。

時々、人から本を借りて付箋やドッグイア、線が引かれていたりなんかした時、なんだかその人の思考や内面といったすごくパーソナルな部分が垣間見えた気がして、愛おしく思うことありませんか。基本的に本は自分で新刊を買いたい派ではあるものの、昔の彼から付き合ってすぐに借りた本が赤線や手書きのメモ入りだらけだった時、本好きの先輩と互いに好きな本を貸し借りする時に借りた本が、お風呂で読みふけっているんだろうなあとわかる程にふやけていたりする時(その上、ドッグイアだらけ)、その人らしさに溢れていて愛おしさが込み上げる(逆に、私は折ったりするのはもっての外、帯まできれいに保管したいという、これまた神経質さが出てしまっていると思う)。話は逸れましたが、本屋とは違う、私設図書館であるが故、ここに置かれた本には付箋が大量に貼られていたり、読み込まれた痕跡が残されていたりする(『ダンス・ダンス・ダンス』にもいくつか付箋が貼られていた。自分とはまた違うページに貼られていて、それも見るのもおもしろかった)。

本の世界に没入している姿が美しい。
本の世界に没入している姿が美しい。
この日、一緒に訪れた海外のメンバーも大興奮。
この日、一緒に訪れた海外のメンバーも大興奮。

思い思いに過ごす時間、この日はまたうっかり、久しぶりに開いた『ダンス・ダンス・ダンス』に夢中になってしまったのだけれど、普段読む本に非常に偏りがあるので、次回は自分では選ばない、新たな本に出会いたいなと思っている。次に訪れるのは、雨の日がいい(雨が滴る雨音とともに、縁側に座ってふけりたい)。

大量の本に囲まれ至福のロングヘアー見納め写真。この日の翌日、髪の毛をばっさり捨て去った。現在、髪をくくれないくらいの短さに。
大量の本に囲まれ至福のロングヘアー見納め写真。この日の翌日、髪の毛をばっさり捨て去った。現在、髪をくくれないくらいの短さに。

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