世界で一番地球に優しいマラソン大会。自然を感じ、思いやる、湘南国際マラソンの取り組み

SUSTAINABLE 2023.12.22

手軽に始められるスポーツとして、人気が高いランニング。ジョギング・ランニング人口は877万人と推計され、全国で開催されるマラソン大会のうち規模が大きいものだと、参加者数が2,3万人を超えるものも。ランニングで健康になる人が増えることは喜ばしいいっぽう、マラソン大会では、給水スポットをはじめ、多くのゴミが排出されるという課題があります。そんな中、「ゴミを出さない世界に誇れる環境に配慮した大会」として開催されているのが「湘南国際マラソン」。2023年12月3日に開催された本大会に『Hanako』編集部員が挑戦し、身を持ってその魅力を体験してきました。

自然を享受するランナーが心から楽しめるランを目指して

体はもちろん、メンタルや認知にもポジティブな変化をもたらすことが科学的な裏付けとともに、確固たる市民権を得つつある運動。とりわけ、こだわらなければ身一つで取り組めるランニングは、老若男女問わず不動の人気で、2022年のジョギング・ランニング人口はなんと! 877万人(※)と推計されています。

※1:笹川スポーツ財団ジョギング・ランニング人口調査2022年の結果より

健康や体型維持として走るのもそれはそれで楽しいけれど、走力がアップしてくるとトライしたくなるのがマラソン大会。日本全国で多くの大会が開催されていますが、2022年、万人規模の大会としては世界で初となる「マイカップ・マイボトルマラソン」として開催されたのが「湘南国際マラソン」です。

通常、マラソン大会では給水スポットでランナー達に使い捨てのカップで飲み物を提供するため、大量のゴミが出てしまう。さらにその膨大な数のカップが飲み切れなかった飲み物とともに捨てられ、踏みつけられ、風に飛ばされていく。残念ながらマラソン大会では、これはおなじみの光景となっています。

マイボトル、マイカップに切り替え前の湘南国際マラソン、給水スポットの様子。(※提供:湘南国際マラソン運営)
マイボトル、マイカップに切り替え前の湘南国際マラソン、給水スポットの様子。(※提供:湘南国際マラソン運営)

人を健康に導くマラソンなのに、ランナーがレース中にひと口の水を飲むごとに、大量のカップやペットボトルが消費され、地球環境の負荷につながっているという悲しい“矛盾”を抱えている側面があるのです。

そこで、「湘南国際マラソン」では、アウトドアからランニングまで幅広いアイテムを展開するブランド《THE NORTH FACE》の全面サポートで、2022年大会から「ゴミを出さない世界に誇れる環境に配慮した大会」をコンセプトに掲げ、参加ランナー全員がマイボトル、マイカップを携帯。

給水のためのペットボトル31,500本、紙コップ・プラカップ50万個を全廃し、約87%のゴミの削減を達成(※2)しました。他にもフィニッシュ後に配布していたペットボトル26,000本の全廃、パンフレットの大幅なページ数削減と電子化など、あらゆる部分で環境ファーストを徹底した取り組みを行いました。

※2:コース上のゴミに関して。

ランナーにとっても、自分のペースで水分補給が可能なので、脱水・熱中症リスク軽減につながるうえ、ゴミがないクリーンなコースは走りやすく、自然豊かな湘南の海沿いを走る楽しさを享受しているランナーにとって、地球環境に負荷をかけずに大会を楽しむことができるのはとても大きなメリットといえます。

提供:THE NORTH FACE
提供:THE NORTH FACE

『Hanako』編集部員が世界初のマイボトルマラソンを体験

そんな、人も地球も気持ちがいいマラソン大会があると聞き、Hanako編集部員ハセが2023年12月3日に開催された「湘南国際マラソン」に挑戦することに。朝7時過ぎの会場には、多くの人が詰めかけ、朝日に照らされる美しい湘南の海が一望できます。

湘南国際マラソンの会場の様子

大会会場で一際目を引くのが、2022年の前回大会で削減したゴミの量や、マイボトル、マイカップマラソンで得られる効果を伝える大きなパネル。「湘南国際マラソン」のコンセプトや、開催に際して込められている想いがひしひしと伝わってきます。

湘南国際マラソンの取り組みを伝えるパネル

そしてその横にあるのが、使わなくなったTシャツ、シューズの回収ボックス。回収されたウェアは、《THE NORTH FACE》独自のウェアリサイクルの循環型アップサイクルプロジェクトである「EXPLORE SOURCE (エクスプローラーソース)」によって、新たな製品に生まれ変わります。

また、回収されたシューズは再利用するほか、廃棄される製品を回収し、貧困に直面している人々を支援し、仕事を創出する活動を行っている非営利団体〈Soles4Souls〉を通じて、地球規模の問題解決に役立てられるとのことです(※3)。

※3:【2023年湘南国際マラソンのTシャツ、シューズ回収速報値】ウェア回収:8箱(134kg) 、シューズ回収:9箱(123kg) 、合計:17箱(257kg)

湘南国際マラソンの古着、古靴改修ボックス

ほかにも、会場には協賛企業や地元の飲食店などが出店し、出走前とは思えないほど、どのブースもにぎわいが。とりわけ、長蛇の列ができていたのが今大会のエコな取り組みの立役者である《THE NORTH FACE》のブース。

アパレルブースには、環境に配慮した植物由来のナイロン素材を使用した「インパルスレーシングジャケット」をはじめ、湘南国際マラソンのロゴが入りの商品も並び、ランナーに大人気! ちなみに、今回ハセがアウターとして着用したのも「インパルスレーシングジャケット」でした。

右から、インパルスレーシングジャケット「ミスティーセージ」、「クリア」
右から、インパルスレーシングジャケット「ミスティーセージ」、「クリア」

そしてその隣に設けられていたのが、出走ランナーのコミュニティスペース「TNF CAFE」。完全無添加にこだわった〈イエストウキョウ〉のコールドプレスジュースをランナー向けに提供しており、Hanako編集部チームもいただくことに。

湘南国際マラソンのノースフェイスブースでコールドプレスジュースを選ぶ編集部長谷
ホウレン草、ブロッコリー、キャベツ、パセリ、リンゴ、レモンを使用したコールドプレスジュース《365DAYS》。
ホウレン草、ブロッコリー、キャベツ、パセリ、リンゴ、レモンを使用したコールドプレスジュース《365DAYS》。

チョイスしたのは、ホウレン草、ブロッコリー、キャベツ、パセリ、リンゴ、レモンを使用した《365DAYS》。そのスッキリとした美味しさと、ぎゅっと詰まった栄養に心身ともに満たされ、いよいよスタートに向けて準備開始。ストレッチを済ませたら、マイボトルを持ち、スタートラインへ向かいます。

湘南国際マラソン前にストレッチをする編集部ハセ
湘南国際マラソンの準備をする編集部ハセ

湘南の海を横目に西湘バイパスを疾走する気持ちよさに感動

事前申告の予想タイムに合わせてAから順にスタートブロックが指定されるマラソン大会。ハセはDブロックスタート位置で待機。右手に見える海の景色に目を奪われていると、あっという間にスタート時間に。スタートの合図から5分33秒経過時点でスタートラインを通過しました。ハーフマラソン経験のみで、初挑戦の42.195kmに多少の不安はありつつも、海岸沿いを走る気持ちよさに、ランの魅力を再実感

今回は、西湘バイパス大磯西インターチェンジからスタートし、平塚海岸、茅ヶ崎海岸を経て、江の島入口付近で折り返し。同じコースを通り、西湘二宮インターチェンジにて、第二の折り返しを経て、大磯プリンスホテルでゴールというコースでした。

湘南国際マラソンのランナー一団
湘南国際マラソンの江ノ島付近でのランナーの様子

コース上には、平均200mおき、200ヶ所以上に及ぶ給水ポイントが設けられ、トータル水量は40t、3,500個の蛇口が用意されました。今回ハセが使用した400mLランニングソフトボトルは、小さく畳んでウェアのポケットに収納が可能かつ、走りながらでも飲みやすい設計。

心配していた給水スポットでの水分補給もスムーズで、ボトルに入れた水分で適宜、喉の渇きを潤すことができました。

湘南国際マラソンのボトルで給水する様子

練習で走っていた最長の距離は25km。直前もあまり練習しなかったことが祟り、フルマラソンにおける​​“30㎞の壁”をもれなく味わうことに…。強風の向かい風で、心が折れそうになりながらも、どうにか気合いでゴールへ。フィニッシュタイムは、ネットで3時間59分47秒。後半、かなりスローダウンしたもののどうにか4時間を切ることができました。

湘南国際マラソンのゴール

身を持って、世界初のマイボトル、マイカップマラソン「湘南国際マラソン」を体験したハセ。コースがクリーンなことはもちろん、大会随所に感じられる、地球環境への配慮のおかげで、ただ走るという行為で得られる爽快さを超えた、気持ちよさ、優しさを全身で感じることができました

湘南国際マラソンのボトルを持つ手

湘南国際マラソン

どの大会よりもクリーンなコースの実現、誰もが快適で安全に走れるマイボトルマラソンのスタイルを追求し、「子どもたちのために、地域のために、地球環境のために」というコンセプトを掲げたサスティナブルなマラソン大会。万人規模のマラソン大会としては世界初のマイボトル、マイカップマラソン、興味がある人はぜひ、来年挑戦を!!

text&edit_Hinako Hase photo_Akane Kuwano 取材依頼、情報提供はHanako編集部にご連絡お願いします。問い合わせはこちらから

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